【感想】臨床の知とは何か

中村雄二郎 / 岩波新書
(21件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • amane

    amane

    このレビューはネタバレを含みます


    経験論哲学
    →合理論と対立するものとして扱われている

    実践に積極的な2つの立場
    ❶マルクス主義 
    理論のもつ空理空論化という落とし穴を批判して、実践を積極的に取り入れようとした。
    ※主張がイデオロギーの枠内のことであり、実践のすべてか非日常的な政治的実践に帰着させられたため、本来個々人の具体的な行為である実践そのものの働きに立ち入ることがなおざりに
    ❷プラグマティズム 
    現実に有効に対処しようと、主知主義的な立場を超えた実践哲学を目指した。
    ※基本的に、環境への生物的な適応という考え方がつよく、一般に経験について科学の方法を直裁に生かそうとしたため、その主流からは行動科学のような、実践を単純化した理論が生み出されることになった

    経験や実践は、日常生活と結びついて身近だが、いざ有り様を考えようとすると、曖昧なところが多く、捉えにくくて、困惑させられる。それだけ経験や実践が複雑に、深く現実と関わっていると言える。

    ____

    経験の捉え方
    ▶︎活動する身体をそなえた主体が行う他者との間の相互行為として、考えること

    身体を備えた主体として存在するとき、
    能動的であると同時に他者からの働きかけを受ける受動的な存在であることになる。≒パトス的、受苦的な存在にもなる。

    ・西田幾多郎 純粋経験
    経験するとは、
    事実をそのままに知ることであり、まったく技巧や細工を廃して、事実そのものに従うことである。
    純粋とは、
    ふつうの経験中に混ざっている夾雑物を取り去って、真に経験そのままの状態であることである。

    個人あって経験あるのではなく、経験あって個人あるのである。『善の研究』

    p.68
    言語あるいはことばは、むろん一方ではコミュニケーションの媒体として社会に開かれているが、同時にそれは、さまざまな物事を各人それぞれの身体性を帯びた自己と結びつけ、内面化する働きをもっている。このような言語の働きが、実践ということの、現実との重層的なかかわりを捉え、示すのである。

    冬休みもうひと読みだな

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    投稿日:2021.12.19

  • あいちゅう

    あいちゅう

    実は難しくて、よく分からなかったのが本当だが、かろうしで、以下の文章を記憶できた。

    つまり、医学はサイエンスの面を持つだけではなく、具体的な場面・事物の多義性・相互行為に対応する知恵に充ちた技芸・アートである。
    自己をカッコに入れて、責任を回避する客観主義や普遍主義の落とし穴におちいらない。
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    投稿日:2020.04.03

  • 本 in 北さそり

    本 in 北さそり

    このレビューはネタバレを含みます

    本書で注目したい点は、平易な言葉によって、日々の中で人が生き、自然に感じる言語まで至らない、非言語的な現象を捉え、言語化している事実にある。もし本書を読み、その内容があまり記憶に残らなったとしても、それらは既に自分の中に前々から無自覚に自覚されていた現象であっただけとも考えられ、全く不思議ではないように思える。それゆえ、本書の内容は近代科学が苦手としてきた日々の生活の場を、学問体系の水準まで高める際に十分な指針となってくれるであろう一冊である。

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    投稿日:2017.07.26

  • Akiyoshi MIKI@BizFolio

    Akiyoshi MIKI@BizFolio

    IV 臨床の知の発見 を読むと、分厚い雲の隙間から「臨床の知」が少しだけ垣間見れる気がします。でもよくわからない。とてももどかしい、もう一度読み直そうかと思います。

    投稿日:2017.02.18

  • musanoctis

    musanoctis

    ・臨床の知の構成原理
    1コスモロジー(⇔普遍主義)
    時空間は質的である

    2シンボリズム(⇔論理主義)
    現象は多義的である

    3パフォーマンス(⇔客観主義)
    我々の生きる世界は、主観ときりはなされた観察や操作の対象でなく、行為する人格どおしの関わりの場


    ・臨床における判断において、普遍主義、論理主義、客観主義を要請することは、臨床にいるものの決断を不要にし、責任性から回避させる

    ・プライマリケア(全科医療)
    全科ソーシャルワークという道

    ・受苦の人間的意味 VS 生存そのものを目的とする形骸化された価値
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    投稿日:2015.01.19

  • たにちゅー

    たにちゅー

    2007/6/27

    <臨床の知>ということで,現在の近代科学の不完全さを問うてられます.
    近代科学の方法論は物質科学の上では,
    普遍性と論理性と客観性を併せ持つシステムとして対象を捉える事で異例の力を発揮して進展してきました.
    しかし,それが勢いづいて社会科学,人間科学,生命科学とひろめられる中で,
    系がそのような一貫性を持った形でモデル化出来ないので頓挫する.
    それに気付けって話でしょうか?

    ”臨床”ということで,後半は生命倫理の話にもっていかはるんですが,議論を哲学者らしく整理はできても結局の所,
    何もブレークスルーは出来ていないように思いましたのです.


    自然科学の科学的方法論を批判すると,
    「社会構成主義だ」
    だとか
    「でも代替案無いじゃん」
    という事を言われてしまいますが,
    モデル化やアブダクションを除いた純粋に科学的な実験検証の営みってのは結局は統計学の上に乗っかってて,
    システム同定や統計的学習理論の話で抽象化できるように思われる.

    科学哲学での批判でなされる「グルーのパラドックス」
    なんてのも,究極的に時変なシステムを同定する事なんて出来ないって話と被る面がある.あとは,
    言語的な形式的議論と実世界の現象との間のマッピング関係が如何に普遍的に維持されるかってこと.

    このあたりを考えると結局「キレる」仕組みを脳科学で理解する(by NHKスペシャル)ってのは自然科学者の営為としてはヤバイわけですね.

    そんな話がこの本に書いてあったわけではないのですが・・・.
    そういうことを考えさせられました.

    自分が扱いたかった対象「人間」に対する科学的アプローチの裏を支える学問の構造が混沌とするというか,
    どうしようもなく成立しないのを感じる今となっては,対立軸を打ち立てなくてはならない焦燥感に駆られます.
    続きを読む

    投稿日:2014.12.31

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