【感想】ルポ 教育困難校

朝比奈 なを / 朝日新書
(16件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • kassinge

    kassinge

    書名の教育困難校とは、いわゆる底辺校のことである。底辺校と呼ばない理由は、在校生たちの心情や実際の学力で括ると上手く表現できていないところがあるからである。

    私は、教育困難校とは縁がなくその実態について全く知らなかった。イメージとしてドラマや漫画に出てくるようなヤンキーがいるのだろうくらいであった。しかし、実際には、学習障害や不登校児、不本意ながらの入学など様々な生徒が存在する。その中には、学びたい意欲のある生徒たちもいるらしく、本書を読み始めて気づいたので、それを知れてよかったと思う。

    目次を読んで一番気になった章がある。それは第6章『それでも「教育困難校は」必要である』だ。先に書いた通り教育困難校とは関わらずに生きて来たため、その必要性について考えたことがなかった。
    ここで挙げられる存在意義のなかで、特に印象に残った2点を記す。それは、「高卒」の「資格」を与える場としての意義と、社会の治安を助ける場としの意義の2点である。両者ともに学校内だけの話ではなく社会とも関わりがあること共通点があると思う。

    筆者は教育困難校について、その存在に注目してほしいと述べているが、本書を通して教育困難校は孤立した存在ではなく、社会に確かに存在しているということを知った。
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    投稿日:2022.03.17

  • なおぴ

    なおぴ

    教育現場は疲弊してる。

    大人しくなったとはいえ、心ない言葉を吐くもの、全く学習に興味ないもの、話が通じないもの。

    それがほとんど全て、「教育困難校」に集約されている。といっても過言ではない。

    の著者の言いたいことはわかる。
    現場を経験している人間ならイメージがつくが、経験していない人は本当か?と疑いたくなることばかりなので、もう少し実例を入れ、展開してくれたらよかったのにと感じた。
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    投稿日:2021.01.11

  • x

    x

    朝日新書の新刊欄から発見。

    日本のメリトクラシーが凝縮された高校入試の結果、その環境に適応できなかった生徒が進学する「教育困難校」。本書はその現状をまとめた本である。

    ・教育困難校の内実がどのようなものなのか詳細な記述が現実感を加速させる
    ・生徒の類型化も面白い①荒れたヤンキータイプ、②コミュニケーションや学習能力に困難さがあるタイプ、③不登校を経験したタイプ、④外国にルーツを持つタイプ、⑤不本意入学をしてきたタイプ
    ・これからわかるように困難校の生徒はただ勉強ができなかったから、努力が足りないから入学したのではなく、本来の特性で発達障害やコミュニケーション障害を持っている子が多い
    ・これらの生徒を社会が見てみぬふりをするのではなく、社会を支える若者として救う制度を作り、社会の一員に育てていかなければいけない。
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    投稿日:2021.01.08

  • Kenji Takahashi

    Kenji Takahashi

    教育困難校の現状を、ある程度は、知ることができた。
    ただ、著者の印象や、「教育困難校あるある」をのべただけで、実例に乏しく、それが合ってるいるのかどうかよく分からない。実例がわかりやすいところは最後の教育困難校の改革くらいだった。
    著者はたびたび、勉学に問題かある生徒には家庭環境や発達障害などに問題があることが多い、とも言っているが、その家庭環境の具体的な事例はかかれておらず、なにか結局一般論を垂れ流ししているだけで、教育困難校の現状について実態をとらえ、伝えることはできていない。「ルポ」と銘打っている以上は、安易な印象論に走るのではなく、少ない事例でも、一つ一つの事例について読者が十分なイメージを持てるような記述が欲しい。
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    投稿日:2020.08.12

  • 9b65b5fb7322cdc7

    9b65b5fb7322cdc7

    家庭環境は大事。
    塾講師をやっていた時期、底辺校に進学する生徒を送り出したことがあるが、その子の親も子どもが通う高校がどんなところか知らず、興味がないようで私がショックを受けたことを思い出した。
    成績が悪くても「私も勉強ができないので」と言われ、仕方ないと諦めていたのを思い出した。

    これを読むことで教育現場に携わることを考え直す人が一定数いそう。
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    投稿日:2020.05.16

  • だーち

    だーち

    読後感の重い話ではあるが、多少なりとも教育困難校の生徒と接することのある身として深く納得できる話だった。

    読んでみての感想は思ったより酷くない。生徒も教員も了解可能な苦しみであり、解決が不可能な課題には思えない。しかし、現実それをするための人と資金が不足している。その背景には社会の侮蔑と無関心がある。本当にその通りだと思った。

    教育困難校に通うとされる彼らは純粋で、人間としての魅力に溢れている。それが中高段階での挫折を経て人生を諦めてしまう。こんなに悲しいことはないと感じてきた。
    多くの人が本書を読んで、偏見も無関心も取り去ってくれることを祈るばかりだ。
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    投稿日:2020.03.18

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