【感想】科学オタがマイナスイオンの部署に異動しました

朱野帰子 / 文春文庫
(20件のレビュー)

総合評価:

平均 3.4
2
5
7
3
0

ブクログレビュー

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  • kitano

    kitano

    非科学的な圧力、宗教的な圧力で人生が曲がった
    主人公の非常識な生き方を納得させる目的の小説
    読者には冒頭から解答を示す方が面白い(´・ω・`)

    投稿日:2023.03.13

  • kemechanyo

    kemechanyo

    軽そうなタイトルの割には、内容は重めだった。科学が大好きだったけど、お金がなくて将来は商人になって、お金を稼ぐと決めた主人公。でも似非科学商品を売る部署に異動してしまった。そこでの葛藤と親友とのすれちがいが、よく書かれていたと思う。
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    投稿日:2023.02.04

  • ますたぁ

    ますたぁ

    タイトル通りのお話だけど、イメージしていた展開とは違った
    想像した展開としては、理系が最初は職場の無理解に苦戦しつつ、最終的には似非科学信者をぶっ倒す物語だと思っていたけどね

    とりあえず、以下は公式のあらすじ
    --------------------------------
    「マイナスイオンドライヤーなどの美容家電製品は、廃止すべきです」

    大手電器メーカーに勤める科学マニア、羽嶋賢児は、
    自社の非科学的な商品にダメ出しをしたばかりに、
    最も行きたくなかった商品企画部に島流しに…。

    空気を読まずに正論を言う。そんな賢児はやがて部の
    鼻つまみ者扱いになってしまう。
    賢児のまっすぐすぎる科学愛は、美容家電を変えることができるのか!?

    自分の信念を曲げられずに日々会社で戦っている、
    すべての働く人に贈ります。
    ドラマ化もされた『わたし、定時で帰ります。』で話題の著者が描く、お仕事小説。
    --------------------------------


    子供の頃から科学は好きだが、大学は有名私立の文系に進学した主人公の羽嶋賢児
    論理的故に主張は正しいが、他者や家族と上手くコミュニケーションが取れない
    特に非科学的な主張をする人を見下す傾向がある
    科学は今も好きで、特集動画やロケット発射の生中継を見たり、シンポジウムにも参加している
    しかし、鉱物のお店をしていた亡き父は自分には科学の道に進む事の是非を問うたが、友人には好意的な対応をしていた
    結果、研究者になる事はなく、科学とお金儲けの狭間で苦悩する

    賢児は似非科学の機能を売りにすべきではないと考えるが
    商売としては似非科学の方が消費者の要望と売上と合致する

    果たして、自分は何故何のためにお金を稼ぐのか?


    STAP細胞は発表された当時はもてはやされたものだけど
    再現性について懐疑的な状況になっても信じている態度はどうかと思う
    ねつ造問題では未練タラタラと言うところがキャラブレというか、本質的な科学的思考ではないのだと理解した

    科学の論理性ではなく、科学がもたらすロマンに魅力を感じているだけに見える
    だから、「知りたい」という欲求ではなく、「いくらするのか?」という発想になるのではないかと

    科学って実は泥臭い側面はかなりあるからなぁ
    今までの定説がひっくり返るようなパラダイムシフトも起こるし、それに対してまた論理を再構築しないといけないしね
    現在、世間で科学的に正しいと思われている事も、「今のところ矛盾はなく妥当と考えている専門家が多い」という程度で、恒久的な信頼情報ではないしね

    しかしまぁ、科学とお金の問題なぁ
    -------------------------------
    科学は万能ではない。しかも科学にはカネがかかる。科学は使い方によっては不幸も生み出す。しかし科学を捨て去って生きることはできない。
    -------------------------------
    という文章ですべて説明されていると思う

    人類には様々な課題が山積しているし、科学の発展が引き起こした課題もあるけれど、科学なしで解決できる問題はそうそうない

    もし科学リテラシーが上がったらもっとよりよい社会になるのかとも思うけど
    紛いなりにも義務教育を受けた人達が、似非科学やスピリチュアルなものに大金を払う商売が成り立ってる現状を見るに望み薄だろうか?

    タイトルのマイナスイオンだけでなく、水素水、化粧品のコラーゲンやビタミンC、最近なら反ワクチンとか
    人は自分に理解できないものでも、盲信する事ができるんですよねー
    何とも厄介な……

    似非科学でも稼げればいいという考えに対して
    -------------------------------
    本物の科学で金を稼ぐ。できるだけ稼ぐ。その金を科学にまた注ぎこむ。それができるのは商人だけだ。
    -------------------------------
    というところはカッコいい
    ま、実際にそれを実現できればいいんですけどね



    賢児に「未開人」とされている姉の美空
    ある意味で科学的リテラシーがなくても幸せに生きていけるという証左なのかもしれない
    ただ、作中の母乳問題とかでわかるように、自分の信じたいものだけを信じるとコロっとその幸せがひっくり返るけどね

    あと、父が入院していたときの叔母とかには読んでいて本当に怒りを覚える
    本人は良かれと思ってなんだろうけど、賢児と母の確執の要因だし、その後の掌返しにも不快感を覚える
    標準医療をもっと信じようよ……



    それにしても、朱野さんは文系出身なのに、理系の解像度が高い小説をかけて凄い
    理系出身作家はこの手の理系リアリティのある作品を書きがちなのはわかる

    蓼科譲が吐露する科学研究の置かれた立場というのはとてもよくわかる
    価値のある研究である事を示さないと科研費は取れないし
    そのためにデータを捏造する可能性とかまで言及されると、物悲しいけどそれが実態なんだよなぁと思ってしまう
    博士でも、博士だからこそポストと職がないというのは何とかしないといけないと思う
    続きを読む

    投稿日:2023.01.12

  • こつめかわうしょ

    こつめかわうしょ

    仕事に忙殺されてる時に読んだせいもありますが、主人公、主人公の母、姉などイラッとしてしまいました。正論は時に人を傷つけること、治療とお金。など、論理と感情がテーマとなっていました。どちらも行き過ぎはよくないですね。。。続きを読む

    投稿日:2022.10.15

  • ichigosamba

    ichigosamba

    このレビューはネタバレを含みます

    *大手電器メーカーに勤める科学マニアの賢児は、非科学的な商品を「廃止すべきです」と言ったばかりに、商品企画部に島流しになる。「マイナスイオンなんて存在しません」。正論を主張する彼は、やがて部の鼻つまみ者扱いに!?自分の信念を曲げられずに日々会社で戦っている、すべての働く人に贈るお仕事小説*

    「わたし、定時で帰ります」の時も思いましたが、表紙のイラスト&書名と内容が一致していない所が意表を突くと言うか、残念と言うか。意外性はありますが、個人的には「賢者の石、売ります」のままで良かったな。

    内容的には、かなりずっしり来ます。似非科学を頑なに拒む主人公と、そんなにも頑なにならざる得なかった過去の回想が悲しい。
    「似非科学を撲滅して君は何がしたいの?」もわかるし、「幸せな感覚でしかないものに寄り添う」もわかるし、「正しいことを正しいと突き詰める」もわかる。何が正解なのか、答えはないと思うけど…なかなかに考えさせられるお話でした。

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    投稿日:2022.06.06

  • omj

    omj

    このレビューはネタバレを含みます

    科学を動かしているのは金だ。途方もない金額を誰が稼ぐんだろう。科学者は研究で忙しい。天から降ってくるわけじゃないことはたしかだ。あの作文から消し去った科学者という職業のかわりに、なにを書き入れたらいいか、賢児はもうずっと前から思いあたっていた。商人。ドラゴンクエストにも出てくる職業。たいした呪文も使えないし、力も弱い。子供たちからは役に立たないし、かっこわすいとさえ思われている職業。でも実社会ではそうではない。金の力が科学を支えている。金を稼ぐことができれば、科学の光をつくる道筋に参加することができる。

    目先の損失を恐れて、現場は都合の悪いことを隠蔽し、上層部は問題を過小評価する。それが事故対応の際に恐れるべき心理状態です。

    「誠実?商売人にとって誠実な道はひとつしかないだろ。金を稼ぐことだよ」

    野口英世が遺した業績への評価が綴られていた。彼は、梅毒、ポリオ、狂犬病、黄熱病などの研究において数多くの論文を発表し、ノーベル賞を獲るのではと期待されるほどだったが、その主張のほとんどは現在では間違いだとされているという。でも、子供のころに読んだ伝記では国民的ヒーローだったはずだ。

    父は気づいていただろうか。入院が延びるたび、息子の頭でレジの音が鳴っていたことを。あといくら金が要る?預金残高を心配してばかりいた。でも、ほんとは、たったひとりの父が死ぬ時くらい、金のことを考えずにいたかった。バイトなんかしないで、少しでも長く一緒に過ごしたかった。進路のことや将来のことを相談したかった。だからこそ似非化学が嫌いだ。件名に稼いだ金や取り返しのつかない時間を、根こそぎ奪われたことを絶対に許したくない。

    「うちの部長もね、すごい宇宙好きなんですよ。いつもは廃ブランドの服着てるのにね、ロケットの打ち上げ見に行くときは手作りの防止にピンバッジいっぱい留めて、実況までしてるって噂で」

    「死ぬほどやり直しさせられるだおうけどね。桜川さん、舌なめずりしてると思うよ。手駒が足りないってよく言ってたから。宇宙に興味のある部下が欲しかったんじゃないのかな。それもただのオタクじゃなくて、金をガンガン稼ぐタイプの」

    お仕事小説の名手・朱野帰子さんの作品には、他人事的な「がんばれ!」ではなく、読み手に「一緒にもう少しだけ、がんばってみようよ」と、そっと背中を押してくれるあたたかさがあります。きっとご自身も社会で苦しんだ経験があり、それが作品に生きているのでしょう。

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    投稿日:2021.11.09

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