独ソ戦 絶滅戦争の惨禍

大木毅 / 岩波新書
(45件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
17
15
6
1
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ブクログレビュー

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  • midnight1124

    midnight1124

     ドイツが勝つとか、ソ連が勝つとか、そんな事ではなく、人類のある固まりを丸ごと絶滅させようとする意志が人間に存在したことがあり、実際にそうしようとした存在がある事を怖れる。
    ナチスとロシア、ヒットラーとスターリン、どちらの狂気も数百万の自らの国民を死に追いやる。自国民を人間として扱わないような「指導者」に、人々はどんな気持ちで従っていたのだろうか? それは本書からは窺い知れないが、とにかく悲惨である。
     戸部良一ほか「失敗の本質」(中公文庫)を読んで、日本軍の失敗が必然となった組織、国民を人間としてみない組織の愚かさに怒りというか恐れを抱いた。そして、西にも同様の組織があった。これは人類普遍の原理なのかもしれない。人間がいかに愚かか、そして大多数が極めて弱い存在なのかという事を知らしめる。そういうものである、ということから戦後の秩序は作られていった。そして今、それが破壊されようとしている。こんな時代だかにこそ、いま改めて史実を知ることが重要である。独ソ戦の悲惨と、人類の野蛮の一部がここにある。

     独ソ戦で両国合わせて、千数百万人が戦死した。これは太平洋戦争で戦死した日本人の6-7倍、もしくはそれ以上である。
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    投稿日:2020.02.11

  • ハマダ

    ハマダ

    終章より:
    絶滅・収奪戦争を行ったことへの贖罪意識と戦争末期における
    ソ連軍の蛮行に対する憤りはなお、ドイツの政治や社会意識の
    通奏低音になっている。敢えてたとえるなら、ドイツ人にとっての
    独ソ戦の像は、日本人が「満州国」の歴史や日中戦争に対して抱く
    イメージと重なっているといえよう。

    なるほど・・・。
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    投稿日:2020.01.31

  • rakuta

    rakuta

    第二次世界大戦におけるドイツの東部戦線とか、ナポレオン同様にロシアの広大さと冬将軍に敗れたドイツ軍といった程度のイメージしかなかった独ソ戦だが、将兵の戦死者数だけ見ても太平洋戦争における日本軍死者の数倍に及ぶ規模の損害を双方が出すほどの大規模かつ凄惨な戦争であったことが分かった。しかも、その発想において、通常の戦争ではなく、敵方の人的・物的資源を奪う収奪戦争、また、敵国・民族を抹殺する絶滅戦争が志向されていたということで、独ソ戦は20世紀ヨーロッパとは思えない狂気の戦争であった。
    本書は、そのような独ソ戦の戦闘経過を追いつつも、その思想的背景についても提示する。また、旧国防軍を中心としたヒトラー悪玉論に寄らず、国防軍による対ソ戦志向や、旧日本陸軍を彷彿とさせるような国防軍による楽観的な対ソ戦観や兵站軽視などもしっかり指摘し、ドイツが敗れるべくして敗れたことが分かる。
    緒戦で勝利を収めつつも、戦線が拡大しすぎて補給も困難となり、そのうちに驕りが出たり相手方の物量に圧倒されて負けるという点で日独は似ているが、本国でも物資欠乏や工場動員などに耐えてきた日本と、第一次大戦時の内なる反乱が再び生じることを恐れて本国の国民には無理を強いずに占領地からの資源収奪で賄ったドイツの相違が興味深かった。
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    投稿日:2020.01.21

  • kumasank

    kumasank

    独ソ戦がいかに悲惨な戦いであったかがわかる本。焦土作戦とか包囲戦とか、とにかく費やされた物量が並ではない。こういう戦いはもう起こらないでほしい。

    投稿日:2020.01.17

  • hokkaido

    hokkaido

    第二次世界大戦における独ソ戦は未だに破られることがない人類史上最悪の戦争である。ドイツ及びソ連の兵士・民間人も含めた犠牲者数は、正確な数値は不明であるものの、3,000万人以上とされている。なぜ独ソ戦は第二次世界大戦の中でもここまでの犠牲者を出したのか。その理由を、「2つのイデオロギーが衝突し、敵対する陣営を絶滅せんとする”絶滅戦争”という新たな戦争の概念であったから」という観点から説明するのが、本書である。

    著者が防衛相防衛研究所の勤務経験を持つなど、軍事史に精通しているということもあってか、丹念にドイツとソ連の相互の軍事行動を紐解きつつ、ヒトラー及びスターリン及びその指示化にあった軍隊の度重なる作戦ミスが、どのような悲劇につながるのかが示される。

    また、特にドイツにおいては、独ソ戦は全てヒトラーの指示に基づくものであり、軍隊の側には一切の責任はない、論調がかつては主流であった。しかし、近年の歴史研究の成果から、実は軍隊の側もヒトラーの指示とは別に十分な意思決定を行う実権があり、彼らの責任も十分にある、という点が示されており、本書もその歴史理解の元で、軍隊の側がどのように思考・行動したか、というプロセスがしっかりと描かれている。

    このような決して万人受けするようなテーマではないにも関わらず、2019年7月に出版されてから7万部を突破しているというのは不思議だし、かなり読み手を選ぶ本ではあるが、どのようなメカニズムで人類最悪の戦争が行われたを理解することの意味合いは、現代においても十分大きいということなのだと思う。
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    投稿日:2020.01.13

  • YAJ

    YAJ

    このレビューはネタバレを含みます

     戦況の詳細な分析よりも、「独ソ戦」史観の変容などが語られている点が興味深かった。戦後、プログラム学派の学説がもてはやされたのは、あらゆる物事をヒトラーに集中しておけば良かった国際世論の都合もあったろうというのは、非常に納得。 近年、2000年を超えるまで一般的には伏せられていた資料が多かったことにも起因するのだろうが、いわゆる“「過去」は、あなたの認識が作るもの”という量子力学的世界観としても得心がいく。

     本書は、ロシアものとして当然興味のある内容であったが、『セイビング・レニングラード』という、独ソ戦の中の「レニングラード包囲戦」を扱ったロシア映画を仲間内でレビューしようという企画の参考資料として読んだもの。

     ご覧あれ;https://j-r.news/cinema/2020/01/07/6015/

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    投稿日:2020.01.07

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