【感想】狼と香辛料XXII Spring LogV

支倉凍砂, 文倉十 / 電撃文庫
(7件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
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  • isutabi

    isutabi

    【感想】
    ・最初の話「狼とどんぐりのパン」は映画「サイレントランニング」を思い出させるせつない話だがホロとロレンスが少しの救いをもたらしてくれた。このせつなさはいつかホロも味わうことになる。
    ・ホロとロレンスの新たな旅は『狼と羊皮紙』でコルとミューリが巻き起こしている影響の尻拭いという様相を呈してきた。改変には混乱がつきものなので。

    【一行目】
     ロレンスが外出から戻り、宿の扉を開けると、部屋の真ん中に少女が立っていた。

    【内容】
    ・「呪いの山」と呼ばれている山を調べるクエスト。そこには人ならざるもの、栗鼠の化身ターニャが「師匠」たちの帰還を待ちながら一人で山を守っていた。
    ・大きな市が盛況で稼いでるはずの商会がピンチに。なぜ?
    ・「羊皮紙」から出張? コルとミューリの話もある。結婚式をする・・・話。

    ▼狼たちの旅についての簡単なメモ(香辛料9巻~11巻、21巻~22巻と羊皮紙1~2巻より)

    【諦める】《なにかのためになにかを諦めるなんてのは、本当は正しくないのだから。》香辛料21巻p.192
    【新しい村】人々をまとめる強力ななにかが欠けていることが多い。
    【アティフ】港町。北方の海賊たちからの防衛の拠点でもある。
    【アラム】セリムの兄。真の姿は狼。傭兵などをしていたが聖女伝説のある旅籠を営むことになった。
    【アルテ・プリステル】コルとミューリがラウズボーンで出会った燃えるような赤毛の花嫁。筋骨たくましく、戦士のイメージがある。チェダーノ家のメルクリオと結婚する予定。
    【異端審問官】恐いイメージ。処刑人や拷問使と同じ意味として呼ばれる。
    【ヴァラン司教領】昔、客死した大金持ちの遺言でヴァランという農夫が教会をつくり土地から岩塩なども算出し栄え司教座賜った司教区。今は資源も枯渇して寂れており山では何かが「出る」らしく「呪われた山」と呼ばれている。
    【ウィンフィール王国】教会と仲が悪い。
    【エーブ】やり手で剣呑な女商人。すべてを憎んでいるようなところがある。元はウィーフィール王国の貴族で本名はフルール。
    【エルサ】絵に描いたような聖職者。コルが師事していたこともある。真面目で堅物。ホロとは仲が悪い。というよりホロが苦手にしているご仁。ホロとロレンスの結婚式を取り持ってくれた。後にヴァラン司教領で再会。《エルサが聖職者として優秀なのは、こちらの腕の中に上手に義務感を抱かせるからだ。》香辛料22巻p.160
    【狼と香辛料亭】温泉郷ニョッヒラにある評判のいい湯屋。主人はロレンスという行商人上がりの男。おかみさんはホロといういつまでも若く美しい少女のような女性。
    【オータム】ケソンの孤島のひとつにある修道院でひとり暮らす修道士。コルに強烈な印象を与えた。人が暮らせると思えない苛酷な環境で、生への執着を感じさせない男。黒聖母を彫り続けている。付近の「海賊」たちですら敬意を払って臣下のように従っている。「罪の意識」による信仰心だと自分で言う。《そこにいるのは、罪を食らう動物だった。誰かが刈り取らなければいけない罪を自らが食べ、消化し、また食べる老いた山羊だった。》羊皮紙二巻p.199。この男が例の「月を狩る熊」そのものだったとしても驚かない。
    【オーラー】エーブに商売の手ほどきをしてくれた商人。没落前からの知己であり、エーブの夫となった男の部下でもあった。
    【絵画】宝石を砕いて絵の具にして描くような代物。要するに高額。
    【海賊】と目されているが実態は北方島嶼地域の自警団的存在。普段は治安維持の役目を負っている。ただし、暴力的手法は取る。それが有効だから。
    【キーマン】ルド・キーマン。ローエン商業組合在ケルーベ商館別館を預かる貿易商。
    【教会文字】教会で用いられる特殊な文字。ロレンスにも一部しか読めない。
    【教皇】なんか欲にかられてとち狂ったらしい。と外見上は見えている。税をかけまくっている。
    【偶然】《道が交わるのにも、それなりに理由があります》エルサ香辛料22巻p.61
    【黒聖母】北方の海の民の間で信奉されている聖母像。ハイランドが入手したものは黒玉で作られていたが他の材料があるかどうかは不明。一般的なものとは異なり黒い。革袋などに入れて携行するが実際に救われたものが多いと霊験あらたかで信奉する者多し。港町ケソンの修道院の修道士が一手に作っているらしい。元は火山噴火による島滅亡の危機を我が身を犠牲にして救った一人の女性のことらしい。実話なのだとしたらとても人間業とは思えないので人ならざるものだったのかもしれない。狼神のような。
    【ケソン】北の島嶼地域の中で一番大きな島。
    【ケルーベ】北と南が対立している町。
    【コル】トート・コル。羊皮紙では主人公。ホロ、ロレンスとともに旅することになった賢く素直で健気な少年。皆が弟子にしたがるが本人的には将来は聖職者。後に湯屋の手伝いをし、ホロとロレンスの娘ミューリに振り回されることになる。ニョッヒラを出た後「薄明の枢機卿」とか呼ばれるようになったらしい。ミューリいわく「兄様は世の中の四分の一しか見てない」「兄様は人の良いところしか見ないからね」羊皮紙第一巻p.183
    【コルらしい匂い】ミューリいわく「不幸を耐える方法じゃなくて、幸せを増やす方法を探す。それがどれだけ少しだったとしても、皆が無理だと思っていても、あったかい太陽はあっちにあるんだって信じて歩く、眩しい明るさがある。世界は不毛の大地なんかじゃないって、皆が力を合わせたら良くなるんだって、頑固な思い込みがある。そういう匂いが、あると思う」羊皮紙二巻p.351
    【サロニア】春と秋に大市が立ち大騒ぎになる町。
    【幸せ】《結局、ミューリが幸せであるのなら、それに越したことはないのだから。》羊皮紙2巻p.78。親バカならぬコルの兄バカ。
    【ジサーズ】陸の孤島のような北の鄙びた寒村。
    【商人の言葉】省略されたものがいっぱいある。
    【視力】狼は基本的にあまり視力がよくないようだ。
    【信仰と現実】《目の前にあるのは、祈りが最もその無力を現す場面なのだ。》羊皮紙二巻p.197。信仰は一種のファンタジーだから。
    【スヴェルネル】ニョッヒラの近くにある大きな街。
    【ステファン】アティフのデバウ商会でコルたちの世話係をしてくれることになった商人。いろいろあってコルを恐れているフシあり。
    【スフォン王】ウィーフィール王国の王。ちと頭が堅そう。
    【聖務停止】教皇が、クレームをつけてきたウィンフィール王国に対抗するため、王国内での教会の仕事を停止させた。いわば医師が治療費が高額すぎると訴える目の前の患者に治療を施さないような感じ。
    【聖典】教会が一般に対して内容を秘匿している。ゆえに好きなように解釈して伝えることが可能。コルたちはそれを一般に広めたい。難解な言葉で書かれているらしく宗教家でも読めない者が増えてきたので教会文字が発明された。それもまた一般には流布しておらず、ロレンスでも完全には読めない。第七章までが主要な教えで、後は神から言葉を賜る預言者の旅の模様や、弟子たちの現行録。
    【セリム】「狼と香辛料亭」従業員。実体は白狼。ミスが多かったのは眼が悪かったからだとわかりロレンスがメガネをプレゼントしてくれた。
    【総督】細身で風格のある老人。元ルウィック同盟の大幹部で遠隔地貿易船を率いていたので「総督」と呼ばれていた。隠居後はアティフの鰊の卵の先物取引なんかで楽しんでいる。
    【ターニャ】呪われた山と呼ばれる山にいた人ならざるもの。栗鼠の化身。一人で森を維持しながら、尊敬する錬金術師たちの帰還を待っている。わりとホロが気に入る。
    【大切なもの】《過去に旅をしてきて得た数少ない鉄則は、大切なものは必ず手の届くところに置け、というものだ。》羊皮紙2巻p.132
    【太陽銀貨】デバウ商会が独自に出す高品位の銀貨。太陽の図柄が描かれている。ロレンスたちが創設に関わった。
    【旅人】旅人は嫌われがち。「旅人はどこへ行ってもこんな感じですよ。歓待されるほうが少ないものです」羊皮紙2巻p.143
    【月を狩る熊】滅びの化身。多くの伝説が残っている。ホロたち狼神的な存在ですら土地を追われ離散せねばならなかった原因らしい。現在姿を見るものはいない。伏線的に「狼と香辛料」のラストはそいつとの対決になると思っていたが。
    【デバウ商会】大陸北部に勢力を広げる大商会。
    【ドイッチマン】ウィーフィール王国、テイラー商会の商人。
    【年寄り】《年を経た者は皆、子供じみてくるのだと。》香辛料22巻p.15
    【鶏】去勢した雄の鶏は、雌の鶏よりも旨いらしい。なんて話をしたばかりにロレンスは鶏を買わされることになる。
    【ニョッヒラ】湯屋「狼と香辛料亭」のある北の温泉郷。シーズンは雪深い冬。
    【ノーラ】ある町で苦労していた羊飼いの少女。狼と羊飼いは仲が悪い。
    【ハイランド】ウィンフィール王族の血脈。諦めないのがいいところ。コルはニョッヒラに湯治に来たハイランドに口説かれウィンフィール王国の力になりたいと思うようになった。つなぎはデバウ商会が担当しているようだ。商売上にも有利なようだ。ミューリはハイランドのことを信用していないし敵意を見せている。
    【ハスキンズ】ブロンデル大修道院の離れ的な場所の羊飼い。羊のことならば神よりもくわしいらしい。《旅の詩人が口にすれば単なる気障な台詞でも、ハスキンズが言えば真理の一言になる。》
    【パスロエ】ロレンスがホロと出会った村。ホロは長い間この村の守り神をしていた。
    【旅籠】アラムたちが営んでいる、聖女伝説のある修道院を宿泊施設にしたもの。その伝説の聖女はセリムのことらしい。
    【ハンス】エーブがフルールだった頃彼女をバカにしたような態度を取っていた商人。
    【ハンナ】「狼と香辛料亭」の炊事場を采配する女。実体は鳥。
    【ピアスキー】ラグ・ピアスキー。ルウィック同盟に所属する旅商人。
    【ビーベリー】近隣の領主。善人。
    【ヒルデ】デバウ商会のトップ。兎の化身。
    【フルール・フォン・イーターゼンテル・マリエル・ボラン】エーブの本名。没落お嬢様。
    【故郷】わっちらには新しい故郷を作るなどという発想はありんせん。故郷は故郷。誰がいるかではなくどの土地かが重要なんじゃ。(byホロ)
    【ブロンデル大修道院】ウィーフィール王国にある有名な修道院。
    【ベルトラ】エーブがまだフルールだった頃の女中。エーブより一歳下。
    【放浪学生】学生の身分で放浪している。コルもロレンスと出会った頃はこれだった。多くは悪行の数々により評判が悪い。
    【ホロ】香辛料のヒロイン。人の姿のときは華奢な美少女、正体はかつてヨイツを治めていた巨大な賢狼。故郷に戻りたくてロレンスと旅している。麦の穂に宿る。後に湯屋「狼と香辛料亭」のおかみさん。人よりはるかに長い時を生きるのでロレンスが死んだ後は再び旅をするのかもしれない?
    【ホロとロレンス夫婦】《まさかずっと幸せでい続けられるだなんて、驚きをとおり越して笑うしかなかった。》byコル羊皮紙1巻p.26
    【ホロの機嫌】よく変わる。が、理由のあることが多い。賢狼だから。
    【味方】《少なくとも、自分はなにがあっても、ミューリの味方です。》羊皮紙1巻p.127
    【ミューリ】ホロとロレンスの娘。羊皮紙のヒロイン。名前はホロの古い仲間から取った。天真爛漫で図太く奔放。人の姿のままでも充分すぎるほどの野生児だが狼の耳と尻尾を持っている。巨大な狼に変身することは今のところできないようだ。銀色の髪の毛は油に濡れているようにしっとりしているのに触ると指のあいだをさらさら抜けていくようで彼女の自慢らしく、日々お手入れを欠かさない。コルが宗教の道を求めてニョッヒラを出ていったら「私も旅に連れていって!」。その後なにやら「聖女」と呼ばれるようになっているらしい。
    【ミリケ】スヴェルネルの顔役。悠久の時を生きる獣の化身。
    【ミルトン・ポースト】エーブがフルールだった頃取引相手となった、衣服を取り扱っていた商人。貴族出身でフルールは彼に少し惹かれた。
    【未練】丸顔の船頭が語る。《同じ川の流れには二度と入れない、未練がましいことも悪いわけじゃない》羊皮紙1巻p.23
    【無邪気】《自分が無邪気すぎるのだろうか? だが、信仰とは本来無邪気なものだ。》羊皮紙第一巻p.191
    【メルクリオ】コルとミューリがラウズボーンで出会ったチェダーノ家のお坊ちゃん。新郎。
    【儲ける】《わっちが喜ぶ以上の大儲けがあるとでも!?》香辛料22巻p.17
    【ヨイツ】ホロの故郷。
    【ライハ・フリードフ】ケソンの教会のトップ。見たところ好好爺でいつも酩酊している。北方島嶼地域のことをいろいろ教えてくれた。
    【ラウズボーン】ウィンフィール王国の港町。
    【ラウド商会】サロニアの町の商会。ヴァラン司教領のために尽力してくれていたが困難に瀕している。
    【理想】「私は理想を追いかけていたのではなく、単に世界がこうあって欲しいと無邪気に願っていただけのようです」羊皮紙二巻p.215
    【ルウィック同盟】大陸北部を根城にする商人の一団。30の貴族を後ろ盾にした十の大商会が統べている最強の経済同盟。月と盾の紋章旗を掲げている。ほとんど一国に等しい力を持っている。
    【ルワード】有名な傭兵団の長。
    【レイノルズ】ケルーベ「ジーン商会」の主。「狼の骨」について何か知っているらしい。ずっこい儲け方を実行していた。
    【レノス】コルが子どもの頃にはまだ教会がなかったが今や司教を任命する司教座が置かれ北の地の教会の中心地となっている。
    【錬金術師】ターニャのいる山に来た錬金術師。空の研究をしていたらしい。火を使わずに鉄を精錬することができた。ターニャは「お師匠様」と呼んでいる。猫の化身が一番弟子だったらしい。彼女はおそらく恋人か妻だったと思われる。ターニャに植林するように命じて去っていった。一般には神や天使の存在をまったく信じていない連中。
    【ロレンス】クラフト・ロレンス。香辛料の主人公。狼娘に翻弄される幸せな毎日を送る行商人。とはいかないか。後に湯屋「狼と香辛料亭」主人。
    【若い司祭】アティフの鰊の卵取引所を閉鎖すると宣言した。どうやらコル(薄明の枢機卿)に感化されているらしい。
    【「我々の神の書」計画】ハイランドやコルが考えている計画。聖典の俗語翻訳版を作り、個人個人が考えていくことができるようにすること。教会は自分たちの矛盾を指摘されないように民衆を無知のままにしておきたいので当然反発すると思われる。また、内容の解釈も研究者の間でも異なるので困難があると思われる。
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    投稿日:2021.10.27

  • hanemitsuru

    hanemitsuru

    ちょうど『9年半ぶりの新刊「涼宮ハルヒの直観」発売決定』というニュースが流れています。

    ハルヒをDisるわけではありませんが、主人公とヒロインが延々とラブコメ的展開を繰り返しているうちに新作の発表間隔が間遠になり、いつの間にやらシリーズがフェイドアウト、という作品もみられる中、主人公とヒロインがきちんと結ばれたのち、ヒロインの娘が新たな主人公とともに新シリーズで活躍を始める、さらに母になったヒロインは娘の後を追い始める…という目新しい展開を見せている「狼と香辛料」、ホロのほうのお話の5冊目です。

    ホロとロレンスがミューリを追って旅立って、外伝の寄せ集めみたいだった「香辛料」のほうもかつての輝きを取り戻しつつあります。やっぱり旅にあってこその「狼と香辛料」。今回はロレンスが行商人の腕を存分に振るってホロにいいところを見せるお話もあるのでなおさら。

    2組の主人公それぞれ別に旅をさせるのは大変なのか、最近刊行ペースがちょっと落ち気味なのが気がかりでしたが、「羊皮紙」のコミカライズも始まっており、当分はこの世界のお話を聞かせてもらえそうです。

    以下、各話毎に一言。

    「狼とどんぐりのパン」
    次の「狼と尻尾の輪舞」と合わせて1冊にしてもいいようなお話です。
    再会を果たしたエルサからロレンスとホロが売却を依頼された山には、リスの化身「ターニャ」が木を植えながらある人間の帰りを待っていたのでした…。

    ということで、珍しく巨乳(とは書かれていませんが「たわわ」だそうな)であることが明らかにされているリスの化身、ターニャが登場しました。

    人と人ならざる者との恋、永遠に近い時間を生きる人ならざる者が人に恋をすると何が起こるのか。それぞれの立場からターニャの気持ちに寄り添おうとするロレンスとホロの気持ちが切ないお話です。

    ちなみに、彼女が待っているのは、同じ作者の別シリーズのラノベ「マグダラで眠れ」のキャラクターだそうなので、「狼と香辛料」しか読んでいない読者には多少感情移入しにくいように思えます。これ、「マグダラで眠れ」も読めってことでしょうか…。

    ついでに言えば、鉄を製錬する際に使う「炭」は燃料である一方で還元剤でもあるので、収束した太陽光で温度を上げて鉄鉱石が溶ければよいというものでもないように思いますが…「錬金術」だからその辺はそれでもいいということなのかしら。

    「狼と尻尾の輪舞」
    山の売却代金の小切手をもってロレンスとホロが向かったサロニアの街は市が開かれ好況を謳歌しているはずですが、通貨の不足から大混乱をきたしていました。

    エルサも同行していますし、「狼とどんぐりのパン」で入手した巨額の小切手がキーになっていますから、上にも書いたとおり一冊分の長編にもできそうです。「香辛料」側でも読み応えのある長編をまたお願いします。

    このお話の山場はロレンスが大見得を切るところ。
    半分はホロの気持ちを引き立てようと、残りの半分はたぶん本気で「商いの魔法を見せてやろう。せいぜい、俺のことを見直すんだな」と言い放つロレンス、これ以上ないほどの見せ場です。もちろん、これほど無理目な演技が似合わないキャラクターもいないでしょうし、ロレンス自身もわかってやっているんでしょうけれど。

    またもや蛇足ですが、通貨不足とキャッシュフローの悪化がごっちゃになってるような気がします。
    この地域では、通貨、特に少額貨幣が不足して支払いに苦慮する状態であることが示唆されていますが、これが個別の企業のキャッシュフローの悪化で説明されています。売掛と買掛を相殺するような方法でキャッシュフローの悪化が解決したように書いてありますが、通貨不足が解消しない限りまた同じことが起こるんじゃないかな…?

    「狼たちの結婚式」
    ミューリ側の外伝。
    ウインフィール王国のラウズボーンで騒動を解決した後の平和な日々を描きます。

    ひょんなことから結婚式の手伝いをすることになったミューリとコル。しかし、幸せであるべき新婦から、自分の家はこの結婚に不満を抱いており、新郎の暗殺を企んでいる、新郎を守りたい、との相談を受けたのでした…。

    ということで、かなり無理のある展開をはさんでミューリとコルが結婚式の手伝いをすることになるお話。新婦アルテは父が、アルテの父や新郎のメルクリオはアルテが、この結婚を気に入っていないと思い込み、それぞれの思惑でそれぞれのたくらみを進めていたのでした。

    このお話のヒロインは、ミューリより新婦のアルテ。大きくたくましい身体をもち、武張った家に育った彼女でしたが、自分よりはるかに弱弱しいながら、即興でなんとも肩の力が抜けた詩を捧げてくれたメルクリオに本当に惚れてしまっています。
    「結婚」に憧れているミューリの目を通せば格別、そうでなくともその健気さ、可愛さが光り、それを言葉に起こすことができる作者の能力をうらやましく思ったりしました。

    で、1年に2回出番が来ると思われるミューリそっくりの毛並みを持つ子犬、今後の旅に連れて行くのでしょうか。名前はどうしたんでしょう。結構気になっています。
    続きを読む

    投稿日:2020.09.04

  • jube

    jube

    なんと狼と香辛料も22巻、スプリングログの5冊目。やっぱりホロとロレンスのほうが面白い。スプリングログになってから、ロレンスの老いと、残されるホロの事がちらほらと描かれるのが、大変身につまされてしみじみとする。繋がった短編が2編とミューリとコルが主のとある結婚式の話。永遠と言っていいほどの時を生きる、スピリッツのような存在の動物たちがとても心動かされる。リスが新しく出てくるが、年を経ると、逆に子供のようになっていく、という設定が加えられていて、ホロの説明にもなっている。ミューリの話は羊皮紙ではなくてこちらに入ってるのが気にならんこともない。続きを読む

    投稿日:2020.03.12

  • けんたいかん

    けんたいかん

    このレビューはネタバレを含みます




    ラノベの中でもトップレベルの素敵カップルだと思う。
    ホロとロレンスの話。
    最初の天使のネタも含めて、なんとなく展開は読めてしまうものばかりだったが、この二人のやり取りが見れるだけで十分な内容。懐かしのキャラもいるし。
    なんだがんだでまだまだ続いて欲しいシリーズ

    レビューの続きを読む

    投稿日:2020.02.09

  • きったん

    きったん

    今作もいっぱいニヤニヤしました。
    別に大事件に巻き込まれたりしなくてもいい、ただただずっと見ていたいので20周年もお願いします。
    マグダラも読まないといけなくなりました。。

    投稿日:2020.01.28

  • よーぐる

    よーぐる

    話のオチとしてはまあそこまでひねったものではないので、読後感がいいわけではないけど、安定はしているなあという感じ。

    投稿日:2020.01.21

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