【感想】共感経営 「物語り戦略」で輝く現場

野中郁次郎, 勝見明 / 日本経済新聞出版
(12件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • 須田基平

    須田基平

    多くの学びがあり、今の自分にとって勇気づけられる要素が多かった。新しい事例が多く身近に感じるのと、事例がぶつ切りではなく、次の事例解説で何度も振り返ってくれるので頭に染み込む。
    分析的戦略の限界と物語り戦略の違い、競争に勝つ事よりも企業の存在意義という部分が特に刺さった。リーダーに求められる未来構想力、筋書きと行動規範を意識していきたいと思った。続きを読む

    投稿日:2022.07.10

  • しゃおいえ

    しゃおいえ

    言っていることは共感できるし、よく分かる。ただ成功事例においても『経営陣の反対を押し切って』となっている。
    求められるのはリーダーのやり抜く力であり、まだまだ理論としては確立していないということだろうか。
    そんな中、経営の必要性って何なのだろう?
    続きを読む

    投稿日:2022.04.09

  • 読書の記録

    読書の記録

    VUCA時代のイノベーションの進め方。
    様々な会社の実例を元に書かれており、とても参考になります。
    共感を元に進む力、近年のキャリア自律の話ととてもマッチしている内容です。

    投稿日:2022.04.07

  • a0019447

    a0019447

    このレビューはネタバレを含みます

    野中氏の本。共感・物語りの重要性、その不足を痛感していることから読書。
    共感経営、まさにその言葉の通り整理も可能だが、簡単に表現すると、共体験、接触機会なども通して、心を動かすことが人を動かし、大きな流れにつながると言う本質を語った本とも言えそう。

    メモ
    ・企業経営やイノベーションや大きな成功は論理や分析でなく、共感→本質直観→跳ぶ仮説というプロセスにより実現される
    ・日本企業の三代疾病 分析過剰、計画過剰、法令遵守過剰
    ・共感とは他者の視点に立ち、他者と文脈を共有すること。
    ・共感は利他主義を生む
    ・相互主観性・共感の3段階
     1 感性の総合 相手になり切る我汝関係
     2 知性の総合 主客分離で相手を捉える我それ関係
     3 完成と知性の総合 相手と無心無我で私の主観をこえた我々の主観を生み出す 我汝関係
    ・イノベーションは演繹思考からは生まれない。
    ・物量で戦う消耗線か、共感力と知力で戦う機動戦か

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    投稿日:2022.03.15

  • わっさん

    わっさん

    いかに共感できる夢(未来)を語れるかということだろう。

    目次
    序章 共感と物語りが紡ぐ経営
    第1章 価値を生む経営は「出会い」と「共感」から生まれる
    【解釈編】
    ・人間関係の本質は共感にあり、人間力の本質は共感力にある
    ・知的創造の起点は共感がある
    第2章 イノベーションは「共感・本質直観・跳ぶ仮説」から生まれる
    【解釈編】
    ・ものごとの本質を直観できる人が「跳ぶ仮説」を導き出せる
    ・「本質直観」には「外から見る現実」より「内から見る現実」が大切
    ・「全体」と「部分」の両方に目を向けると「跳ぶ仮説」が生まれる
    第3章 「知的機動戦」を勝ち抜く共感経営
    【解釈編】
    ・物量で戦う「消耗戦」か、共感力と知力で戦う「機動戦」か
    第4章 不確実性の時代を「物語り戦略」で勝ち抜く
    【解釈編】
    ・物語り戦略は「筋書き」と「行動規範」で構成される
    第5章 共感型リーダーに求められる「未来構想力」

    以下、引用
    ●日本はいま、オーバー・アナリシス(分析過剰)、オーバー・プランニング(計画過剰)、オーバー・コンプライアンス(法令順守過剰)という、三つの過剰による”三大疾病に陥って活力を失い、組織能力の弱体化が進んでいます。(中略)その一方で、現場が活性化し、社員一人ひとりが活き活きと仕事に向き合い、イノベーションや大きな成功を実現しているケースも少なからずあります。それらのケースに共通しているのは、企業と顧客、トップと部下、社員と社員、メンバーとメンバーとの出会いの場があって、つながりが生まれ、そこでわきあがる共感が新しい価値を生む原動力になっていることです。
    ●高知支店長だった谷村氏はこの現状を打破しようとします。不調のどん底にあって、キリンビールという企業に存在価値があるのかと思い詰めた末に、独自に「理念にもとづく支店改革」に踏み出すのです。「高知の人々に美味しいキリンビールを飲んでもらい喜んでもらう」ことを自分たちの「理念」として掲げ、「どこに行ってもキリンビールがあるようにする」という「あるべき姿」を描き、「あるべき姿」と「現実」を埋める「戦略」を実行する。
    ●経験はすべての知の源泉になります。経験から生まれた知は必ず何かと結びつき、大きく成長するという関係性を潜在的に持っています。人間は人と人との関係性を結びながら、あるいはモノとも関係しあいながら、常に動きます。そして動きながら経験が豊かに積み上がり、知が生まれ、それがまわりの知と結びつくなかで「新しい自分」へと変わっていく。これを繰り返すのが「ユニークな経験」としてのあり方です。この発想を支えるのは、人を静的なビーイングの「在る存在」ではなく、常に何かにビカミングする能動的な「成る存在」と位置づける人間観です。固定した存在である「~である」よりも、未完の状態にありながら未来に向かって開かれ、常に生成していく「~になる」を重視し、人間を常にプロセス(=コト)でとらえるのです。
    ●リーダーとメンバー、トップと社員、上司と部下、メンバー同氏の間において、人間関係のもっともベーシックな関係はペアリングにあり、新しい知は二人称の世界で芽生える。そこから一人称の思いがわいたら、三人称の概念を打ち出して組織を動かしていく。(中略)新しい知は人と人の出会いから生まれる。
    ●初代はやぶさのプロジェクトにおいても、リーダーは「イオンエンジンという新しい技術での惑星間航行」「宇宙の彼方での自立誘導航法」「微重力下でのサンプル採取」などの実現すれば世界初となる五つの目標を掲げました。この五つの目標をつなげていくと、はやぶさが三億キロ彼方の小惑星まで航行し、散布利を採取し、地球に帰還するという物語りとしての全体像が浮かび上がります。これにより、各メンバーが全体像のなかでの自分の目標の意味と価値を認識できるようにしました。そして五つのどれか一つでも達成できないと全体像も実現できなくなるように目標を設定することで、各メンバーが自分の直接の担当でない目標についても意識し、共有できるようにしたのです。
    ●「人間は理解と行動は別です。『地球が危ない』と説けば、頭では理解できますが、多くの人に行動してもらうには別の次元が必要で、それがエンタメです(後略)」
    ●このように思いや生き方を問いつつ、組織において仕事をするとはどういうことでしょうか。人間は自らの生き方を実践すると、そこに物語が生まれます。一人ひとりが他のメンバーたちと相互に作用しながら、自己の物語りつくりを通じて、組織の歴史を生み出していくという自覚を持つとき、自己の思いや生き方の価値観と企業の存在意義、すなわち、共通善が重なり合い、それぞれの思いや価値観が組織のなかで正当化されます。そして、その思いや価値観が仕事のなかで実現し、成果に結びついたとき、自己の生き方の高次な意味が生まれるのです。
    ●その目的や目標を達成するため、物語り戦略は、企業経営や取り組む事業、プロジェクトについての全体のプロット(筋書き)と、そのプロットを実現するため、メンバーや社員たちがどう判断し行動するかというスクリプト(行動規範)という二つの要素により構成され、展開されていきます。(中略)具体的には、「何を(WHAT)、なぜ(WHY)やらなければならないのか」を物語る、企業の存在意義や組織ビジョンにもとづいた経営計画や事業計画、プロジェクトプランがプロットにあたります。この経営計画や事業計画、プロジェクトプランを現実のものにするには、矛盾や対立関係をその都度、克服し、未来創造の方法論として戦略を実行するため、「どのようにやるか(HOW)」という戦略的判断や戦略的行為が必要になります。その判断や行為の基本を示すのがスクリプトです。
    ●戦略とはいわば、ソープオペラ(主に主婦向けの昼帯ドラマ)のような物語りだと主張しています。ソープオペラは番組が進むにつれて登場人物が頻繁に入れ替わり、プロットも大きく変化します。演劇や映画とは異なり、ある定まった終わりに達することを前提に構成されていないため、エンディングが決まっていません。経営における不確実性や動態的特性は、このソープオペラと本質的には同じです。戦略を実行していく過程では、状況がいつ、どこで、どのように変わるかが明確でなく、絶えず変化する状況に対応し、対処していかなければなりません。
    ●マネジメントでは一般的にPDCAのサイクルが多用されますが、PDCAが物語り戦略を遂行するための知的機動戦には不向きであると第3章で述べました。古森氏は第一線の社員一人ひとりが自律的にPを見いだせるよう、Pの前段階として、See(見る)とThink(考える)のステップを置いて「See-ThinkーPD」のサイクルを提起します。すなわち、客体を対象化して外から分析するのではなく、客体に共感し、同じ文脈に入り込んで五感で感じ取って、現実をアクチュアルにとらえ、WHAT(何が)、WHY(なぜに)を問い、本質を見抜くことを求めるのです。
    ●デジタル世代はチェキを、共感を醸し出すコミュニケーションツールとして楽しんでいる。チェキの本質的な価値をとらえたチームは、カメラというモノを売るのではなく、どんな使い方をすれば楽しめるのか、コトを提案する「コト提案」に注力していきました。
    ●人は相手に共感し一体感を抱くと、相手の目標が自己の目標と同一化し、達成に向かって強く同機づけられる、と同時に、自発的な自己統制が働きます。同一力による自己統制であるから、誰も人から統制されているとは思わない。組織における人間統制の一つの理想的な形です。
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    投稿日:2022.03.05

  • tmf-kwt

    tmf-kwt

    ワイズカンパニーからの連続して読んだ。企業ビジョンについて日本の企業を例にして書かれた本はあまりであったことが無いが、組織のビジョンづくりを考えている方にはぜひおすすめしたい。(野中氏はビジョンという表現は使っていないが)

    経営において、「高次の目的」を掲げることの実感が持てない方や、そもそもそういった経営の指針とはいかに組織に浸透していくのかの理論と実践を両方知ることができる本だった。
    実例紹介と、野中氏の丁寧な理論補足が各章セットで書かれているので、非常に読みやすい
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    投稿日:2021.10.17

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