【感想】ケーキの切れない非行少年たち(新潮新書)

宮口幸治 / 新潮新書
(1113件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
222
474
293
37
10
  • 衝撃的な内容

    タイトルに興味をそそられて購入したが、衝撃的な内容だった。自分には簡単に出来ることが、出来ない人に対して「どうしてこんな簡単なことが...」と感じることは多いと思うが、この本の内容はそういうレベルではなく、多くの人にとっては信じがたいものではないだろうか。

    本書に登場する非行少年の行為は、普通なら「わざとふざけているのではないか」と思えるようなレベルなのだが、実際にケーキを切ることが出来ないのが事実で、自分でもどうしようもない苛立ちが湧き上がるというのは、読んでいてなんとも言えない気持ちになった。
    自分でも指摘されてわかっているのに、出来なくてもどかしい気持ちは何度も経験したことがあるが、非行少年たちはたえずそうした感情に苛まれているのかと考えると、当人たちにとってはまさに精神的な拷問としか受け取れないのも当然だろう。しかし、人間社会には歴然としたルールが存在し、本質的に守れない人間だからといってルールを無視した行為が許されるわけではない。
    非行少年の問題は、非常に奥の深い問題だと提起している。しかも外からではわからないわけだから、早期の対処なども難しいことがわかる。こういうのは、周りの人間の理解と早期の専門的な訓練によるしかないような気がする。

    本書を読んで、非行少年に対する認識が少し変わったが、自分の日常生活に影響が出てくるようなことになった時、何が出来るかはわからない。
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    投稿日:2020.03.15

ブクログレビュー

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  • たまち

    たまち

    ・いじめ、性犯罪、殺人、虐待を犯すのは認知の歪みが原因の場合が半数ほどある
     ケーキを等分できない
     図を模写するとまったく違う形になる
     殺人を犯してるのに自分は優しいと話す
     被害感が強い(視線があっただけなのに睨まれたと感じる)
     幼児を好む(9歳以上の女性は怖いという)
     時間の概念が3日間ほどしかない(1ヶ月後のためにがんばるとか、この犯罪を犯したら後々もっと大変とか)

    ・IQ 70未満は知的障害、71-84は境界知能
    ・境界知能を含むと全体の16%(クラスに5人)

    ーーーーーーーーーー

    想像もつかない世界を知れた事で視野が広がった。
    今後部下や関わる人にもいることを考えると、ただ怒ったり褒めるだけではなく関わり方に注意が必要だとわかった。
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    投稿日:2024.03.13

  • はね

    はね

    以前の仕事で発達障害であろう部下を任せられることが多く、何か解決策は無いかと思い出たばかりの頃、すぐ見つけて購入しました!
    元々精神科や心理学などが好きだったのでスラスラ読める内容で読みやすかったです

    ただ、やはり何かしら知的障害や発達障害がある場合こちらの正解がそちらにとって正解ではないんですよね。その理解をしてもらうのも難しくて。このケーキを切れないのも何故そうなるのか相手の事を考えても分かり得ない事なんです。
    だから非行や犯罪をしてしまう事がしょうがないとは、全く思っていないし。むしろ精神疾患がある場合無罪や刑が軽くなるのは私は違うと思っています。
    どうしても頑張れない人達という本も出て早速買ったので読むのが楽しみです。

    とてもよく考えさせられる内容でした。

    ※本の概要※
    児童精神科医である著者は、多くの非行少年たちと出会う中で、「反省以前の子ども」が沢山いるという事実に気づく。少年院には、認知力が弱く、「ケーキを等分に切る」ことすら出来ない非行少年が大勢いたが、問題の根深さは普通の学校でも同じなのだ。人口の十数%いるとされる「境界知能」の人々に焦点を当て、困っている彼らを学校・社会生活で困らないように導く超実践的なメソッドを公開する。




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    投稿日:2024.03.07

  • ねね

    ねね

    非行をする人への考え方が少し変わった。また、勉強をすることの意味についてもう一つの答えをもらった気がする。自分は今個別指導のバイトをしているけど、できない子には根気強く教える側が付き合う必要があるのだと思った。
    また、将来の教育に使えることが書かれていて勉強になった。
    また、非行少年の特徴の中に小さい頃の自分と重なるモノがそれなりにあって、ここまである程度まともに育ててくれた親への感謝は計り知れないと感じた。
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    投稿日:2024.03.06

  • ムロオ

    ムロオ

    軽度知的障害、境界知能など支援の必要な子どもを早期に発見する。発見が遅れるとその子らはイジメに遭い、失敗を繰り返し、社会から忘れられた存在となる。一般社会における厄介な人は生き辛さを抱えており、いつしか犯罪加害者となってしまう。

    「刑務所しか居場所がない人たち」から続き、読了。

    刑務所には極悪人が収容されていて、塀の外の社会の平穏を守っている。そんな思い違いを考え直すきっかけになりしました。
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    投稿日:2024.03.03

  • あーちゃ

    あーちゃ

    非行に走る子達なりの苦悩が知れた。
    性非行の事も書いていて自分の育児を振り返りながら読む事が出来て育児に生かせることも書いてあった

    投稿日:2024.02.29

  • バジ

    バジ

    札幌のコンビニ殺人事件の犯人が、小さい頃から他人との距離感がわかっておらず、暴力的になりがちで、そもそも障害を抱えてるタイプだった。社会がそれを認知してうまく導く仕組みがなかった面もある、という話を聞き、本書に行き着いた。

    非行少年を理解するのに役立つ、新たな見地に立った本。

    なぜこんなことをするのか?
    なぜ自分を抑えられないのか?
    相手の感情を理解できないのか?

    その謎の答えがある。

    彼らがやがて大人になると、子供を産んで連鎖したり、犯罪を繰り返したり、騙されたり、といったことが起きるんだろう。

    一方で、幼少期の家庭内の愛情や教育不足による知能の低下という面も大きいのではないかと感じた。

    作者は教育の敗北という言葉を何度か使っているが、グレーゾーンの認知がより進んで、悲しい犯罪が減るように社会制度を整える必要性を感じた。

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    投稿日:2024.02.28

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