【感想】官邸官僚 安倍一強を支えた側近政治の罪

森功 / 文春e-Books
(11件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • オギノ通り

    オギノ通り

    ★チームのバランスは★安倍政権の官邸官僚は2種類いると後書きで記している。菅官房長官を支える官房副長官の杉田和博(警察庁)や首相補佐官の和泉洋人(国土交通省)、そして第一次政権から続く首相秘書官の今井尚哉首相秘書官や長谷川栄一、柳瀬唯夫といった経産省出身者。個人に焦点を当てた章立てでそれぞれのストーリーはよく分かっただけに、チームとしてどのようなパワーバランスで成り立ったのかが気になった。

     出身官庁でトップになるようなスーパーエリートでない人物だからこそ、官邸で安倍政権に忠誠を尽くしたという書きぶり。ただ、本当にフィットするのは技官の和泉だけではないか。和泉については何が重用されているのかよく知らなかったが、特区をきっかけに難しい法案を通しきる力が評価されたとのこと。内閣人事局の力をきちんと使わないと、官僚のゆがみと無力感を生む。様々な問題も抱えつつ、安倍政権は結局、勝ち逃げだったのだろう。
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    投稿日:2023.09.10

  • Qui vult Lectio

    Qui vult Lectio

    今井尚哉、和泉洋人、杉田和博ら傍流だった官僚が官邸官僚として辣腕を振るう姿を描く。著者が批判的なことを差し引いても、従来の省庁政治とは異質の体制が浮かび上がる。ただ、首相機能強化(=大統領化)の結果が直轄官僚の肥大化と考えると当然ではあるのだろう。現に米国の猟官運動と比べれば、日本における弊害は微々たるものである。問題は、官邸官僚が一流でないということであり、岸田政権ではそれも改善されたように見えるので、これからの制度変革に期待したい。続きを読む

    投稿日:2023.03.09

  • まりも

    まりも

    今井秘書官を始めとする安倍総理を支えた官邸官僚たちにスポットを当てていく。取材で得た情報がたくさん散りばめられているが、取り留めがないのと著者の立場があまりに政権に批判的なので評価は低めにした。これだけ情報があればもう少し上手くまとめられると思うのに残念。続きを読む

    投稿日:2022.06.22

  • hito-koto

    hito-koto

     安倍一強政治を支えた高級官僚、首相秘書官、首相補佐官、官房副長官などについて、その仕事ぶり、中央省庁への働きかけを紹介した書。よく取材されてるとは思いましたが、読みにくかったです。

    投稿日:2021.01.15

  • テムズの畔にて

    テムズの畔にて

    安倍政権における官邸官僚の分析。第一次のお友達内閣の反省から、杉田、今井、北村、和泉、長谷川、柳瀬といった官邸官僚を登用し、内閣人事局の人事権を背景に霞ヶ関を操り、ある種破壊していったという内容。

    特に、杉田、北村、和泉などの前半生からスタイルや軌跡を追っているのは面白い。また、これらが各省庁の官僚機構のトップではなく、二番手、三番手だったという分析も良い。

    しかし、それ以外は週刊誌的な内容、かつ、はなから官邸官僚を批判するトーンで書いており、納得感がない。

    こうして見ると、経産・警察の天下に菅長官に近い和泉が食い込んでいる形。菅内閣になり、経産グループは消えたが和泉の勢力は残り、何故かしぶとく警察も残る。他方、外務省復権も言われているし、法務では安倍政権の守護神の黒川氏が失脚、財務がどうなるか。菅政権一年くらいでまた分析したら面白いものになるかもしれない。
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    投稿日:2020.12.10

  • すた

    すた

    知人に薦められた本。

    和泉補佐官がいかにして名を上げ、入り込んで、力を持ったのかの記述は面白い。
    いわく、小泉政権下で都市再生本部事務局次長として、公共事業に代わる新たな成長産業として、都市再生という旗印を掲げて仕掛けた、と。このあたりから「国交省に和泉あり」と霞ヶ関にその名が轟くようになっていったと。
    民主党時代になっても政治家との人脈から内閣官房に残り、参与になり、さらに自民に戻った第二次安倍政権で補佐官となった。それには菅官房長官の強い推薦があったという。
    菅が横浜市議のとき建設事務次官だった高秀を市長に擁立したころにも、和泉によく頼っていたのではないか。そして菅が国交政務官になったあとも(←なったことを知らなかったが)、なにかと和泉に相談するようになった、と。
    こういうことを知ると、菅政権になったとき和泉補佐官がどう処遇されるかと思っていたのが愚問だとわかる。

    港湾局の「チーム和泉」の話も印象的。
    沖縄防衛局の従前の設計では地盤条件にあわないので見直しが必要ということで、菅が、2016/1に港湾局の9人を送り込んだと指摘している。週一で和泉が打合せて指示を出してきたという。
    人事をもって力の源泉としている、との指摘も説得力がある。

    さて、このあたりの評伝?的な内容はまだいいのだが、本書後半はさしずめ週刊誌的な内容と言わざるをえない(週刊文春刊なのでそりゃそうなのだが)。
    とくに、森友加計や財務次官のセクハラなどのスキャンダルについては、記述が感情的で、政権批判のトーンが前提になっているので読んでいて頭が痛くなる。文科省局長の裏口入学事件もそう。
    こういう、捜査中係争中の案件について決めつけて、「子供染みた嘘のように感じる」「内閣の失態をさらしてきたともいえる」(あとがき)などと一方的に書くのは、単なるジャーナリズムにさえ満たない週刊ポスト的な内容で目をおおいたくなる。

    とはいえ、稲田朋美の内閣人事局設置の仕事や、関空の2018年台風21号での災害対応のまずさ(なんでも民営化すればいいというものでもないという指摘)など、傾聴に値する記述もあるのは確か。
    項目によって、論理性・客観性といった辺りの基本的なスタンスが混在しているのが、本書の意義や信頼性を下げているのは、なかなかに残念。
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    投稿日:2020.11.08

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