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大西康之 / 新潮文庫 (12件のレビュー)
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1950192番目の読書家
【購入した理由】 流山がすごいが面白く、同じ作者の本を探していたところ見つけた。自分が偉人伝が好きなので読んでみようと思い中古で購入。(電子書籍しかなかった) 【感想】 とても面白くあっという間に読…み終わった。 シャープという会社は私が物心ついた頃には液晶テレビやMDプレイヤー、ヘルシオなどの一大企業としてしか見てなかったが、電卓戦争や電子レンジなどの素晴らしい技術を持った会社であったことを知った。 また佐々木正さんの『共創』という考えは確かにに日本の技術の競争優位性を崩してしまったと思うが、人類の進歩には大きく貢献していると思った。 国という単位で競いあっている限り戦争も絶えないし、技術の奪い合いとなってしまう。佐々木さんは人類という広い視点で世の中を前に進めようと考えていたのかもしれない。続きを読む
投稿日:2023.09.19
古舘達也
このレビューはネタバレを含みます
シャープ技術担当専務→副社長の佐々木力さんについての本。 カシオとの電卓戦争でシャープの陣頭指揮を執り、のちに電子工学の父とも呼ばれた人物。 戦時中の殺人電波の研究、電卓戦争の話、アポロ計画に携わりロケットササキと呼ばれるまでになった話、孫正義やジョブズとのエピソード、内容が濃くて面白かった。 以下は備忘録がてらメモ。 アスキー創業者でパソコンの天才と呼ばれた、西和彦さんから、 カリフォルニア大学バークレー校に面白い日本人がいると聞き、のちのソフトバンク孫正義に会いに来た。 その際、スティーブ・ジョブズにも出会った。 早川電機(現シャープ)に移籍して2年した際、電卓「CS-31A」を35万円で製造出来るようになったが、 まだ乗用車一台分の値段で、これよりいかに安くしたら良いか模索していた。 その時、新工場が出来、独身寮は既にあったが、それでも人が足りずに、家族持ちも採用出来るよう家族寮を建てるための図面を総務が持って来た、 それを見て、IC回路と似通っていることに着想を得て、MOSという新しいタイプの半導体を使えば出来ることに気がついた。 ただ、それは開発されたアメリカでも使い物にならず埃をかぶっていたもので、扱いにくく量産は無理と言われていた。 そこで逓信省の人を熱心に説得し、メーカーが生産できるなら良いと承諾を得た。 そしてメーカー側は日立、三菱電機、日本電気、東芝などなど、どこもどうなるか分からない技術に設備投資出来ないと断られた。 だが、継続してアプローチを続けた結果、三菱電機の担当役員を口説き落とした。 ただ、半導体の第一人者である教授の入れ知恵で、社長ストップがかかってしまい、早川電機は予算を取っているのに日本の半導体メーカーを口説き落とせなかった。 そのため佐々木さんはアメリカのメーカーをなんとかして見つけようとした。
投稿日:2023.02.12
ぽんぽん
そうなんだスティーブ。 人類の進歩の前に、企業の利益など、いかほどの意味もないのだ。小さなことにこだわらず、人類の進歩に尽くすのが、我々、技術者の使命なんだ。 これ、最高に好きなフレーズ
投稿日:2021.03.01
渡邊民人
こんな人がいたのかという驚き。そしてそういう人材は陰日向になり支えていたのは胆力のある経営者だったのである。胆力ある経営者になりたい。
投稿日:2020.10.01
TAKU
創業者や経営者以外で本の題材になるのは珍しいと思う。 偉くなっていくと技術者から管理や経営に軸を置いていくようになるが、最後まで、技術者としてのスタンスを残していた人だと思った。
投稿日:2020.07.11
Y.K
孫正義氏が「大恩人」と言い、スティーブ・ジョブズ氏が「師」と仰ぎ、松下幸之助氏が「教えてもらえ」と部下に指示し、ロバート・ノイス(インテル創業者)の創業間もない頃に手を差し伸べた、凄まじい技術者が日本…にいました。シャープを一流企業にのしあげた佐々木正氏です。 真空管が技術の主流の時にトランジスターの有効性に着目し、トランジスターの次の技術として当時の大手電機メーカーが全て尻込みしたMOS(金属酸化膜半導体)の量産技術を確立させ、1970年代の電卓戦争の中で液晶ディスプレー、太陽電池といったその後の日本の半導体産業を牽引する技術を世に送り出すという業績は圧倒的です。 本書冒頭の1977年のシーンでは、創業間もないスティーブ・ジョブズ氏や孫正義氏との出会い、それに絡んだ西和彦氏(アスキー創業者)との関わりなど、登場するのが1990年代にパソコンが普及する時代に一世を風靡するビッグネームばかりで、いかに佐々木氏の人脈や先見性が抜きでいたかが分かります。 佐々木氏は半導体開発で行き詰まり助けを請うたサムスン電子のイゴンヒ(現会長)に製造技術を供与しました。後に日本の半導体メーカーは大打撃を受け、技術供与した佐々木氏を「国賊」と呼ぶ人も出てきましたが、佐々木氏いわく「半導体や、液晶テレビなど日本の電機業界の衰退は技術を囲い込み、全てを自前でやろうとし、成果を総取りしようとたことであり、イノベーションとは他の会社と手を携えて新しい価値を生み出すことだ」と諭しています。 松下幸之助氏が「教えてもらえ」と言った時、シャープの役員会では「敵に塩を送るなどとんでもない」という議論が大部分を占めました。ところが創業者の早川徳次氏が「少しばかり教えたくらいで負けるなら、シャープなどその程度の会社だということです。そんなことで負けるシャープじゃない。構いません。行って存分に教えてきなさい」と言って役員連中を一喝したシーンが登場するのですが、このエピソードからは早川氏の器の大きさが伝わって来ます。こういった経営者の薫陶を受けて佐々木氏の考え方も定まって行ったような気がします。 これほどの業績の人を扱ったノンフィクションなのに、1点残念なのは文庫本で300ページ足らずというボリューム。一気に読めてしまうのですが、どうせならもう少しそれぞれのエピソードを深堀して、もっとボリュームのある著作であればよかったのに、と思います。 ただ、読んで損はしないと思いました。続きを読む
投稿日:2019.12.17
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