【感想】わが母なるロージー

ピエール・ルメートル, 橘明美 / 文春文庫
(61件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
4
29
23
1
0

ブクログレビュー

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  • grayorange

    grayorange

    シリーズ三作を読んでからかなり間があいてから読んだ。ミステリー色はあまりない。毒親とそれに苦しむ子供。束縛が強すぎて、大人になっても親に子供扱いされているし、擬似恋人みたいに考えてる親のエゴが怖いし、苦しい。誰に焦点があたるかで、見え方が変わるのが面白い。続きを読む

    投稿日:2024.01.22

  • natsunoniwa

    natsunoniwa

    てっきり、カミーユのお母さん関連の話だと思って読んだら、全然違いました。笑

    短いのでサクっと読めますが、ちゃんと謎解き要素はあるし、動機もあるしで、めちゃくちゃ楽しめます。

    新幹線とか、ちょっとした遠出でまとまった時間がある時に丁度いい長さだと思います!続きを読む

    投稿日:2023.11.24

  • beni

    beni

    『その女アレックス』と『傷だらけのカミーユ』の間になる第2.5作。
    パリで爆破事件が発生。

    薄いのに中身の詰まったお話です。最後は映画のようでした。

    投稿日:2023.10.11

  • coco

    coco

    第一次大戦時にフランス東部の農地に降り注いだ砲弾の不発弾が、この物語を形作る道具になっている。カミーユ作品の番外編だが、「天国でまた会おう」「炎の色」執筆で得た材料から拾ったという意味でも大戦関連作品番外編でもある小作品。短いから一気読みできる。
    パリで爆破事件が発生し、出頭した青年、ジャンはあと7発が次々に爆発するから、その情報とひきかえに自分と母親ロージーを釈放してオーストラリアに逃がせという。ロージーは、以前ジャンの恋人を轢いて収監されていた。
    原題はRosy&John。歌のタイトルからつけられたジョンという名前に、息子はジョンと書いてジャンと読む、とこだわる場面がある。母親への抵抗か、フランスらしさか。いずれにせよ、異常に子離れできない母親とそのことに絶望する息子の姿が痛々しい。
    2015年のシャルリ・エブドから同時多発テロなど思い出すが、この作品が書かれたのは2013年。ただ、90年代からサン・ミッシェルや凱旋門駅の爆弾テロなど、市民のテロに対する継続的な恐怖や警戒心というのはおそらく表面的には見えてこなくても、心の底にはしっかりと層をなしていて、政治にも宗教にも無関係のテロという筋書きも、一つの可能性として違和感なく感情移入できる。
    続きを読む

    投稿日:2023.10.07

  • 鍋レモン

    鍋レモン

    このレビューはネタバレを含みます

    カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ。

    三部作で終わりかと思っていたこのシリーズ2作目と3作目の間の時系列でもう1作品発売されていたことを知り直ぐにゲット。
    作者も述べているが、三部作に比べ短い小説なので三半冊だそう。

    面白くて半日とかからず読み終えてしまった。

    ピエール・ルメートルの作品の良さは読みやすさと描写の細さ。
    翻訳者が上手いのかもしれないが難しい言葉がなくすらすらと内容が頭に入ってくる。
    また、カミーユのコミュニケーションを取る相手に対しての洞察力についての表現がかなり細かく面白い。ルイが右手を使うか左手を使うかの流れが以前からとても好き。
    今回は残酷描写はないので苦手な人でもサラッと読めそう。

    本作はパリで爆発事件が発生し、ジャンという青年が自首したが、別にしかけていた6つの爆弾の位置を知らせる代わりに母と自分の釈放・金・オーストラリアへ逃亡させろと要求する物語である。

    登場人物が多いようでそんなことはなく、母のせいで父の死の恐怖に取りつかれる青年や公園のしがない管理人、幼稚園で働く恐らく仕事ができない女性などが物語に邪魔しない程度でさりげなく登場して花を添える。

    読み進めるにつれ「あとこの残り数ページでまとまるのか?」という疑問はあったが、心に大きな爆弾を落とすかのように綺麗に終わった。

    ジャンはロジーと共に爆発した。ロジーの息子に対する執着によってジャンの仕事仲間や恋人は命を落とした訳だから別の視点から見ればジャンは明らかに被害者と言ってもいいのでは無いだろうか。確かに1発目や2発目の爆弾で人を殺していた可能性も無きにしも非ずだが、彼に殺意はなかったわけで、全ては最後のためだ。
    現実の出来事ではなく物語として考えなくてはいけないが、ジャンがロジーを刺すなり殴るなりして単に殺すという考えはなかったように思える。そもそもロジーが捕まっている時点で接触が難しいが、ジャンは自分が生きて母が死んでいるという状況も望んでいないように私は思えた。共依存でありながらそこには矛盾もあってそれがとても切ない。

    残酷だが美しい。

    レビューの続きを読む

    投稿日:2023.09.25

  • じゅう

    じゅう

    フランスの作家ピエール・ルメートルの中篇ミステリ作品『わが母なるロージー(原題:Les Grands Moyens、別題:Rosy & John)』を読みました。
    『傷だらけのカミーユ』に続き、ピエール・ルメートルの作品です。

    -----story-------------
    『その女アレックス』のカミーユ警部、再登場
    シリーズ累計120万部突破!

    『その女アレックス』のカミーユ警部、ただ一度だけの復活。
    連続爆破犯の真の目的が明かされたとき、残酷で美しい閉幕が訪れる。

    パリで爆破事件が発生した。
    直後、爆破犯は自分であると警察に出頭した青年ジャンは、爆弾はあと6つ仕掛けられていると告げ、金と無罪放免を要求する。
    右腕のルイとともに事件を担当することになったカミーユ・ヴェルーヴェン警部は、青年の真の狙いは他にあるとにらむが……。

    『その女アレックス』のカミーユ警部が、ファンの熱い声に応えて、富豪刑事ルイ、巨漢の上司ル・グエン、猫のドゥドゥーシュらとともに一度だけの帰還を果たす。『その女アレックス』と『傷だらけのカミーユ』のあいだに挟まる「カミーユ警部シリーズ」第2.5作。
    残酷にして意外、壮絶にして美しき終幕まで一気読み必至。
    解説・吉野仁
    -----------------------

    2011年(平成23年)に刊行された、カミーユ・ヴェルーヴェン警部シリーズ三部作の第2作『その女アレックス』とシリーズ完結篇にあたる第3作『傷だらけのカミーユ』のあいだに起きた事件として描かれた番外篇にあたる作品です。

    パリの街中で起きた爆破事件… まもなく犯人の青年ジャンが警察に出頭してくる、、、

    そして、メディアでその活躍を知っていたカミーユ・ヴェルーヴェン警部以外とは誰とも話さないと告げる… カミーユが聞かされたのは、ほかにも6つの爆弾を仕掛けてあって毎日ひとつずつ爆発するようセットしてあるということ。

    それを阻止したければ彼の要求をのまなければならないということ… 収監中の母親ロージーと自分を釈放し、4万ユーロの金とともにオーストラリアへ運び新たなIDを与えること、、、

    だが、そもそもロージーが服役することになった罪状は、ジャンの婚約者カロル・ヴェンランジェを轢き殺したことによるものだった… しかも、ジャンの本名はジョンで、ロージーが名付けたその名前を嫌ってジャンと名乗っていたのだ。

    それほどまでに憎んでいるはずの母親を救い出そうとすることに、カミーユは合点がいかなかった… ジャンのほんとうの狙いはいったい何なのか、、、

    真意を探れないまま次々と爆破は続いていき、要求を飲まざるを得なくなることに… そして明かされることになるのは、切なく物悲しい驚愕の真実だった。

    200ページ強の中篇でテンポも良いのでサクっと読めました… 連続爆破事件の犯人ジャンとカミーユの駆け引きが愉しめましたね、、、

    カミーユの抱えた違和感は、私も読みながら同じように感じましたねー 結末は、ある程度、予測できましたけ、まぁ、納得ですね。

    歪んでいて哀しい関係性… 愛情か?憎しみか? 愛憎入り混じりってところですかねー 個人的には憎しみの方が強かったんじゃないかと感じました。

    これでシリーズ作品を全て読了… 寂しいな。
    続きを読む

    投稿日:2023.08.13

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