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セーレン・キルケゴール, 村上恭一 / 平凡社ライブラリー (1件のレビュー)
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総合評価:
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nakas
このレビューはネタバレを含みます
読み進めるのが難しい哲学書でした:創世記におけるアダムを通して考察を進める。アダムはもともと無垢であり無知であったため、無限の可能性をもっていた。禁断によってひとつの自由の可能性を目覚めさせ、アダムを不安がらせた。そしてアダムの最初の罪を通して、罪性がアダムの中に入ってきた。罪によって感性は罪性となる。無垢のうちの感性は罪性ではなく、性欲は罪性ではない。人間は霊と肉の綜合であるが、両者を統一するのが精神である。精神は自己に対して不安と関係する。無垢というのは野蛮さのことではなく精神によって規定される無知のことであり、これが不安である。ここには善と悪に関する知識は少しも見られない。現代は神話を絶滅させようとしながら、もろもろの神話を生み出しており、精神喪失の状況においてはいかなる不安も存在しない。不安によって精神をさらなる高みへと導いてゆくことがキリスト教の在り方である。
投稿日:2019.07.21
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