となりのヨンヒさん

チョン・ソヨン, 吉川凪 / 集英社文芸単行本
(5件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • Shunichiro  Ise

    Shunichiro Ise

    ・星新一的SF世界観と小川洋子的な静けさが同居した、読んでいて非常に心地の良い短編集であった。

    ・架空の舞台を用意することで、現実世界を舞台にしていては表現することができないもの、もしくは表現することが許されないものを描き出すことができるというのがSFの特徴であり、強みである。しかしその特徴ゆえにSF小説は私にとってあまりに強すぎるメッセージ性をはらんでいることがあり、私はSF小説というだけである程度身構えてしまう。しかしこの小説は私の先入観を良い意味で裏切ってくれた。
    著者チョン・ソヨンは、誰もが持ちうる、私達を取り囲む世界に対する希望や絶望といったようなものを寄り添う筆致で描いている。SFにしないと描く事ができなかったのではなく、偶然彼女にとってのキャンパスがSFであったということなのであろう。

    ・各ストーリーの舞台装置は現実離れしたSFそのものであるが、具体的な場面場面は私達の生きる日常から遠く離れることはない描写であり、状況が自然とイメージされるように設計されている。自然と彼女の世界に入り込んでいく事ができるのである。この点もこの小説の魅力の一つであると思う。

    ・特に「アリスとのティータイム」というタイトルが好きでした。
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    投稿日:2021.02.01

  • ぽてち

    ぽてち

    韓国人女性作家の書いたSF短編集。“韓国+SF”ということで最近勢いのある“中華系SF”を連想したが、設定や小道具がそれっぽいというだけで、わりと普通の小説だった。日本の純文学系にもありそうな話で、がっつりSFを期待すると肩透かしを食らうが、ちょっと奇妙なだけで内容はおもしろかった。奇妙さの下に見え隠れする韓国の歴史や社会(映画でも話題になった“半地下”や南北問題など)を踏まえて読めば、より楽しめるのではなかろうか。続きを読む

    投稿日:2020.12.31

  • うらら

    うらら

    星新一とか好きな人にはスッと入ってくる感じの摩訶不思議作品。

    「傲慢になれば道に迷う」か。
    文庫になったら買っちゃうかも。

    投稿日:2020.07.27

  • kuritanu

    kuritanu

    このレビューはネタバレを含みます

    うーんなるほど。作者がジェームズ・ティプトリー・ジュニアに影響を受けたこと、よくわかる。
    SFだが、情緒に訴えるところも、生きとし生けるものへの深い愛情を感じさせるのも良い。
    パラレルワールドものでジェームズ・ティプトリー・ジュニアが出てくる「アリスとのティータイム」、人に紛れて暮らす異星人を養子にした女性と異星人の友情を描く「養子縁組」、隣に暮らす異星人との交流を描く「となりのヨンヒさん」が特に良かった。「ヨンヒさん」は、最高。人種差別の暗喩ではあるだろうけど、それだけではない。人間からは「ガマガエル」と蔑まれる容姿の異星人の、故郷を思う心情と、人間との束の間の友情は本当に切ない。異星人が「イ・ヨンヒ」という、韓国では古くさいと思われるような名前を名乗っているのもおかしいが、本当の名前は名乗れないというところは考えさせられる。
    「養子縁組」も異星人との友情が描かれるが、どちらかと言うと異星人の子どもの特徴を含めて愛する親の姿が心に残る。「跳躍」はケン・リュウみたいだなと思った。
    第二部のカドゥケウスシリーズはもっとたくさん書いて連作長編にしてカドゥケウス社の支配の始まりから終わりまで書いたら『火星年代記』みたいになったんじゃないかと思う。
    LGBTや障がい者の社会参加なども興味深いが、南北問題や、(南にもかつてはあり、北には今もある)情報統制など朝鮮半島特有の問題を扱った作品は特に印象に残る。
    作者は地方からソウル大学に合格し、翻訳者、弁護士としても活躍中とあるから、とても頭のいい人なのだろうが、作品は才気ばしった感じというよりは、共感させるもので、そこも凄いなあと思った。
    他の作品も読んでみたい。

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    投稿日:2020.06.28

  • ayumi

    ayumi

    半地下というワードが出てきたり、感染症の話があったりと、今の社会現象と重なる部分があって恐ろしくなった。作り込まれたSF文学という印象で、人工的で寓話的だけど、『これは近い未来の私たちの生きる世界なのではないか』と、リアルが急に押し寄せたりする。すごい作品だ。続きを読む

    投稿日:2020.03.01

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