NHK 100分 de 名著西田幾多郎『善の研究』2019年10月【リフロー版】

日本放送協会, NHK出版 / NHK 100分 de 名著
(7件のレビュー)

総合評価:

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  • bookfield

    bookfield

    https://www.nhk.or.jp/meicho/famousbook/92_nishida/index.html

    認識する主体/認識される対象という二元論によって構築されてきた西洋哲学。それを乗り超えるために格闘してきた西田幾多郎は、「愛」という独自の概念で、「知」のあり方を根本から問い直す。冷たく対象を突き放すのではなく、あえて対象に飛び込み没入していくことで対象の本質をつかみとる作用を「愛」と呼び、「知」の中にその作用を取り戻そうというのだ。第一回は、西洋近代哲学の限界を乗り超え、「知」の新たな形を追求した西田幾多郎の奥深い思索に迫っていく。

    旧来多くの倫理学は、善と悪を外在的な基準から位置づけ判断してきた。しかし、西田が東洋思想から練り上げていった独自の哲学では、善は人間の中に「可能性」として伏在しており、いかにしてそれを開花させていくかが重要であるという。そのためには、主体/客体という敷居を超えて、「他者のことを我がこととしてとらえる」視座が必要であり、真にその境地に立てたときに、「人格」が実現される。それこそが善なのである。第二回は、西田がこの著作の根本に据えた「善とは何か」という問いに迫っていく。

    「愛」や「善」といった概念を、主観と客観に二分しない独自の思考法から再定義していく西田哲学。その根幹を支えるのが「純粋経験」という特異な概念だ。たとえば、音楽を聴くという体験は音源から伝わる空気の振動を感覚器官がとらえるという物質過程ではなく、主体も客体も分離される以前のあるがままの経験が何にも先立って存在する。これを「純粋経験」という。この立場から世界を見つめると、私たちが「実在」とみなしてきたものは、単なる抽象的な物体ではなく、世界の根底でうごめている「一なるもの」の「働き」としてとらえ直されるという。第三回は、合理主義的な思考では排除されてきた人間本 来の豊かな経験を取り戻すために、「純粋経験」や「実在」といった西田独自の概念を読み解いていく。

    「善の研究」をベースにして西田はさらに自らの哲学を発展させてゆく。そんな彼が晩年にたどり着いたのが「絶対矛盾的自己同一」という概念だった。主観と客観、善と悪、一と多といった一見対立する者同士が実は相補的であり、根源においては同一であるというこの考え方は、自らの子供と死別するという実体験を通して獲得したものだと若松さんはいう。生と死は一見矛盾しながらも、その対立を超えて一つにつながっているものだという西田の直観がこの思想を生んだのだ。第四回は、西田哲学の中で最も難解とされる「絶対矛盾的自己同一」という概念を解きほぐし、人間にとっての生と死の深い意味や、矛盾対立を超える叡知を学ぶ。
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    投稿日:2020.02.14

  • Gun

    Gun

    100分de名著、2019ベスト回だった「善の研究」のNHKテキスト。全ての学問は人情のためであり、全ての書籍も自身の哲学をサポートするため。2年に1回は読み返し、足元を確認した上で前を向きたい、はち切れそうな悲哀に立ち向かいたい。続きを読む

    投稿日:2020.01.02

  • nakaizawa

    nakaizawa

    「西田幾多郎『善の研究』」若松英輔著、NHK出版、2019.10.01
    121p¥566C9410(2019.12.07読了)(2019.09.26購入)

    【目次】
    【はじめに】名著を読む真の意味
    第1回 生きることの「問い」
    第2回 「善」とは何か
    第3回 「純粋経験」と「実在」
    第4回 「生」と「死」を超えて

    ☆関連図書(既読)
    「愛と認識との出発」倉田百三著、角川文庫、1950.06.30
    「出家とその弟子」倉田百三著、角川文庫、1951.08.20
    「禅と日本文化」鈴木大拙著・北川桃雄訳、岩波新書、1940.09.30
    「内村鑑三『代表的日本人』」若松英輔著、NHK出版、2016.01.01
    「石牟礼道子『苦海浄土』」若松英輔著、NHK出版、2016.09.01
    「神谷美恵子『生きがいについて』」若松英輔著、NHK出版、2018.05.01
    「for ティーンズ」ヤマザキマリ・瀬名秀明・若松英輔・木ノ下裕一著、NHK出版、2018.08.01
    「特別授業『自分の感受性くらい』」若松英輔著、NHK出版、2018.12.30
    内容紹介(amazon)
    その文章を3行読めたら、あなたの人生が変わる──
    日本一難解な書として呼び声高い『善の研究』。しかし、読む順番を変えれば、意外なほどに腑に落ちる。戦後に人々の渇いた心を潤した哲学には、どんな人生への示唆が詰まっているのか。「知と愛」「善」「純粋経験」……西田幾多郎がその過酷な生涯でつむいだ言葉の数々から、「生きる」ことの本質を見出していく。
    続きを読む

    投稿日:2019.12.06

  • hiyusuke9

    hiyusuke9

    100de名著を観て、読んでみたくなった一冊。

    純粋経験と実在
    という善の研究でのハイライトの箇所はとても考え深いものだった。ありのままを見ることがどれだけ難しいかは、自分が色んな考え方によって物事を捉えているかを考えれば容易にわかる。

    すべての物事の本質を見ることの面白さを(難しさもだけど)感じられた。
    続きを読む

    投稿日:2019.11.19

  • hamad

    hamad

    放送と併せて読むが、やはり難しい。
    一語一語が、現代に生きる我々の感覚、イメージとは微妙にあるいは大きく異なるらしく、読んでいてもなかなか地に足がつかないというか、入り込めない感じが強い。
    善の研究も同時によみすすめながら再読していこうと思う。

    星の評価は保留のため仮に3つ。
    続きを読む

    投稿日:2019.11.15

  • ビビビガ光線

    ビビビガ光線

    このレビューはネタバレを含みます

    「善の研究」は高校の時から内容を知りたかった本で、以前から「100分de名著」で取り上げて欲しかった本だったので読んだ。「100分de名著」の10月のテキストを読んで、「善の研究」や西田幾多郎のことを知ることができて良かった。テキストを読んで「善の研究」が難解だと言われる理由がわかった。10月のテキストを読んで、「西田幾多郎随筆集」が読みたくなった。10月のテキストを読んで、西田幾多郎記念哲学館に行きたくなった。

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    投稿日:2019.10.01

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