【感想】結婚不要社会

山田 昌弘 / 朝日新書
(22件のレビュー)

総合評価:

平均 3.6
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7
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ブクログレビュー

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  • ひろき

    ひろき

    結婚について、歴史と国の観点で語られている。

    知っている内容だが、改めて歴史的背景をもとに語られると気づきがある。

    特に、皆婚時代はお見合い等で同等婚がなされていた。
    途中で、年収に差がなかった時代は、容姿で結婚相手を選んでいた。
    現代は、階級格差があるので、男は稼げる方がよく、女性はまず年齢があってその後に容姿が重要と言う話だった。

    人によっての好みはあるが、格差社会によって経済面で選ぶ時代の傾向があるのが1番である。

    また、現代はとにかく大学まで行かせるのが第一で、子供を下流にしたくないという風潮があるが、この流れをやめることで子供を持つことのハードルを下げることが少子化解消の第一歩と語る。
    概ね同意である。
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    投稿日:2023.07.02

  • ひなこ

    ひなこ


    こちらを読んで女性はもっと経済的に自立をしなければならないと感じました。

    シングルマザーへの支援も同時に必要です。

    昔の古い結婚観はどんどん新しいものになりつつあります。

    昔の結婚観がおかしいと気づいた人たちは、自由で新しい結婚を始めています。

    おかしいと思ったら古い価値観にNOを突きつけなければなりません。

    女性を取り巻く環境が、北欧みたいになったら、夫婦関係はもっと素晴らしいものになることでしょう。
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    投稿日:2022.02.15

  • mugi

    mugi

    このレビューはネタバレを含みます

    返却期限が来てしまったので第3章までしか読みませんでした。
    タイトルを見て借りたのですが、私が期待していた内容とは違くザ・社会学っていう内容でした。
    自分がこう言ったのが当たってる当たってないなど、正直どうでもいいな〜と思ってしまった。
    期限が来てなくても全部読めなかったかもしれません。

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    投稿日:2021.09.23

  • ゆう

    ゆう

    日本は高度経済成長時の結婚の価値観を捨てきれずに今なお彷徨い求めている。欧米のように気軽に恋愛を楽しむ関係を持たないと未婚化はさらに進んでいくだろう。日本は世界と比べて独身に対して肩身の狭さを感じないというところには驚かされた。
    たしかに街に出ればお一人様用のサービスに溢れている。これでは独身を更に助長してしまうのかもしれない。
    結婚への経済的、心理的なハードルを下げて共に生きることを重点的に考えるしか日本の未婚化をする食い止める方法はないのかもしれない。
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    投稿日:2021.06.22

  • Morrie

    Morrie

    このレビューはネタバレを含みます

    時代の流れとともに結婚の在り方がどう変化してきたか、結婚に何を求めているかがよくわかり知見が深まった一冊

    以下読書メモ
    >>>
    ・結婚は、幸福を保証しない。この点が理解されるなら、結婚はもっと、増えるのではないか。

    ・結婚困難から生じる問題を解消する手っ取り早い方法は、結婚しなくても経済的・心理的に生活ができる社会に変わることでしょう。要するに、結婚不可欠社会から「結婚不要社会」に変わればよいのです。


    ・要するに、男性にとって結婚は人生の通過点の一つでしかなく、男性は結婚によって自分の人生のコースが変わるものだとは思っていない。結婚するから会社を辞める、すなわち「寿退社」のような選択もない。あくまでも「イベント」、いわばゲームをクリアする感覚です。


    ・ちなみに、男性の答えは「かわいい人」や「料理のうまい人」などさまざまで、それぞれ自分の「好み」で結婚相手を選ぶというものでした。男性のこうした結婚観を表す表現には、やはり先述したように「イベント」がふさわしいと思います。


    ・ 実際に未婚者、つまり「結婚したいけれども結婚できない人」が増えるにつれて、それが人々の認識のレベルにまで浸透し、人々の行動に変化をもたらしている(社会学では「再帰性」と言います)のが、ここ20年の動きなのです

    ・結婚はいわば、社会を構成する枠組みの一つです。その結婚をミニマムに―人類社会に共通する最低限の部分を取り出して―定義すると、「性関係のペアリングに基づく恒常的関係」と表現することができます

    ・ 結婚という「制度」に限定するなら、社会科学の事典には「婚姻」は、「単に一時的な男女の性関係や私的な同棲と異なり、社会的に承認された持続的な男女間の結合であって、その当事者の間に一定の権利・義務を派生させる制度を言う」(比較家族史学会『事典 家族』)とあります。

    ・ 文化人類学では、通文化的な――いつの時代、どこの地域でも見られるような―-婚姻関係について、おおよそ「排他的性関係」(結婚した二人の性関係の特権的な正当化)と「嫡出原理」(結婚した二人の子どもの社会的位置づけの正当化)という二つの概念に集約されています。

    ・たとえばネパールやチベットには、兄弟が一人の妻をめとるというかたちで結婚が行われている地域が知られています。

    ・結婚する個人にとって、「経済的」と「心理的」な効果をもたらすのが結婚という行為です。「結婚は性的なペアリング」と先述しましたが、人は結婚すると、「経済」と、「心理」双方の面でメリットまたはデメリットが生じるわけです。

    ・つまり良きにつけ悪しきにつけ、結婚によってペァの経済的な生活水準が同一になる。これが、結婚の経済的効果です。

    ・ 結婚の「心理的効果」について。結婚相手は親密性――言語的(話す・開く)、身体的(見る,きわる)、物的(あげる・もらう)コミュニケーションが、自然に障害なく行われている「状態」――の相手と言えます。つまり、性的なペアリングである結婚というのは、結婚相手がセクシュアリテイ(性行動)やロマンス(恋愛感情)などを含めて、お互いを心理的に満足させる仲のよい相手になり得るという意味を含んでいるのです。

    ・つまり、結婚や出産は個人のものとしながらも、社会全体は結婚や出産に依存しているのが近代社会なのです。国民なり政府なりは、人々の結婚や出産に関心を持たざるを得ない。その関心は、たとえば今日の「婚活」にも表れているわけです。

    ・そもそも、社会や国に介入されるのが近代社会の特徴でしょう。近代社会は、国は個人のものとされながら、社会は個人の決定に依存しています。つまり、個人の決定と社会なり国なりの存続が相反してしまう可能性がある状況にあり、それは、近代社会が抱え込んだ解決しなければならない根本的課題なのです。

    ・ 心理面で言えば、「近代は、アイデンティティを自動的に保証しない社会である」ということです。

    ・そうした存在論的不安というものを解消するために、近代社会では自分を承認してくれる相手――自分がここにいてもいいと思えるような存在―-を自分で見つける必要がある社会が出現しました。

    ・「個人の選択」をもたらした大きな要因は、産業革命です。それによって親の資本を継承する社会でなくなったことが、結婚に個人化という決定的な変化をもたらしたというわけです。つまり、個人が配偶者を選んで近代家族をつくるようになる条件には、男性が親の家業を継ぐのではなく、男性がイエの外で働くことが可能になるという「仕事の個人化」が含まれているのです。

    ・ 人間社会がすべてにおいて一挙に変わることはありません。しかしながら、産業革命によって急増した被雇用者の若者を中心に、結婚によって新しい家族を形成して親から独立して生活をするという傾向がどんどん強まっていきます。自分で配偶者を見つけなければ生涯独りで生きなければならず、生活にもそれなりの困難が生じるのですから当然の変化でした。

    ・ つまり近代社会では、親から独立して夫婦が生活を営むようになると同時に、そこで築く核家族が「生きがい」になるのです。家族をつくって親密な生活を送ること、そして、子どもをつくって育てることが人々の生きがいとなります。家族がいればさびしくないし、家族生活を営むことが生きがいになるというわけです。

    ・ 最近までは、男性が家計を支えて、女性が家事や育児などの無償労働・ケア労働をするという「性別役割分業」の夫婦が一般的でした。性別役割分業とは、要するに女性にとっては自分を養ってくれる男性が必要で、男性にとっては家事・育児をやってくれる女性が必要だという意味で、経済的にお互いが不可欠な相手であるということです。

    ・ 近代社会の独身は、自分を承認してくれる相手が存在しないこととほぼイコールになり、女性にとっては自分を経済的に支えてくれる人がいない、男性にとっては世話をしてくれる人がいないこととほぼイコールになったわけです。

    ・ 近代社会における結婚は核家族――共同生活の場と親密な関係をつくり出す場―を形成するための重要なイベントになりました。逆に言えばそれは、恋愛結婚の不可欠性と共同生活の不可欠性という、二つの帰結をもたらします。つまり近代的結婚というのは、自分を承認してくれる親密な相手をつくるイベントなので、必然的に恋愛結婚にならざるを得ないのです。自分を将来にわたって存在論的に承認し合う相手でなければ、存在論的不安を満たせないわけです。

    ・不可欠というのは逆に言うと、結婚しないで独身でいることは、心理的には自分を承認してくれる相手がいないということで、わかりやすく言えば「さびしい」ということです。経済的には自分で稼いだうえに家事などをしなければいけないし、子どもも持ちにくいし育てにくい。いざとなったときには誰も助けてくれないので非常に困るわけです。近代社会は、独身男性においては世話をしてくれる人、子どもを産んでくれる人がいない、独身女性においては経済的に支えてくれる人がいないという困難が生じる社会として始まったといえるでしょう。

    ・第一の条件は、結婚相手は自分の存在を肯定してくれる相手でなければならない。つまり、お互いの愛情が一生続く相手でなければいけないということです。第二の条件は、結婚が新しい経済生活のスタートなので、結婚後の経済生活が自分の期待する以上のものでなければいけないということです。

    ・あとで詳しく説明しますが、現代社会の結婚において経済か愛情かという選択は、ヨーロッパやアメリカでは好きかどうかを優先して経済は二の次、日本やアジアでは経済を優先して好きかどうかは二の次、というふうに分裂しているのです。

    ・アメリカの経済学者リチャード・イースタリンが唱えた「イースタリン仮説」というのがあります。「不況期には結婚が少なくなり、好況期には結婚が多くなる」という有名な学説で、結婚における経済的要素を端的に表現しているといえます。

    ・ いつでも自分を承認してくれる親しい相手というのが家族以外になくなるというのが、じつは近代社会の特徴なのです。

    ・「近代社会の深化」や「近代社会の構造転換」と呼ばれ、ドイツの社会学者ウルリッヒ・ベックに従い、深化・転換前を「近代1」、その後を「近代I」として議論していきます。

    ・イギリスの社会学者アンソニー・ギデンズの言葉を借りれば、「相手を選び合っていることだけ」が親密な関係――お互いに好きだという関係――を続ける唯一の根拠になってしまったのです。これをギデンズは、「純粋な関係性」と呼びました。つまり、別に結婚しているからといって親密であり続けるわけでもなく、結婚しないからといって愛情がないわけでもないということです(『親密性の変容』)。要するに近代』は、結婚と親密性が切り離される時代になったというわけです。

    ・このように外見だけが残って、意味のほうはすっかり変わってしまったようなシステムを、イギリスのギデンズは「貝殻制度」(『暴走する世界』)と呼び、ドイツの社会学者ウルリッヒ・ベックは「ゾンビ・カテゴリー」(Beck &Beck,"Individualization")と呼びました。いずれも、生きているように見えるけれども実質的な意味はなくなっているという比喩です。

    ・ じつは、欧米でフェミニズム運動が強かった要因の一つには、こうした「経済生活の自立」すなわち自分で自由に使えるお金が欲しいという動機があります。逆に言えば、女性が夫の収入を全部コントロールしていることが、日本でフェミニズムがあまり浸透しなかった大きな理由だと思います。

    ・ 社会学者ベックは「世界家族」という概念を提唱しました。お互いが遠距離で別々に生活しながら、スカイプやメールなどでコミュニケーションしている家族をそう名付けたわけです(ウルリッヒ・ベック他『愛は遠く離れて』。これはつまり、なにも一緒に生活していなくても、お互いが心理的に選び合っているというだけで満足するような関係性です。

    ・ 先の章で見た近代的結婚が困難になりつつある状況は、日本も欧米も同じです。経済的変化によって、従来の「性別役割分業型の家族を目指す結婚」は徐々に困難になってきました。

    ・女性の収人については、あまり気にされません。外見も身長も関係ありません。では、なぜ年齢か。端的に言って、「出産」「育児」です。多くの若い男性にとって、子どもを産んで育てられる年齢ということが女性が結婚相手として選ばれる大きな条件になります。

    ・日本では結婚したほうが色々な意味で便利で有利

    ・ 特に女性の場合は、下に見られることを嫌います。男性の場合は結婚相手によって自分のアイデンティティが上下しないので、誰と結婚しても社会的評価は変わらないのですが、女性の場合、その友人や親戚、家族の関心は、とにかく結婚相手の社会的地位です。それは、今日でも変わりません。相変わらず女性は、結婚相手の社会的地位によって自分のアイデンティティが上下するわけです。女性のプライドは、つき合っている男性のレベルにまだ強く依存していると言ってもいいでしょう。

    ・ 日本人が近代的結婚に固執する最後の理由、四つ目は「子どものために」です。前述の「JJ世代の結婚白書2019」には「お金がないからやりたいことができないというのは嫌だ」という考え方が載っていますが、同様に、「お金がないから子どもに何か買ってやれないという事態は絶対に避けたい」と、特に女性の多くは考えているわけです。

    ・経済的に自立できたらすぐに離婚したいと思っている女性はたくさんいます。逆に言えば、経済生活が破たんすれば、離婚しない理由はなくなるわけです。実際、私の調査では、離婚理由で多いのは、日本では「夫がリストラされた」とか「夫の事業が失敗した」といった経済的理由なのです。

    ・ 男性は結婚後、経済的に不安定になってもいわば自分のせいなので結婚したことを後悔することは極まれです。けれども女性は、結婚相手によって経済的に不安定になるので、そうなったら結婚したことを後悔するわけです。

    ・ 自分はお金をかけてもらって都会で育てられて「インテリ」になった。田舎に行って新しい試みもしている。けれどもそもそも田舎暮らしでは、子どもを「インテリ」に育てられないというわけです。あくまでも子どもの教育は都会で――それが多くの夫婦の本音でした。要するに日本人の世間体や見栄は、自分に関してよりも子どもに関する際のほうが数段強いのです。

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    投稿日:2021.04.28

  • そのまわ

    そのまわ

    すごく勉強になるから2周してしまった。
    社会学の観点で歴史も踏まえて、現代の結婚事情を分析する本。

    投稿日:2021.04.27

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