【感想】科学者が消える―ノーベル賞が取れなくなる日本

岩本宣明 / 東洋経済新報社
(8件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • かん

    かん

    日本から科学者が消える、と聞くと、
    そんなはずがない、と思いますが、
    相当な危機的状況です。

    若手研究者が無期限で雇用される枠はとても少なく、
    それを知っている研究力を持つ学生は
    博士課程への進学を辞め企業に就職し、
    その結果、日本の研究は衰退していく。
    衝撃を受けました。

    博士号を取得してから
    アカデミックでちゃんと職に就けない現状。

    私がどうにかできる話ではないけれど、
    これが現実なのか、ということが
    たくさん書いてありました。

    30年後もノーベル賞を取れる日本であってほしい。
    そう願うばかりです。


    日本の現在の研究状況を知りたい人に
    おすすめしたい1冊です(*´˘`*)
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    投稿日:2022.03.16

  • miomio

    miomio

    既に広く知られている事ではあるが大学の研究の衰退と研究者のひどい環境について書かれている。
    著者はライターなので既存の統計や資料を集約して書かれている最後の結論はまあまあ良いことが書かれているのではないか。
    提案としては研究機関と就職教育機関の分離。
    日本では建前上企業も大学で学業が重要、とは言うが実際就職時に学業を全く重視、評価していない。
    結果大学では学問的学業や研究ではなくそれ以外の教育に時間が費やされている。そのような教育と博士の学術研究を同じ人、機関がやるのには無理がある。

    実際にこういう分離ができてかつ、大学のステータスが今と同じように付加されていればかなり解決はすると思うが、、、
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    投稿日:2020.06.18

  • sugar41

    sugar41

    ここまで中身がない本は久しぶりです。
    というか、このレベルの中身なら、本にする必要はないと思います。

    他の誰かが調べた情報・資料を集め、他の誰かが述べた意見を書いているだけ。
    著者のオリジナリティーは限りなくゼロに近いと思います。
    300ページ近くを費やしていますが、学生のレポートレベル。

    また、様々な資料を取り上げてはいますが、数字の読み方が、甘いというか、自分にとって都合のよい解釈が目立ちました。

    資料としてはおそらく正しいのでしょうし、結論に対しても、まあそうだろうな、とは思うのですが、過程にはいろいろと違和感があります。

    著者は仕方ないとして、出版社である東洋経済新報社、大丈夫か?
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    投稿日:2020.05.16

  • headshrink

    headshrink

    このレビューはネタバレを含みます

    日本における基礎研究の危機が叫ばれるようになって久しい。最近では日本人ノーベル賞受賞者も必ずと言っていいほどこの話題に触れる。ノーベル賞受賞者というと高齢のイメージがあるが、評価された研究のほとんどは若手のころの実績であることからもわかるように、若手研究者が基礎研究に打ち込める環境が日本の科学水準を引き上げる。

    高い山には広い裾野が必要だが、日本では博士課程を終了しても研究職につける者は一割にも満たない。理系修士課程修了者の大半は技術者として企業に雇用されるが、技術者になるのであれば博士課程で学ぶことに大きな意味はないし、時間と労力とお金の無駄、と後悔することになりかねない。

    筆者によると、この原因は大学運営費交付金の減少にある。2004から2016で1兆2415億円から1兆945億円と12%、1470億円減っている。大学の教員は6万5000人ほどいるが、年俸900万の教員の4分の1ほどの人件費にあたる。もちろん大学の運営費は交付金のみで賄われるわけではないが、京大のように寄付金が多く、病院からの収入もあるような大学でも運営費の3分の1が交付金だし、埼玉大のように医学部を持たない(附属病院がない)大学では半分が交付金頼み。

    国は「選択と集中」「大学の重点化」と称した政策を進めている。質の高い論文はトップレベルの大学からのものがほとんどなので地方の中小規大は研究はほどほどにしておいて人材育成などで役割を果たせ、ということだがこれは間違い。トップレベルの大学では研究に専念できるポジションが準備されているのに対し、地方では教育などに費やす時間が多くなっているためで、資金・時間で補正してみるとトップレベルも地方も大差はない(そもそも研究者になんかなるような人は社会不適応な人が多いので、教育なんか期待するほうが間違っている、ということも書いてあるが、、、)。山中伸弥や中村修二、大村智など地方出身のノーベル賞受賞者がこの地方にも目を向けさせるきっかけになるかもしれない。

    若手研究者に任期付きでないポジションを、というのがメインの主張ではあるが、理想はともかく、あまり保証されたポジションが増えると「生涯一助手」みたいな老害を生むような気がしてならない。何年もに渡る基礎研究が花開いて、、、という話は時々耳にするが、何年もに渡り研究費ばかり無駄にして何の成果もでない、というケースは成功例の数倍にのぼるだろう。こうした花開かない研究に投資した資金を必要な経費と割り切るだけのパトロン感覚や経済的なゆとりが国に必要なんだろう。

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    投稿日:2020.04.20

  • k-masahiro9

    k-masahiro9

    このレビューはネタバレを含みます

     日本の研究力の低下の原因は、一言で言ってしまえば、研究資金の問題だと思われます。日本の研究開発資金や日本の大学のそれの伸び率が、諸外国と比較し大きく停滞しているのはすでに見たとおりです。研究開発人研究者数(研究時間)、論文数にはそれぞれ相互に強い相関関係があります。研究費が足りないから、十分な研究者や研究者の研究時間が確保できず、結果、論文数が伸び悩んでいるという悪循環が起こっています。(p.160)

     論文上位の大規模大学の研究者の方が、そのほかの大学の研究者よりも優秀な人が多いはずだという「常識」には根拠がありません。根拠のない常識をもとに政策を実施してもよい結果が得られるはずがありません。研究資金の「選択と集中」が論文数増加率の向上にまったく繋がっていないことは、何よりの証左です。(p.222)

     教育と研究の二兎を追う大学は、すでに耐用年数が切れています。大学進学率が60%に迫る状況の中で、もはや教育と研究の両立は無理です。それが、日本の研究力が衰退してきている構造的な問題だと、私は思います。分離して再出発するしかありません。すでに、一部ではそうした議論は始まっているようですが、大学は解体し、教育と研究の機能の分離を探る時期にきています。(p.280)

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    投稿日:2020.02.15

  • あじわいこんぶ

    あじわいこんぶ

    たまにニュースで取り上げられたりして、薄々気づいていたことではあるが、改めてデータを用いて現在の状況を説明されると暗い気持ちになる

    そのような政策を考える人、実施する人は意図してそうしているのか?または真剣に考えた結果がこれなのか?どちらにしても酷すぎやしないか?

    最近の日本の政治のあり方をみていると頑張っている人が報われない世の中になっている。教育や大学だけの話にとどまらず…
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    投稿日:2020.01.14

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