【感想】ひとの気持ちが聴こえたら 私のアスペルガー治療記

ジョン エルダー ロビソン, 高橋 知子 / 早川書房
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
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ブクログレビュー

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  • pankan

    pankan

    作中にも出てくるが「アルジャーノンに花束を」思い出した。
    アスペルガーであることのメリットには考えさせられる。
    認知神経科学への興味がわく。

    投稿日:2024.03.03

  • うみすなねこ

    うみすなねこ

    非常に面白かったし、興味深かった。
    現在、知っているADSDやASDについての知識が、いかに表面的なもので、中途半端なものか、わかったし、未知の領域なのだ。

    投稿日:2024.01.21

  • だちおくん

    だちおくん

    字数が多く、読むのにとてつもなく時間がかかった。
    リアル版アルジャーノンに花束をという感じ。
    自閉症について勉強になった。
    文章が論理的で難しい話もいっぱい出てきて読むのが大変だったけど人生の悩みやら色々書かれていて心動かされるものがあった。続きを読む

    投稿日:2022.10.25

  • masaaki.oyabu

    masaaki.oyabu

    注意して読んだのは、TMSを施されたあとのジョンを含む被験者の変化がどのように現れ、それらが彼らの言葉でどう表現されるかということ。
     この表現に使われる言葉が抽象的であればあるほど私の想像はクリアになっていく様に感じたし、それを脳科学的に解析するアルバロをはじめとする医師たちの言葉はその想像を実際に脳の構造を描きその機能を理論だててくれた。
    既に観た映画『アルジャーノンに花束を』は本書を映画化したものと思って読み始めたがそれは違った(よくある原作と映画化の相違みたいなものかもしれない)
    どちらも良い作品であるだと思うが。

     やはりこの本の優れているのは何と言っても、日本語訳。ジョンのTMSの受け入れ揺れに動く切ない心情や、アスペルガーとしてもって生まれた過敏な感覚が更に研ぎ澄まされていく様子がジョン自らが語る言葉の繊細さで見事に伝えてくれているところにある。

     TMSを受けた自分を想像して、自己の感覚の拡張世界に入り込んでみたり、逆にアスペルガーになった自分が、失うことになった感覚で生きる世界に入り込んでみたりしながら読んでいる自分がいた。現実にいながら、隔絶したカプセルの中の時空を味わった。映画でなく本でこんなトランス状態になれたのは久しぶりだ。
     
     素晴らしい時間をくれた  本。
     
    続きを読む

    投稿日:2022.08.30

  • いち

    いち

    「普通の人」の定義ってなんだろう。
    そう考えさせられるお話。
    病気は治すことが良いとされていて先天的な精神障害もその例外ではない。しかし、筆者の体験からは必ずしもそうではないと思い知らされた。
    もっとも、筆者は病気という認識はなくひとつの個性として受け入れてきた時間が長いことが功を奏していたのだろうけども、自閉症と診断された子供はかつての筆者のように学校や親からはそれは悪いもので治さなければいけないものとして認識しなければいけなくなる。
    病気として定義づけることはマイナスの要素を孕んでいて、治療することはその人の個性を奪う可能性もあることを周りの人間は知っておかなければならない。
    試しにこの治療をやってみました、「普通の人」みたいに人の心が分かるようになりました、ハッピーエンドです、で終わらないのはノンフィクションの良いところ。
    様々なことを考えさせられるこの作品は多くの人に読んでもらいたい。
    続きを読む

    投稿日:2022.02.21

  • yohko_barF

    yohko_barF

    このレビューはネタバレを含みます

    ようやく再開した読書習慣
    長いこと、いろんな本を読んできたけど

    好きな作家を追い続けたり
    好きなジャンルに偏ってたり

    それはそれで面白いんだけど

    Bar営業を始めてから
    読書好きな常連さんから
    いろんなジャンルの書籍を紹介してもらって

    結構、幅が広がったなぁーと思いきや…


    最近は、お気に入りのYouTubeチャンネルで
    おすすめしていた書籍を読んでみるという試み


    特に、影響を受けてるのは
    最近ドはまりしてる
    YouTubeチャンネルの
    『岡田斗司夫ゼミ』

    オタキングと自称しているだけあって
    サブカル系の書籍はもちろん

    ビジネス書や、歴史、医療など
    とにかく幅広く解説してくれる


    その中でも、興味を引いたのが本書


    洋書翻訳本が苦手な私ですが
    本書の翻訳は、非常に読みやすい
    ありがたいねー



    で、どのような内容かというと…


    著者である
    ジョン・エルダー・ロビンソン氏の自伝


    ロビンソン氏は
    子供の頃から、周囲の人々と
    うまくコミュニケーションが取れず
    仲間外れにされがち

    しかし、機械モノが大好きで
    電気で動くモノは
    とにかくバラして組み立てる
    仕組みを理解してご満悦という

    一風変わった幼少期を過ごす

    絶対音感の落ち主だったため
    中学生の頃から通っていた
    近所のライブBarで、機材のセッティングを手伝うようになり
    次第に、頭角を現す


    全米ツアー中の
    超有名アーティストのツアーに参加
    (ピンク・フロイドの音響エンジニアやキッスの火を噴くギターの設計をする)

    仕事に対しての信頼と、大金を得るも
    人間関係がうまくいかない


    音響エンジニアを辞めて
    自動車修理工場を立ち上げ、すぐに軌道にのせるも
    お客とのトラブルが絶えない


    そんな中、同じく自閉症スペクトラムの弟が
    作家になり成功を収めたのを機に
    自身も作家デビューする

    書籍出版に伴い、講演活動が増し
    講演を聴きにきていた研究者に声をかけられ
    「経頭蓋磁気刺激調査研究(TMS)」
    に参加する事となる


    TMSというのは
    頭部にTMSコイルをあてて
    磁場を発生させ
    脳内に電磁エネルギーを注ぎ
    神経回路の機能を高める医療技術のコト


    重来の痙攣法(電気ショック)に比べ
    はるかに少ないエネルギーで
    ターゲットを絞って
    ピンポイントで狙えるという
    極めて安全性が高く、副作用の少ない技術で

    現在では、アメリカを始め
    ヨーロッパや日本でも
    脳卒中や、うつ病の治療に使われてるようです



    年齢も性別もバラバラな被験者達は
    全員、自閉症スペクトラム
    ロビンソンも、息子であるカービーと参加

    事前のIQテストでは
    参加者の平均が120

    恐ろしい集団である笑


    自閉症スペクトラムの特徴として
    他者の口調や、仕草などの
    非言語シグナルを理解できず
    額面通り、発せられた言語だけでしか解釈できない


    コレが、どーゆーコトかと言うと

    嫌味や、皮肉が理解できず
    表情から、相手の気持ちが汲み取れない
    所謂、空気が読めない状態


    ロビンソンの場合
    音に関する感性は、突出していたため
    音楽を聴いても
    頭の中で、正確な波形が浮かび
    微妙な音のズレや、雑音が気になる状態から

    最初のTMS実験を受けた直後
    何百回と聴いたCDで

    音のニュアンスや、歌詞に込められた意味を
    瞬時に感じ取り
    溢れ出る涙を止められなかったという

    他にも
    色彩が、以前よりも鮮明に見えたり
    人の表情を、読み取れるようになったという


    本書でも
    「世の中が以前とは違っているように見えるというのは一大事だ
    人生における、すべてのバランスが変わってしまうのだから」
    と、綴っている



    TMS研究の第一期が終了後
    一番恐れていたことが起こった


    「TMSの影響は、徐々に薄れて消えてしまった
    他人の感情に気がつかないまま、人生を送っていたのに
    束の間でも、新たな感覚を味わったせいで
    人を見抜く感覚が失せてしまったことに
    大きな失望感を覚えた」


    幼い頃に、夢中で読んだ
    「アルジャーノンに花束を」の主人公
    チャリーと
    同じになってしまうのではないかと…

    その恐怖心を沈めるために
    専門書や論文を読み漁り
    TMS研究者であるアルバロ博士や
    その他のstaff達と
    度重なる協議を重ねる


    その後も、引続きTMS研究に参加し続け
    最初の感覚では無いにせよ
    徐々に、開かれた感性が定着していった

    その代わりに失われた物も多かったという


    極度の鬱病だった、2番目の妻とは
    お互いの感性が逆ベクトルだったことで
    バランスを保っていたが

    ロビンソン氏の感性が開花したことによって
    妻のマイナスな感情に耐えられなくなり、離婚したり

    子供の頃から、唯一の友達だと思ってた人物が
    実は、いつも自分を蔑んでいたことに気づく

    「私は彼を許すことができるだろうか?
    もちろんできる
    だが、友情を再開させる理由は何ひとつなかった」


    この台詞が、個人的には一番響いた
    人間関係の本質が、凝縮されている


    特殊な能力を、早い段階から生かし
    大金を得ても、どうしても得難いもの

    TMSという研究に参加して
    普通の感性を得ても尚
    失うものの多さ

    同じ障害を抱えて、生きづらい人々を励まし
    TMSという、最新の研究に携わりながら
    自分の新しい生き方を見つけたロビンソン氏


    特殊な人生過ぎて
    なかなか共感というわけにはいかないが
    とても考えさせられるコトが多かったな

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    投稿日:2020.08.05

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