戦争は女の顔をしていない

スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ, 三浦みどり / 岩波現代文庫
(38件のレビュー)

総合評価:

平均 4.5
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  • コミカライズからの電子化、ありがとう

    兵士や医師や看護師やパルチザン等としてナチスと戦ったソヴィエト女性からの丹念な聴き取りの記録です。仲間を弔い、心神に傷を負って生還し、戦後を生きることのとんでもない重さ。ファシストに勝ってスターリンに追われるなんて酷すぎます。
    それほど厚い本でもないのに、集中して読み続けるのがつらくて丸々1ヶ月掛かってしまいました。
    でも、読んでよかった
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    投稿日:2020.04.28

ブクログレビュー

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  • NORIS

    NORIS

    2020.9.4高校図書室(長女)
    コミック版を読み終えて、原作も気になると言っていたらそっちも借りてきてくれた(娘自身も多少は興味があるのだろうか)。巻末の澤地久枝の解説をまずは読む。女性兵士たちの証言には女性特有の内容ももちろんあるにはあるが、アレクシエーヴィチの業績を読むにつれ、戦地での経験というのは男女を問わず人生を大きく変えてしまうので、やはり戦争というのは人間にとって犠牲があまりにも大きく酷く、やらないほうがいいものなのだと改めて思う。続きを読む

    投稿日:2020.09.04

  • かずき

    かずき

    彼女らが戦っているのは国や敵兵でなく、戦争そのものなのだろう。さらにこの本からはその戦争がまだ続いているのだと感じ取れる。一度争いを経験すると、その争いは人の心に住み続ける。そして、争いが住み続ける限り、その人にとっての戦争は終わらないのである。また、これは他人事ではない。私達は誰しも争いを経験していて、心に争いが住んでいる。もちろん自分も例外ではなく、これからは自分も、自分の中に争いがあるということを意識して生きていかなければならないのだと考えさせられた。

    【2016.07.13】

    --- --- ---
    再読【2020.08.24】

    女性視点での戦争の実感を、インタビューを元に書いている。

    男性視点で語られる勝利や勲章の話が戦争の後日談を作り上げるが、この本ではそれらを外側から見た女性視点での話が中心になっている。

    1つ1つの話がヘビーなので、読み終わった後に感情を消化する時間が必要。

    戦争を経験していない人から見たら、戦争はどこまで知っても遠い世界の話だが、経験した人からは日常生活の一部。男性視点の英雄が生まれる物語は日常とは離れているが、女性視点での戦争に関する物語は淡々と日常生活の一部であった戦争を語っているなと感じた。
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    投稿日:2020.08.28

  • souno

    souno

    従軍した女性たちの証言集。

    語られるのは、戦争の恐ろしさだけでなない。
    恋や愛について、生活について、お洒落について、「女」であることについて。
    同じ戦争を生き抜いた女性たちが、それぞれの立場と価値観で、過去や現在について語る。

    教科書に残るような客観的な「歴史」ではなく、主観的な証言なので、一人一人見えているものが異なっていて、それぞれに引き込まれた。

    読み終わって、どんな感想を抱けばいいのかわからない。ただ凄いものを読んでしまったなと思う。
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    投稿日:2020.08.08

  • YAJ

    YAJ

    このレビューはネタバレを含みます

     実に力作。
     これでもかこれでもかと連なる、500余名もの証言者の従軍記録は圧巻だが、それを導き出すまでのジャーナリストとしての著者の葛藤や悩み、さらには戦中の想い出ではなく、今置かれた立場からの証言者たちの発言や思いの強さに気圧される。
     その結果、著者が冒頭のほうに記した、

    「私は視野を広げて、戦争という事実だけではなく、人が生きるとは、死ぬとはどういうことなのか、その真実を書かねばならない」

     という目的に限りなく肉薄している。
     当然、死に瀕した緊迫感、あるいはそれが常態化していく戦場という修羅場の異常さは様々な証言で明らかになるが、「人が生きるとは」という問いかけへの回答となるような体験者の後日譚的な陳述が、むしろ、重い。

    「戦争から戻ると何もかもゼロから始めなければならなかった。普通の靴に慣れることも。(中略)スカートなんか見るとゾっとした。戦争中はズボンしかはいていなかった」クラヴヂヤ・クローヒナ 上級軍曹(狙撃兵)

    「その日(=戦勝記念日)の何日も前から洗濯物をためておいて、一日中洗濯をする。何か他のことをやって気をまぎらせていなければ耐えられない」タマーラ・ウムニャギナ 赤軍伍長(衛生指導員)

    「平和な日常への不安・・・・(中略)何の技術もないし、何の専門もない。知っているのは戦争だけ、できるのは戦争だけ」ワレンチーナ・チュダーエワ 軍曹(高射砲指揮官)

     その高射砲指揮官は、こうも語る。
    「私は言葉を見つけたい ・・・・ すべてのことをどうやって言い表したらいいの?」

     混乱する記憶、自分の過去を美化したい思い、子孫に語りたくない気持ちを、いかに解きほぐし言葉を引き出していったのか、著者の並々ならぬ熱意と忍耐の賜物の証言が並ぶ。
     とある証言者のインタビューを書きおこし確認のために送った原稿に対して、

     “私が書いたことはほとんど残っておらず、ずたずたに削られていた。(中略)空いたところに次のようなメモ ― 「私は息子にとっては英雄です。神さまです。こんなのを読んだあとであの子がどう思うか」”

     このような対応は多々あったろうし、戦争経験者として次世代に語り継ぐ必要性と家族の前での自分とのせめぎ合いが痛いほどに伝わってくる。

    “というのも、これは単に戦争というだけでなく、彼らの青春でもあったのだから”

     と著者も理解は示しつつも、時に心を鬼にして証言を文字にしていったのだろう。頭が下がる思いだ。
     “息子にとっては英雄”である母親たちの体験記は、ややもするとカッコいい“女戦士”像となって、意図せぬ方向へと人々の思考、思想を誘導しかねない。あまりにも悲惨な状況の中のカタルシスが、得体のしれない甘美な憧憬として意識に刻まれていきそうでもあり、戦争体験を語ってもらうことの危うさ、諸刃の剣の恐ろしさも感じながら読み進んだ。

     著者も、こう記す;
    「一人の人間の中にある二つの真実にたびたび出くわすことになる」と。それは、美化したい思いが生み出す真実と、“心の奥底に追いやられているそのひとの真実”の二つ、おそらくどちらも当人にとっては”真実(ほんとう)“のことなのだろう。
     しかし、ドイツとの激戦の地、スターリングラードを体験した女性は語る。

    「ねえ、あんた、ひとつは憎しむための心、もう一つは愛情のための心ってことはありえないんだよ。人間には心が一つしかない、自分の心をどうやって救うかって、いつもそのことを考えてきたよ」

     真実はひとつなのだろうか。それとも・・・。千々に思いが揺れながらの読書による戦争追体験だった。

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    投稿日:2020.08.04

  • hosinotuki

    hosinotuki

    15才の少女が年を偽って最前線に向かう.16才から30才ぐらいまでの女性がソビエトの勝利のために自発的に従軍する.その数100万人を超える.その生き残った女性たちの何十年と過ぎて始めて語る真実の重みに打ちのめされた.根気よく丁寧に聞き取られた500人を超える証言は歴史の宝だ.戦争はどんな戦争でも悲惨だから,ある意味志願していったのなら仕方ないところもある,だが勝利の後,従軍女性への蔑視と差別,捕虜になった人のスパイ容疑にはやりきれない思いがした.読み応えのある本で,できるならどのページでもいいから教科書で取り上げてもらいたいと思った.続きを読む

    投稿日:2020.07.16

  • kazzu008

    kazzu008

    この本は、もっと多くの日本の人たちに読まれるべき本である。
    本書は、第二次世界大戦に従軍したソビエト連邦(現ロシア)軍の元女性兵士約500人から聞き取りを行った証言集である。

    本書はいわゆる独ソ戦における従軍記的なものであるが、現実論として第二次世界大戦におけるヨーロッパでの戦闘については日本人にはあまり知られていない。
    日本人は、自国が敗戦国であり、広島・長崎における原子爆弾の被害、東京大空襲での被害、沖縄戦での悲惨な状況等、多くの戦争悲劇を子供の頃から学んでいるが、他国における戦争被害というものはあまり教えられない。

    ちなみに第二次世界大戦で戦争犠牲者(軍人、民間人両方合わせて)が最も多かった国はどこかご存じだろうか?
      日本?ドイツ?それともイギリス?

    これはデータを見ると、ある国が突出して多いことが分かる。
    それはソビエト連邦である。
    ソビエト連邦の第二次世界大戦での犠牲者は約2600万人。ちなみに敗戦国のドイツは約680万人、同じく日本は約310万人である。

    ソビエト連邦の被害者数は日本と比べると約8倍の数値なのである。
    なぜこれほどまでソビエト連邦の戦争犠牲者数は多いのだろうか。ソビエト連邦は第二次世界大戦の戦勝国であるにもかかわらずである。

    これは地理的要素が大きく関わっているのだろう。
    ソビエト連邦はドイツ軍の侵攻を受けた1941年からソ連軍がドイツの首都ベルリンを陥落させた1945年までの4年間、そのほとんどの期間、自国の領土が戦場となっていたのである。
    例えば、310万人の犠牲者をだした日本であるが、日本国内で兵士同士の戦闘が行われたのは約20万人の犠牲者を出した沖縄戦のみであり、本土での犠牲者は原子爆弾や空襲などによる犠牲者が多く、白兵戦での犠牲者はほとんどいない。

    一方、独ソ戦のほとんどの期間、自国内が戦場となったソビエト連邦は、常に自国内で兵士同士が殺し合い、またその戦闘に多くの民間人が巻き込まれた。

    一番わかりやすい例をあげれば、1942年6月~1943年2月の間に戦われたスターリングラード(現ボルゴラード)の市街戦では、当時スターリングラードの人口約60万人が戦闘後は約1万人までに激減したのである。

    このような過酷な戦争をしていたソビエト連邦であるが約100万人もの女性が従軍していたことはあまり知られていない。
    どこの国でも女性が看護師や衛生兵、軍医として従軍したということは多くあるが、このソ連軍の女性兵士はそういった職種だけでなく、ごく普通の兵科(機関銃手、狙撃兵、工兵、戦車兵、高射砲兵、戦闘機パイロット等)として従軍していたのである。
    数多くの10代の女性、17歳、18歳くらいの女の子が自ら志願して従軍していた。
    しかも、彼女たちは後方勤務ではなく、最前線の最も危険な戦場を希望していたのである。

    こういった状況になった原因はいろいろな要素が組み合わさっていると思われるが、実際、先ほどあげたような過酷な戦争状態で男性が物理的にいなかった。つまり、ほとんどの男性は既に戦争に行ってしまい、もう、女性しか残っていなかったということも大きな理由だろう。
    ある村では男性が全くおらず、女性しかいないという状況であったという。

    兵士として従軍した数多くの女の子たちであるが、当然、戦場では女性だからと言って弾丸が避けてくれる訳はなく、当たり前のように簡単に女性兵士たちは銃弾に倒れていった。
    彼女たちのインタビューを読むと、あまりに『死』が当たり前となり、「どうやって死ぬか」という話題しかなかったという。
    例えば、ある若い女性兵士は、戦友の若い女の子の兵士が泥や土にまみれて汚らしく死んでいる姿を見て、『自分はこんな風には死にたくない。お花畑の中できれいに死にたい』と強く思ったという。

    今の日本には、小説にも漫画にもアニメにも若い女性が戦闘で戦うという状況を題材にした物語が数多くある。
    もちろん僕は女性差別主義者でも過激なフェミニストでもないので女性が軍人になるということには反対はしない。
    我が国の自衛隊にも多くの女性隊員が存在しているし、彼女たちが必死に仕事をしている姿には頭が下がるばかりだ。

    しかしながら、『女性が兵士として戦闘に参加する』ということがどういうことなのか、僕は本書を読むまでは本当には理解できていなかった。

    過酷すぎる第二次世界大戦の地獄を生き残り、戦勝国の兵士となって、本来なら「英雄」となるべき若き女性兵士たちの多くは、戦後、いわれのない差別を受けた。特に同じ女性から・・・。

    戦争に行かなかった女性から彼女たちは
      「女だてらに戦争なんかに行って・・・、銃を撃って敵を殺したって言ってるけど、本当のところはどうなんだろうね。私たちの夫や息子たちとよろしくやってたんじゃないのかね」
    と、それこそ従軍慰安婦であったかのような扱いを受けたのである。
    またドイツ軍の捕虜となり、生き残った女性兵士に対しては、それこそ「犯罪者」的な扱いが待ち受けた。

    当時のソ連軍兵士は捕虜になることが禁じられており、捕虜になったイコール、敵のスパイになったと見なされたのだ。

    彼女たちの多くは、戦後、自分たちが従軍していたということを誰にも言えず、戦中に受賞した勲章やメダルはこっそりと隠し持っていたという。そして長い間、彼女たちは自らの体験を心の奥底に仕舞い込んでいたのだ。

    本書の著者であるスヴェトラーナ・アレクシェーヴィチは同じ女性として、彼女たちの心の傷を一つ一つ理解しながら、必死に彼女たちから証言を得ていった。
    元女性兵士の多くは証言を拒否し、アレクシェーヴィチ氏は門前払いを受けたことも多かった。
    しかしながら、心の奥底にしまっていたあふれる思いをぶちまけた女性も数多くいたのだ。

    この本は、そういった彼女たちの心からの叫びをまとめた本なのである。
    まさに心が揺さぶられる物語が詰まっている。
    本書は、『日本国民必読の書』とまでは言えないかもしれないが、できるだけ多くの人に読んでもらいたい一冊であることは間違いない。
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    投稿日:2020.07.11

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