【感想】ラグビー知的観戦のすすめ

廣瀬俊朗 / 角川新書
(12件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • Zwarte Beertje

    Zwarte Beertje

    2019年に日本で開催されたラグビーワールドカップに向けて書かれた観戦ガイドのようなもの。
    とはいえ、ラグビー観戦において分かりにくいところや分かると面白いところについての普遍的な解説もあるのでいつ読んでも面白いと思う。
    基本的なラグビーのルールを知っている人向け。

    個人的には、タックルからブレイクダウンが発生するまでに刻々とどのようなことが起こっているのかが分かったのが大きかった。
    倒れた(膝をついた)瞬間に選手は無となりグラウンドと一体化する。
    だから倒れた選手はボールを操ってはいけないし、倒れた選手に寄りかかっている選手は立っているとは言えない。

    ラグビーの良さを熱く語っている部分も良かった。その良さは試合やその前後の選手を見ていれば自然と伝わってくる。
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    投稿日:2024.04.05

  • じゅう

    じゅう

    元ラグビー日本代表主将の廣瀬俊朗がラグビーワールドカップ(RWC)を愉しみたい人向けに著した作品『ラグビー知的観戦のすすめ』を読みました。
    ラグビー関係の作品は久し振りですね… 多分、前回のラグビーワールドカップ(RWC)の頃に読んで以来だから4年振りかな。

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    2019年ラグビーワールドカップを100倍楽しむ!
    「ルールが複雑」というイメージのあるラグビー。
    試合観戦の際、勝負のポイントを見極めるにはどうすればよいのか。
    ポジションの特徴や、競技に通底する道徳や歴史とは? 
    日本初開催となるW杯をとことん楽しむために元日本代表主将が説く観戦術の決定版!
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    第10回ラグビーワールドカップ(RWC)2023フランス大会が開幕しました… ということで、蔵書の中から本書を選択、、、

    前回大会向けに刊行された作品ですが、出場国・地域の情報以外は、基本的に変わらないモノなので愉しく読めました。

     ■第1章 ラグビーをやっているのは、こんな人たちだ
         ~各ポジションのキャラクターがわかればラグビー理解がグンと深くなる~
     ■第2章 ラグビーはこう見ると、よくわかる!
      ・なぜパスを放るのか
      ・なぜキックを蹴るのか
      ・なぜ1対1はビッグチャンスにつながるのか
      ・タックルのあと、グラウンドでは何が起こっているのか
      ・ボール争奪の原則
      ・密集戦の反則はどういうときに起こるのか
      ・ブレイクダウンのもうひとつの見方
      ・中世からの伝統を受け継ぐ「セットプレー」
      ・スクラムとラインアウトのどちらがアタックを仕掛けやすいか
     ■第3章 「世紀の祭典」ワールドカップと、世界ラグビーの勢力図
      ・ラグビーを生んだフットボール
      ・カップ戦の誕生
      ・アマチュアリズムとプロフェッショナリズム
      ・加速度的に成長したラグビー・ワールドカップ
      ・ラグビーの代表選手資格(エリジビリティ)はなぜ国籍だけではないのか
      ・南半球がワールドカップで強い理由
      ・地元開催のワールドカップで、日本代表に期待するもの
      ・ジャパンのライバルたち(アイルランド、スコットランド、ロシア、サモア) ほか
     ■第4章 僕がラグビーを大好きな理由
      ・ラグビー最大の魅力は「多様性」
      ・ラグビーが教えてくれた「議論する」文化
      ・代表チームのキャプテンであることの重圧と喜びを越えて
      ・僕にとってのラグビーは「多面体」である
      ・みんなで「アンセム(国歌)」を歌ってワールドカップを盛り上げよう! ほか
     ■付録 アンセムを歌おう! 歌詞カード

    ラグビーの原則等がわかりやすく解説してありましたね… ボールを持った人が一番先頭にいる、立っている人しかプレーできない… これだけ理解しているだけで、他のことがすんなり理解できると思います、、、

    あと、仲間に対する思い… 信頼関係が土台で、信頼を裏切らないように、皆が身体を張る… この気持ちは良くわかりますよね。

    ラグビーの歴史の復習にもなりました… フットボール(=サッカーではない)から生まれたことや、カップ戦がなかなか実現しなかったこと、無償でプレーするアマチュアリズムが美徳として強調されていたこと、代表選手資格が国籍だけではない理由 等々、愉しく読めました。


    昨夜、日本代表はラグビーワールドカップ(RWC)の初戦のチリ戦に"42-12"で勝利… フィットネスで優位に立った終盤、もっと圧倒してほしかったなー ディフェンス面等の反省点も多いと思うので、プレーの精度を上げて、来週のイングランド戦に挑んでほしいですね。
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    投稿日:2023.09.11

  • 五条サトウ

    五条サトウ

    「自分が日本を離れる時には、今着ているこのジャージーの価値を上げて去りたい」

    「ワールドカップ で勝ちたい」「優勝したい」のいったことを目標にしてうるのに対して、オールブラックスは、それよりもひとつ上の価値を見て活動している。「世界にラグビーを広める伝道師のようなミッション。
    良い人間でなければオールブラックスにはなれないという哲学。

    一般に、日本人は違憲の衝突を嫌う傾向がある。
    僕らのマインドには「ムラを大事にする」と言った気持ちが根付いてるし、「忖度」や「空気、行間を読む」と言ったことを大切にする。これは文化として、「和」を重んじているところに通じているが、海外の人はそうではない。

    ラグビーは英国生まれのスポーツで、議論の中からルールが作り上げられたスポーツだ。だから今でも議論するところは徹底的に議論する。恐れずに意見をたたかわせる。つまり、ラグビーという競技の構造には、日本的な文化に馴染まないような価値観に基づいていると考えられる。


    このチームはすごく「ファミリー感」があって、個人の判断を重要視するチームだった。仲間を思いやるような人間の感情が重んじられていて、僕にはそこが魅力的だった。
    ラグビー選手である以前に、お互いを人間として認め合っているから楽しかったし、そういう人間くささが大好きだった。ひとりひとりの仲間の顔があって、その上にラグビーがあるような感じだ。

    「こういう仲間と一緒に何かを成し遂げたい」「こういう仲間といっしょにラグビーをやりたい」という気持ちになるのたま。

    レガシー(未来に引き継ぐべき遺産)
    スタジアムや施設といったインストラクチャーにかぎらない。一人ひとりの心に残った「海外の人ちといっしょに経験を共有できた」という手応えも、レガシー。
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    投稿日:2022.05.08

  • だまし売りNo

    だまし売りNo

    廣瀬俊朗『ラグビー知的観戦のすすめ』(KADOKAWA、2019年)はラグビーの魅力を説明した書籍である。ラグビーの魅力は多様性とする。身体の大きな人間にも小さな人間にも、足が速い人間にも遅い人間にも、力が強い人間にもそれほど強くない人間にも、それぞれの個性を活かしたポジションがある。

    ラグビーは他の球技と比べて手軽に行えないイメージがあり、様々な人々に向いているスポーツとの指摘は意外であった。女子ラグビーも成長していることは、ラグビーが多様性を包含するスポーツであることを実証することになるだろう。

    ラグビーの多様性を示すものに代表選手の資格要件がある。サッカーやオリンピックの代表選手は国籍が要件である。ラグビーでは国籍に加えて地縁も要件になる。ある地に3年以上居住し、その地のラグビー協会が代表に選べば、外国人であっても代表になれる。世界帝国であった大英帝国に由来するが、グローバリゼーションの21世紀に合っている。

    本書はラグビー選手にとって一番重要なものを品位とする。身体をぶつけ合い、相手にケガをさせてしまうこともあるスポーツだからこそ、フェアプレー精神が求められる。相手への攻撃になるタックルは相手からボールを奪い返すことが目的である。競技が異なるが、日本大学アメリカンフットボール部の悪質タックル事件の悪質さが浮き彫りになる。日大選手が、関学大側のボールを持っていない選手に背後からのタックルを繰り返した。報道が過熱したと言われたが、加熱しても足りないくらい異常な行為であった。

    ラグビーは多様性を包含するため、ルールは複雑になるが、相手に怪我をさせるような卑怯なことはしてはならないという思想が根底にある。ラグビーではボールの争奪戦にはチームの真後ろからまっすぐに入らなければならず、相手が獲得したボールを妨害してはならない。後から来た選手が横から入ってボールを奪おうとするとオフサイドという反則になる。

    私はオフサイドという反則をサッカー漫画『キャプテン翼』で知った。そこでは相手チームをわざとオフサイド状態にさせるという技巧的な手段で登場した。これは本来のルールの目的を無視した手口である。依存性薬物を合法ドラッグや脱法ハーブと称して販売するから問題ないという類の卑怯さと重なる。宅地建物取引法上の賃貸借契約ではない脱法ハウスとして、宅地建物取引業者の義務を免れることを正当化する貧困ビジネスの卑怯さとも重なる。オフサイドの趣旨は、そのようなものではない。

    サッカーとラグビーは同じフットボールから分岐した。分岐した理由に激しい接触プレーに対する考え方の違いがある。サッカーは手でボールを扱うことを禁じ、激しい接触プレーが起こらないようにした。これに対してラグビーはフェアプレー精神を重んじることで、激しいタックルなどの接触プレーを認めた。

    個々人に問題を起こさないようにするよりも、問題が起こらないように制度的な仕組みを作るという観点からサッカーがラグビーよりもメジャーなスポーツになったことは自然である。一方でラグビーの思想にも注目すべき点がある。ルールで全て規制するのではなく、徹底的に議論するという思想がある。試合中に選手が審判と話し合うことも珍しくない。
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    投稿日:2021.05.29

  • 祐介

    祐介

    初心者向けとしては、面白い内容になっている
    個人的には、廣瀬さんの本格的なラグビー本、昨年のワールドカップの振り返り本を読んでみたい

    巻末のアンセム集は面白い試みだと思うが、簡単な歌詞の意味が入っていると、更に良いと思う続きを読む

    投稿日:2020.04.22

  • orangewind

    orangewind

    ラグビー元日本代表のキャプテンである廣瀬さんが書いたラグビー入門書。本当に超基本的な内容しか書いて無く、ラグビー初心者に対してラグビーを分かりやすく書いてあり、(私も含めた)にわかラグビーファンには最適の入門書だと感じました。

    ただ、後半部分は各国の紹介が中心となり、若干食い足りない内容でもあり、個人的にはもう少しラグビーというゲームの本質に切り込んだ内容が読みたかったな、という印象はありました。
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    投稿日:2019.12.23

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