【感想】英語に好かれるとっておきの方法 4技能を身につける

横山カズ / 岩波ジュニア新書
(6件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
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ブクログレビュー

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  • 某社会科教員

    某社会科教員

    〇新書で「学校生活」を読む⑧

    横山カズ『英語に好かれるとっておきの方法 4技能を身につける』
                           (岩波ジュニア新書、2019年)
    ・分 野:「学校生活」×「行事を読む」
    ・目 次:
     序 文(安河内哲也)
     プロローグ Prologue
     1章 偏差値30からの挑戦―海外に留学しないで英語を学ぶ
     2章 私の英語独習法―英語4技能を身につけるために
     3章 4技能を身につけるための使える技法群と練習法
     4章 24時間使いまわせる「ふだん着」の表現
     おわりの前に―プロローグの答え
     最後に―そしてみなさんの始まりに 

    ・総 評
     本書は、筆者独自の英語勉強法である「パワー音読(POD)」について紹介した本です。筆者は同時通訳者・翻訳者として活躍する一方で、英語講師としても人気を博している人物です。
     英語の「4技能(聞く・話す・読む・書く)」をどのように習得するか――これは中高生だけでなく、多くの大人たちにとっても悩ましい問題です。著者自身も幼い頃から「通訳になりたい」という夢を持ちながら、学校での英語学習に挫折し、夢を諦めかけた過去を持っています。そんな著者が、いかにして独自の勉強法を編み出していったのか――この本を読んで面白いなと思った点を、以下の3点にまとめます。

    【POINT①】キッカケは酒場の用心棒?
     著者独自の勉強法が生まれたキッカケは、外国人が集まる酒場でのバウンサー(用心棒)のアルバイトでした。そこでは、お酒に酔ってトラブルを起こす大柄な外国人を止めることが仕事でした。著者は、ケンカに巻き込まれて何度も大ケガを負いながら、次第に「感情が昂っている時」は「使う言葉はシンプルなものだけに限られてくる」ことに気付きます。この経験を通じて、著者は「誰もがわかるような簡単な単語を使い、イントネーションやアクセントを強調する」ほうが「心の奥底から湧いてくる自分の感情を相手に伝えやすい」ことを発見し、そのための手段として“音読”の重要性を認識していくことになります。

    【POINT②】英語学習では自分を「主人公」にする!
     英語4技能を学ぶ上で、著者が最も大切だと思うのは「自分の情緒や感情を〈英語で「思う」力〉」だと言います。例えば、英語を読んだり聞いたりする際は、自分が関心を持っているテーマのものをテキストに選び、そこから「自分の心に響く表現」(=自分で言ってみたい/書いてみたい表現)を探してみたり、テーマに対する思いを「I wonder~(~かなあ)」で言う練習を続けてみたりすることで、本当に使うために必要な「言葉の宝さがし」を楽しみながら、自分自身の英語を作っていくことができます。英語習得においては、自分を主人公にして「心」(=感情・情熱)を中心に据えることが大事だと著者は指摘します。

    【POINT③】英語は「興味と情緒」で学べ!
     著者の唱える「パワー音読」は「感情」・「スピード」・「反復」・「集中」の4つの力(power)を利用して音読を行う勉強法です。その一部を紹介すると、テキストには「自分の感情にフィットする表現が含まれている文章」を選び、イントネーションやアクセントに注意しながら、それを強調したり、トーンやスピードを変えたりしながら、より強く「自分の感情」を表せるように読む練習を重ねていきます。著者は、この勉強法において重要なのは「興味と情緒」であり、興味があるからこそ自然に音読の回数が増え、英語が自動化していくとして、狙うべきは「考える英語」の先にある「考えない英語」であると指摘しています。

     本書の勉強法を一言でまとめると「好きこそものの上手なれ」という言葉にまとめられるでしょう。単に与えられた文章(≒教科書・問題集の文章)を読む/聞くのではなく、自分の「興味と情緒」を惹く文章をテキストにすることで、より「(自分で)話してみたい/書いてみたい」という気持ちを持てるのだと思います。また、本書には“24時間使いまわせる「ふだん着」の表現”として、さまざまな英文が紹介されています。こうした表現をサラッと言えるようになると、より英語でのコミュニケーションも楽しくなるのではないでしょうか。最後に、私のお気に入りの表現を1つ紹介して終わりたいと思います。

    There are so many inconsistencies that I don’t even know where to start.
    (ツッコミ所が多すぎてどこから言えばいいかさえ分からない)

    (1728字)
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    投稿日:2023.07.11

  • 紅霊

    紅霊

    このレビューはネタバレを含みます

    パワー音読
     チャンク音読
     ノーマル音読
     ささやき音読
     和訳音読
     感情音読

    想定してる読者の英語レベルはどの程度なのか気になる

    4章に色々な表現が載っている

    レビューの続きを読む

    投稿日:2021.04.07

  • nuhwlib

    nuhwlib

    請求記号 S830.7-ジユ-834(新書)
    資料番号 300558368

    新潟医療福祉大学図書館 蔵書検索(OPAC)
    https://library.nuhw.ac.jp/opac/opac_details/?reqCode=fromlist&lang=0&amode=11&bibid=1000095075&opkey=B158833863128001&start=1&totalnum=1&listnum=0&place=&list_disp=50&list_sort=0&cmode=0&chk_st=0&check=0続きを読む

    投稿日:2020.05.01

  • Dr.(読多ー)あんころ猫

    Dr.(読多ー)あんころ猫

    著者は通訳者、翻訳家ですが経歴が面白く格闘技をバリバリにやっていて用心棒的な経験もあるとのこと。

    そんな著者の若い頃のエピソードはなかなか面白かった。

    この著者が言う英語上達法はとにかく音読ということでした。続きを読む

    投稿日:2017.09.07

  • きよら

    きよら

    読む、聴くという「受動態」スキルだけでは英語を使いこなせるようには遠回りだと思う。「言えるものは聞き取れる!」のは、その通り。女の子に"I would die for you."より"I would kill for you."の方がぐっと来るとか、若者に伝えるエピソードも上手い。続きを読む

    投稿日:2016.08.06

  • おじまゆうや

    おじまゆうや

    ○英語4技能を身につけるのは怖くない!今からでも遅いなんてことは全くないんだ!
    社会のグローバル化がまことしやかにささやかれ、ますます重要になる「英語」。
    学生の多くは苦手意識を持っているわけだが、最近では「読む・聞く・書く・話す」の4技能を身につけることが重要だ、と言われるようになってきた。
    TOEIC試験運営の国際ビジネスコミュニケーション協会も、「TOEIC SWテスト」を「英語で話す・書く力を測るテスト」として受験機会の提供をしている。

    さてその4技能を身につける方法を記したのが、この本だ。
    「英語に好かれる」とあるが、果たして、英語が自分を好きになってくれることはあるのだろうか??
    この本を読んだ上での答えは、「No」だと思う。
    その代わり、自分で努力した結果、自然と英語と自分との距離が近づいてくることはあるのだな、と思った。

    筆者は筆者の体験として、幼少時に両親から英語より日本語、と言われ、ずーっとそれを根に持っていたわけではないが、実現できない苛立ちを抱えていた。大学に行っても結局そうだったが、バウンサーと呼ばれるアルバイトに出会い、外国人と話す中でよくよく聞いてみると簡単な英語でストレートに自分の想いを伝える彼らの姿があり、そこからは猛特訓したのだという。筆者の中にあった自己肯定感(self-esteem)が、”自分の心の礎にあれば、失敗や困難に出遭ってもそこから再び立ち上がり挑戦する「本当の強さ」を発揮することができる”(p9)のだそうです。このことには人生においても英語においても同感。

    あとは、「英語で思う力」をコアにして、情緒と英語を一つにし、インプットとアウトプットを繰り返す中でふだん着の英語を身につけていく、ということだ。
    日本人は概して自分の気持ちを回りくどく伝えがちな人たちだと思うが、外国人のように感情や理解したことをストレートに言葉に載せて伝えるのが、英語の上達の近道なのかもしれない。
    そして、才能は数をこなして作るものだ、ということも筆者は言っている。
    これも同感。結局天才なんていないんじゃないかな、考えたもん勝ちなんじゃないかな、と私も思っている。

    あとは、筆者の体験談に基づいた生の英語を、実例文をもとに学習しよう。
    結局、近道もなにもなく、好かれるためには自分から英語を好きになり、お近づきにならないといけないんではないかな。
    続きを読む

    投稿日:2016.08.03

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