【感想】いまひとたびの(新潮文庫)

志水辰夫 / 新潮文庫
(3件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • bauasano

    bauasano

    いまいちど、いまいちどだけでも会っておきたかった-向う岸にいる人への血の出るような想いを綴った表題作をはじめ、「赤いバス」「忘れ水の記」など涙をさそってやまぬ短編小説9編を収録。

    投稿日:2023.12.18

  • gabrielpetajirio

    gabrielpetajirio

    1997年に刊行された短編集に、今回新たに書き下ろした1篇「今日の別れ」を加えて再刊行された、10作からなる短編集。

    「今日の別れ」以外は、どの話も主人公は50代半ばの男。終始「わたし」という一人称で語られ、固有名詞を明らかにしないことで、それはどこにでもある50代半ばの男の物語となる。末期の病に侵されわずかな余命を知る男、大切な人を亡くした又は今まさに亡くそうとしている男、どれもが死を目の前にして自らの来し方行く末を思う静かな物語。

    男たちが振り返る30年は、さらりと淡水のように目の前を流れ、その流れをせき止めるのは過去に棄てたものや失ったものへの未練。短編であるがゆえに無駄がなく、主人公の心情さえも読み手にゆだねられる。
    同じ50代半ばを描いても、親の介護や家族の問題などとドロドロしないのが女性作家と違うところ。まさに、「男のロマン」。

    「20年前の体形をいまだに保持しているさっそうとした姿(夏の終わりに)」とか、「30年前の体形を今でも維持している(ゆうあかり)」とか、「身体のプロポーションはすこしもくずれていなかった(海の沈黙)」などと、年をとっても細身で、ついでに言うと目は黒目がちでパッチリ、口は小さめの女性が毎度登場する。作者のロマンなのか、男全般のロマンなのか・・・。
    妻にも言いたいことはいっぱいあると思いますが・・・笑

    そんな中でも、一番好きなのは標題作「いまひとたびの」。これにはグッと来た。
    主人公と叔母が赤いユーノスロードスターでドライブに行くというだけの話だけど、66歳の叔母がとてもチャーミングで、カッコいい。もう会えないと知りながら来年のドライブの約束をして、「さよなら」と微笑んで別れるシーンの辛さ。胸を締め付けられました。

    「男はみんなそうだよ。いつまでたっても十代か二十代のままさ。なくしたものは絶対に忘れやしない(ゆうあかり)」
    この言葉に尽きる短編集でした。
    続きを読む

    投稿日:2020.07.11

  • ぽてち

    ぽてち

    単行本が刊行されたのが1994年。1997年に文庫化され、今回新たに書き下ろされた1篇を収録し再刊行された。収録された10篇はどれも“死”がテーマだ。志水辰夫はデビュー作からずっと読んでいたが、この頃から作風が変わり、ついていけなくなってしまった。四半世紀を経て再読すると、今のぼくにはすんなりと読めて味わい深かった。そしてやっぱりこの作家が好きだなと思った。続きを読む

    投稿日:2020.04.26

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