【感想】中高年ひきこもり

斎藤環 / 幻冬舎新書
(11件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • taishibrian

    taishibrian

    もしかしたら自分もその可能性があったかもしれない。現在、40~64歳の中高年でひきこもり状態にある人は61万人いると内閣府調査では言われている。高齢化やひきこもりが長期化することによって中高年ひきこもりは増加し、また専業主婦や家事手伝いといった形での潜在的ひきこもりを含めると100万人を突破している可能性もある。
    https://www8.cao.go.jp/youth/whitepaper/r01gaiyou/s0_2.html

    ひきこもりは不登校や退職といったきっかけで起こることが多く、復学や再就職の難しさが社会復帰への障害となる。うつ病や統合失調症といった精神疾患との併発も指摘されている。また家族にひきこもりがいるといった状況は恥ずべきものとして隠される傾向にあるため、外部に知られずに数年経っているといったケースも多い。

    個人的な経験では、地域に行くと意外と若者が残っている状況が散見される。よくよく話を聞くと、何年間もひきこもっていて地域活動にも参加していないという、地域の中でもアンタッチャブルな存在になっている。秋田県藤里町では若年人口の10%がひきこもりだった調査結果もあり、活性化だ移住だという前にこれら潜在的な課題を解決する必要がある。
    https://wpb.shueisha.co.jp/news/society/2019/10/12/109919/

    中高年ひきこもりはその状態が問題なのではなく、それを支える家族とくに親が高齢で年金に支えられており、介護や死去によって途端にその生活の継続性が詰んでしまう、いわゆる「50-80問題」だ。それまでに対策しようにも、家族ともコミュニケーションが取れていないケースも多いため時間を経るにしたがって深刻化するリスクもある。潜在的な時限爆弾を抱えていると言えるだろう。

    そのため、地域において月3万円とか5万円とか、低収入でも社会参画が実感できるような仕事をつくることは社会福祉上も意味がある。実際に上記の藤里町では、これらひきこもり対策プロジェクトを推進した結果、社会復帰を果たした人々が出てきている。
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    投稿日:2023.12.08

  • lacuo

    lacuo

    2022年11月29日

    宮台真司を、殺意を持って襲った、とされている
    41歳の倉光実容疑者

    一度も、就職したことなく
    ずっと引きこもっていた、らしい

    神奈川県相模原市の一軒家で、
    水道工事業を営む父と母の3人で暮らしていた。

    姉が2人おり、倉光容疑者は末っ子だった、らしい

    仲の良い普通の家庭だった
    と近所では見られていた
    お母さんがエホバの証人の信者で

    数年前にお父さんとタバコを吸って立ち話をしていた時、『女房が宗教にハマって困る』とぼやいていた、そうだ

    倉光実容疑者が自殺した場所は、彼がひきこもっていた離れの家でもあり、彼の母親が「エホバの証人」の集会所にした建物でもあった。

    倉光実容疑者はスポーツが得意で
    野球の強豪校で有名な私立高校にスポーツ推薦で進学したけど
    その頃からひきこもりがちになったみたい


    本書は、2020年1月30日が 第一刷発行(だいいちずりはっこう)だから

    この事件には触れられてないけど

    本書の最後に述べられている
    「ひきこもりもいる明るい社会」のイメージは
    とても現実的なものだと思う。
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    投稿日:2023.02.20

  • 大吉堂

    大吉堂

    今の三大関心ごとのひとつのひきこもり。これは当事者というよりも、その周りの人、自分には関係ないと思っている人向けの本かも。
    何故ひきこもりとなるのかや、しんどさの原因を明らかにして対策を伝える。
    中高年に特化した内容というより全般的なものでした。続きを読む

    投稿日:2023.02.08

  • hisa

    hisa

    このレビューはネタバレを含みます

    斎藤さんは、ひきこもり問題で検索するとよく出てこられる方で、YouTubeの動画もみていましたので、本書も読んでみたくなり読みました。

    ひきこもりの問題は表には出てこないが、秋田県、山梨県、佐賀県での調査から、政府調査の115万人どころか、全体では200万人と考えるのが妥当。
    確かに「ひきこもり」の定義によっては、家事手伝いの女性や、中高年・高齢者等を含めますと、相当数の様々な境遇・状況下の「ひきこもり」達が存在していそうです。

    アメリカ・イギリスなどでは、日本でひきこもりになるような人たちはホームレスになることが多いことから、社会参加できないひきこもり達を無理矢理外へ出せば、大量のホームレスたちが発生する。
    なので、社会参加が容易になるような支援をしていくべき。

    抜け出すには(自力ではなく)家族以外の支援が欠かせない
    まったくその通りで、当事者や家族達は視野が狭くなる悪循環に陥ってしまっているので、色々な意味で、Webでも電話でも相談するのでも、抜け出していくために何がしかの「ヒント」的なものを第三者から得ることは、必ず必要なことです。

    悪徳業者は問題外・論外
    長田百合子・杉浦昌子等の思い上がった手法で、実際に死亡事件まで起きた。
    長田隆宏も評判が悪い。

    第四章家族のための対応のヒント
    この章でのお話の内容は、すべてのひきこもりのご家族の方々にぜひとも読んでほしいお話です。
    ・安心してひきこもり、社会参加の意欲が生まれるように、何がしかに取り組んでいくためにも無制限ではなく小遣いなどのお金を与え、対話は欠かせないし、議論・説得ではなくて、親切に、どうでもいいような会話をしていくべき。

    まずは、公的支援機関のひきこもり支援窓口に相談することが第一

    医療以外の支援、親亡き後のライフプラン=「お金」の問題を考えることは、必要不可欠。
    「急にこの生活が終わる」と強い不安に感じてしまうことが起こりえる。
    「あなたを扶養できるのは後××年が限界だ」と宣言する。
    あと何年は経済的に心配しなくてもいい、と安心して働けるようになること等がある。
    年金・生活保護等、将来必要になる手続きを申請する権利があることを早い段階で認識してもらうこと。

    第六章ひきこもり問題の歴史・現状・未来
    「すでにひきこもりから抜け出しつつあるような人たち」にとっては、就労によって元気になるケアとしての就労移行支援事業は高い可能性がある。
    しかし、抜け出しつつある状態までの段階ではない当事者の場合には、就労支援は「苦痛」でしかない。

    第七章成熟化した社会と未成熟な大人たち
    当事者は社会に出ても、どんどん社会で「成熟していく上位グループ」としてではなく、社会性のない、「非社会的な」ひきこもり的な現状を宿命的に受け入れ、「現状は変えようがない」と絶望し、「下位グループ」の地位でありつつづけることを宿命のように自ら進んで受け入れてしまう点。
    しかしそれでは、社会で人々間の断絶化を深めていき、当事者たちは非社会性の一途をたどるほかない。

    とても読んで良かった本でした。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2022.11.17

  • ひーちゃん

    ひーちゃん

    内容と不釣り合いかもしれないけれど、読んでいてホッとした。引きこもる自由が完全に認められれば、長期間ひきこもる人は激減する。脅されて働くことはしないけれど、働かなくてよいと言われたときに始めて、人は自分なりの働く意味を自覚する。その通りやと思う。続きを読む

    投稿日:2021.09.01

  • morinokazedayori

    morinokazedayori

    とてもよかった。ひきこもりの状態は、本人も苦しんでいる。ひきこもりの捉え方、家族の関り方、家族への支援の仕方が丁寧に書かれている。支援を必要とする状況の人に対して、理解と支援の和が広がることで、支援される人にもする人にもよい循環が広がることと思う。ひきこもりに限らず、様々な立場の人が暮らしやすくなることを願う。続きを読む

    投稿日:2021.02.22

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