【感想】LOONSHOTS<ルーンショット> クレイジーを最高のイノベーションにする

サフィ・バーコール, 米倉 誠一郎, 三木 俊哉 / 日経BP
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
4
3
3
2
0
  • なぜ世界は英語を話すのか?

    独創的なアイデアや発明が生まれ、技術・政治・軍事の分野で最初に数多くの進歩が起きた中国で、なぜ科学や産業の革命が起こらず、インドや中東にさえ遅れをとっていた西洋が、最終的に世界を支配することができたのかについては、これまでも数々の説明がなされてきた。
    『人類5万年 文明の興亡』、『神と黄金』、『人口で語る世界史』など同テーマを扱った本を読んできたが、沈括とティコ・ブラーエという2人の男の運命に焦点を当て説明する最終ページには、少し意表を突かれた。
    二人は同時代人ではないが、ともに当代随一の科学知識を有し、天文学の研究に邁進していた。最初は中国の皇帝やデンマーク王からそれぞれ惜しみない支援を受けていたが、やがて時代の変化とともに打ち切られ追放の憂き目に合うのも共通している。

    「しかし決定的な違いがあった。ティコはデンマークを去ったあと、ヨーロッパ中で新しいパトロンを探した。するとプラハのルドルフ2世が手を挙げた。ティコはそこへ天文台を移し、ケプラーとともに仕事を続けた。それが最終的にケプラーによる天文学の再編へとつながった。他方、沈括は政府を去ったあと、行き場がなかった。天文学を支援できる支配者がほかにはいなかったうえ、天の研究は皇帝にしか許されておらず、民間人が天文学を支援するのはご法度だった」。

    中国にはコンパス・クランク軸・深井戸堀削・鋳鉄・火薬のような先駆け的なアイデアがあり、航法・交通・灌漑・鉱業・軍事などの技術が揃っていたが、ぷよぷよのような連鎖コンボが決まらず、小さな発火にとどまった。
    一方ヨーロッパでは、「望遠鏡(オランダ)を空に向けた(イタリア)結果、楕円軌道(ドイツ)や地球の動き(ポーランド)が確認され、それが最終的に慣性(イタリア)や幾何学(フランス)の考え方と組み合わされて運動の統一理論(イギリス)につながった」。

    著者は、これらの説明をルーンショットやクリティカルマス、相分離、動的平衡など、出身の物理学から援用した独自の用語で説明しているのだが、いま一つ芯を食っておらず、わかりにくい。
    組織マネジメントを学ぼうと手に取る人も多いと思うが、これまでの類書の定義とも一致しておらず、混乱を招いている模様。
    確かに、独自用語を交えて本書のアイデアを語ろうとしても、当たり前のことを難しく言い替えただけに聞こえるかも。
    それでも内容は抜群に面白いので困ったものだ。
    続きを読む

    投稿日:2020.06.03

ブクログレビュー

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  • yakko

    yakko

    イノベーションに取り組み続けないと死ぬ、というのはかなり衝撃受けた。
    Googleの20%ルールはかなり合理的なんだなと思った

    投稿日:2024.03.29

  • kk

    kk

    どのようにすれば、大きな企業がイノベーティブでいられるかを、例を出しながら述べていくスタイル。

    ただ日本企業にそのまま当てはめられるかと言われると微妙。

    投稿日:2022.07.05

  • M. Nakamoto

    M. Nakamoto

    いかにもマッキンゼーという感じ。
    物理と組織運営を繋げる見方は興味深いが、そこまで関連づけることでもない感じがした。
    事例の幅が広くコロコロ変わるため、すごく読みにくかった。
    最終的には付録Aのサマリーだけ読めばよかった気もする。
    とはいえ、パンナムやポラロイドといった事例は興味をひいた。
    続きを読む

    投稿日:2021.04.21

  • 山口 公大 / Kota Yamaguchi

    山口 公大 / Kota Yamaguchi

    誰からも相手にされず、一見馬鹿げたように見える世界を変えるアイディアやプロジェクトを起こすために、集団を相転移の科学を使って育てることを、過去の事例や研究をもとに論じていく本。
    詳細は下記
    https://note.com/t06901ky続きを読む

    投稿日:2021.03.24

  • T.Fukuyama

    T.Fukuyama

    アイデアで一発逆転できる組織を作るにはどうすればよいか知りたい人におすすめ

    【概要】
    ●ルーンショットの概要
    ●ルーンショットを活かすための条件
    ●ブッシュ・ヴェイル ルール
    ●相転移の科学

    【感想】
    ●ブレークスルーに必要なアイデア出しの参考にしようと思ったが、読んでみると経営に関する本だった。
    ●優秀な人材が揃っていることが前提であり、その中でどう組織を運営すればよいかが書かれているため、人材の質が不足している組織には参考にしにくい。
    ●洋書の訳書は理解しにくい。違和感のある日本語の使い方であるため、なかなか頭に入ってこない。一文毎の訳文は理解できるが、それが何を意味するのか前後の文との関係や全体のコンテクストが理解できない。
    続きを読む

    投稿日:2021.03.05

  • noguri

    noguri

    他の人のレビューや後ろの解説にもある通り、超絶読みにくい。。
    とても知的好奇心が満たされる本ではあるのですが、
    欧米の本特有のてんこ盛りの事例な上に、
    著者が言いたいことが中々分かりずらいという構成。
    著者の頭はいいんだが、
    読者を想定して書けていない(読者も自分と同じくらい頭がいいと思っている)典型的なパターン。

    物理学からヒントを得て、イノベーションについて考察した本なのですが、
    内容はとても面白いです。
    面白いだけにもったいない本という印象。
    続きを読む

    投稿日:2021.01.28

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