【感想】蜜蜂と遠雷(下)

恩田陸 / 幻冬舎文庫
(660件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
329
202
65
14
2
  • 直木賞と本屋大賞W受賞も納得の面白さ

    結構なボリュームの作品で、しかもコンクール本番の描写が多いのに、全く飽きさせることなく、夢中にさせてしまうのは、さすが直木賞&本屋大賞W受賞作。
    キャラの設定も見事だし、脇役も個性があるし、クラシックはほとんど分からないのに、ちゃんと音楽が聞こえてくる。
    映画になるみたいだけど、実際に音を出さなきゃいけないのは難しいんじゃないのかなぁ。
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    投稿日:2019.08.27

  • ずっと読んでいたい

    電子書籍ですが物語の構造上、どの辺りまで読み進めているのかは良く分かります。終わりに近付くにつれ、終わって欲しくない、ずっと読み続けていたい。そういう思いが強まっていった稀有な作品。

    投稿日:2021.01.15

  • 自然は心の中に、音楽は自然の中に

     確かこれは、シンセサイザー奏者の喜多郎の言葉だったと思います。
     この小説の中にも、こんな記述がありました。「元々音楽はそこらじゅうにあって、それを聞き取って譜面にする。音楽家は、預言者である。」
     話の展開は、コンペティションに臨む様々な人の想いを描いた群像劇ですが、おそらくこれが、この物語の根底に流れる物なのでしょう。
     話が話だけに、クラシックの楽曲は勿論、フライ・ミー・トゥ・ザ・ムーン等それ以外も数多く出てきます。私はとくにクラシックファンというわけではありませんが、それでもLPだけみれば、最も多いジャンルがクラシックです。しかし、全く知らない楽曲も数多くありました。この本はガイドブックとしても使えるかもしれませんね。
     とは言え、やはり気になるのは「春と修羅」でしょう。どんな楽曲なのでしょうか。この曲の途中にアドリブ部分を設けたという設定がいいですよね。
     音楽家の感性というものは、我々凡人とは全く異なります。以前テレビで辻井伸行氏の即興演奏を聞いたことがあります。勿論、彼の既成楽曲の演奏も言うまでもありませんが、彼の弾く自然の描写、小川のせせらぎ、鳥のさえずりを表現した音楽には驚愕いたしました。演奏よりも創作に力を入れた方が良いのではと思ったほどです。彼のような音楽家達が奏でる即興部分の演奏は、いったいどのようなものなのでしょうか。その一方で、それを余すことなく描写する恩田陸の力量たるやスゴイと思わざるを得ません。
     巻末の解説で編集者の方が寄稿しておらせますが、綿密な取材と絞り出すような努力によって書かれた小説とのこと。そうなんでしょうね。
     とくに楽器演奏をしたことのある人ならば、いやスポーツ等でも同じかもしれませんが、この小説で書かれているとおり、一生懸命練習していると、今まで全く弾けなかったフレーズがある日突然、スムーズに出来るようになったりするものです。また、オレって天才かも?なんて思ったり、ぜ~んぜんダメだ!と落ち込んだりするのも、小説に書かれているとおりです。
     登場人物達はいずれも個性的な面々で、若者の熱情あふれる群像劇ですが、そこに家庭を持つコンテスタントを一人入れるという設定もいいですよね。物語に厚みが出ていました。彼が予選で落ちてしまって、ちょっと寂しいなと思っていたら、最後に嬉しい出来事がありましたね。ホント良かったと思います。
     この物語は、音楽に魅せられた人々を描きつつ、作者のあふれ出る音楽に対する愛情が沢山詰まった傑作だと思います。
     で、これが映画になり、もうすぐ公開とのこと。映像化は不可能だと言われていたのも、読み終えた今では、まったくその通りだと思います。どんな作品になっているか今から楽しみであります。
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    投稿日:2019.09.09

ブクログレビュー

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  • あゆみ

    あゆみ

    本から音楽が流れてくるような、まるでコンクールの会場に自分もいるような気持で読めました。文章だけとは思えない。とても濃い一冊でした。音楽は少しかじっただけなので、知っている作曲家や知らない名前もたくさんあって、ピアノを聴いてみたくなりました。長編だったけど最後まで飽きずに楽しめました!!続きを読む

    投稿日:2024.04.16

  • ナズ

    ナズ

    このレビューはネタバレを含みます

    カンデンツァの場面が一番好きだなぁ…。どこをとっても音楽を肌で感じられる表現力、上下巻を読む間一時も欠かすことなく夢中になれた。でもその中でも多分、私は特に「春と修羅」の各々のカンデンツァが一番興奮しながら読んでたかも。鳥肌止まないくらいだった。亜矢の物語性も含め、音楽の奥深さ、神秘性、それでいて描かれる自然の柔らかく暖かく、けど命を削り取るような残酷さ。どれも大好きだ。

    でも最後の結果はちょっと意外だったな。私の予想は優勝が亜矢ちゃんだったから。
    これまであらゆる人の演奏を色彩豊かに鮮明に描いてきてて、私はそれに夢中になって楽しんでいたから、本選の演奏もどんなものだったか読みたかったな。でもここでそうやって詳細に語ると野暮ったくなる気もするしなぁ。楽しみだったぶんちょっと残念だったけど、しょうがないとこかも。

    あと個人的には解説もすごく面白かった!
    こんだけ音楽コンクールのことをとことん掘り下げて緻密に描いてってするにはやっぱり途方もないくらいの取材と体験と勉強とってあるのは分かってたけど。実際にそれを乗り越えてきた人の体験記は読んでてめちゃくちゃ興味深い。
    あと恩田さんが終始自信なくて可笑しかったな。大丈夫だよ!読んでてすっごく面白いよ!!コンクールなんて全然知らなかった私が、ずっとずっと夢中で読んでたんだから!!って笑いかけたくなっちゃうような自信のなさ。風間塵が予選で尽く落とされかけてるのとか、本屋大賞2回目に「ありなんだ…」って呆然としてるの、読みながら本当に笑っちゃった。

    そういう終わりの終わりまで、物語の外まで胸が震えて弾んで躍って熱くなる、堪らない小説だった!音楽っていいね!物語って最高だねぇ!


    レビューの続きを読む

    投稿日:2024.04.15

  • とが

    とが

    続きが気になって気になって、、
    私としてはかなりはやく読み終えてしまった。
    主要人物のバランスが良くて、ドラマチック。
    風間塵と栄伝亜夜のお互いに高めあうような関係、マサルとの邂逅など、本当に小説だからこその展開がドラマチックで。とても興奮した。
    そして高島明石の『春と修羅』、実際に聴いてみたいなぁ、、と悶々とした。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.10

  • camille

    camille

    ひとことでまとめると、ピアノ小説。

    ピアノの、音の、表現がかなり多い。
    ピアノを弾いている人なら、よりおもしろく読めるかも。

    ちょっとピアノ習ってみたいと思った。


    投稿日:2024.04.08

  • りょーご

    りょーご

     直木賞と本屋大賞をダブル受賞した作品。4人のピアニストが、それぞれの想いを胸にコンクールに挑む物語。音楽に興味がない自分でもスラスラ読めるほど読みやすかったです。
     音楽という、まさに『音』が大切な芸術分野をここまで鮮明に美しく、『文字』で表現することができるとは思ってもいなかった。
     また、結果発表のたびに、読んでいる自分までドキドキする演出がすごいと感じました。
     あと個人的にコンクールの結果がかなりしっくりきました。特にこれと言って根拠はないのですが、最終順位はあの順番だと感じていました。
    続きを読む

    投稿日:2024.04.07

  • kスケ

    kスケ

    上編と変わらず面白いけど、個人的には少し間延びしてるかなあ。
    栄伝、風間の2人の世界観が演奏によって創られていくのが描かれていてすごい。

    投稿日:2024.03.31

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