【感想】翻訳の授業 東京大学最終講義

山本 史郎 / 朝日新書
(12件のレビュー)

総合評価:

平均 3.9
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3
1
0

ブクログレビュー

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  • qy

    qy

    とある時、先生の講義を受けたことがあります。英文学のみならず、松尾芭蕉など日本文学も重要視なさるお方です。トールキン作「ホビット」やモンゴメリ作「赤毛のアン」への情熱、印象的でした。

    投稿日:2024.02.17

  • 郁恵

    郁恵

    翻訳者としては正座で読む本。私が文芸翻訳に近いジャンルが苦手な所以もこういうところ。翻訳家になる将来が見えていたのなら、東大にいるうちにこの授業を受けてみたかった

    投稿日:2023.05.07

  • Riva

    Riva

    2022/04/30 読了
    #rv読書記録
    #読書記録

    筆者の姿勢(他翻訳者に対する態度?)が少し気になったけど、自分自身が考えている翻訳に対する考え方と似通っていて、かつそれを言語化・具体化して説明してくれているので、自分の考えを補強してくれるような内容だった。
    とはいえ内容が文学やそちら方面よりで、アカデミック・ビジネスに補填できるような所はあまり多くない印象だった。

    高校生、大学生が読むにはちょうどいいんじゃないかな〜と。。
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    投稿日:2022.04.30

  • サイトム

    サイトム

    このレビューはネタバレを含みます

    著者は、起点テクスト主義(逐語訳)と目標テクスト主義(意訳)や、同化翻訳(目標文化に引きよせる翻訳、文化的帝国主義と批判される)と異化翻訳(わざと目標テクストに違和感を出す翻訳、和訳の場合、西欧語≒論理的という劣等感に基づく)を超えて、「コミュニケーションの転換」をはかることが翻訳だとしている。「コミュニケーションとは作者と読者が〝世界〟を共有すること」としている。こうした背景から「接続表現は翻訳の対象にならない」とし、目標言語の形式として自然であればよいとする。しかけがいろいろとあるテクストについては結局、文学的な肝を読解して選んで翻訳する必要があり、情報の刈り込みや視点の転換が必要としている。とくに英語の場合、19世紀文学の影響で〝神の視点〟が好まれるが、これは和訳では「翻訳調」になる。
    80年代から90年代のSF(とくに工学者が訳したもの)には起点テクスト主義の影響でほとんど読むにたえないものがある。本書ではこういう歴史も指摘されている。
    訓読は起点テクスト主義の最右翼だろうが、中国古典の場合、古すぎて「意味空間」がよく分からないこと、そして、日本語のなかに浸透している表現もあるというやっかない事情がある。
    結局、訓読だけじゃなくて和訳もするんだけど。

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    投稿日:2021.12.10

  • みけ猫

    みけ猫

    「翻訳の常識を覆した」などと、割と絶賛されている本ですが、私にはけっこう退屈だった。
    前著の「東大の教室で『赤毛のアン』を読む」はすごく好きだったけれど。

    というのも、この人の支持する訳とか解釈が私はことごとく好きじゃなかった。直訳がどうの、意訳がどうのといろいろと書いているが、結局のところ「好みの問題」であり、私とこの著者の好みは全然合わない、という結論に至った。

    まず、『雪国』(by川端康成)の「夜の底が白くなった」のサイデンステッカーの英訳は誤訳か、という話。
    著者は、この文章の示す状況は「真っ黒だった夜空がぼんやり明るくなった」ということだと主張している。
    でも、私のイメージは違う。雪というのはほんのり明るいので、地面の雪の白さのせいで、それまでいた場所より明るく感じた、つまり下から空間全体がほんのり白く照らされた、ということだと解釈していた。だから、この著者が「誤訳だ」と言うサイデンステッカーの「黒い空のもと、大地が白く横たわっている」という表現には全然違和感を覚えない。
    でも著者は、そうじゃない、空がぼんやり白いんだ、と言う。
    いやいや、そういう解釈もありえるでしょ、と思う。むしろ空が白い、という方が私には違和感ある。

    そして、そこまでだったら、「まあ見解の違いよね、元の文があいまいなんだし」くらいで済んでいたが、その後に、自分の英訳を自慢げに出してきて、「いい訳でしょう」と言う。その英訳が私的には意訳過ぎると思うし、意訳なだけじゃなく私のイメージからはかけ離れてもいる。
    ということで、最初の章にして、著者への信頼がイッキに消え去った。
    こういう根拠のない自画自賛、やめてほしい。

    赤毛のアンの解釈についても、他の人の訳をいくつか挙げてダメ出しをしていたけれど、私は挙げられていた訳の中では著者の訳が一番「やり過ぎ」と思った。
    とにかく、この人は自分の解釈を訳に付け足し過ぎる傾向にあると思う。

    また、言葉の選び方にも疑問。
    「『窪地』という言葉にはじめじめした印象が伴うが、この場合はそういうイメージは不要なので、かわりに『谷』という言葉を使いたい」というようなことを力説していたが、私には窪地=じめじめ、という付加イメージはまったくないどころか、むしろ谷の方が朝露とか霧とかの水分のイメージがあるけどなぁ、と思う(山育ちなもので)。『低地』なら、じめじめしたイメージがあるけれど。
    そんな風に、まあことごとく言語感覚が著者と合わなかった。

    付け加えるなら、ホビットの章だけは、良かったと思う。
    トールキンの文章はいろいろ仕掛けがあって、私の英語力では作者の意図しているところを読み取るのが厳しいので、この著者のように過剰に自分の解釈を付け足す訳くらいがいいと思った。
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    投稿日:2021.08.09

  • ariant

    ariant

    このレビューはネタバレを含みます

    異化翻訳と同化翻訳の違いや、「意味は言語に先行する」ということもあるというのを学びました。
    ただ、そんなに面白い内容とは思えず、「当然そうですよね」というふうな確認作業をするような本でした。
    翻訳「論」というよりは、文化的な知識や英語の知識は必要だとしても、もうほぼ感性の世界に近いような気がしました。

    ・面白かった点
    英米の小説では三人称(「神の視点」)で書かれることが多い。それ故に、翻訳の際は認証の変化がなされることが多い(「同化翻訳」)。p73,ルース・レンデルの例が秀逸で、英米の小説らしく「神の視点」で書かれた翻訳には全く良さを感じず中学生が訳したのかと思えるほどだが、日本小説らしく一人称(妻リンダの視点)から翻訳すると、スッと入ってくる。

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    投稿日:2021.02.28

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