【感想】チンギス紀 三 虹暈

北方謙三 / 集英社文芸単行本
(21件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
2
10
9
0
0

ブクログレビュー

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  • あやごぜ

    あやごぜ

    第三巻。

    モンゴル族の覇権をめぐり、これまでも何度かぶつかっている、テムジン率いるキャト軍とトドエン・ギルテ&タルグダイ率いるタイチウト軍。
    此度の闘いでも、兵の数では劣勢とはいえ、鍛錬が行き届いているテムジン軍がタイチウト軍を追い込もうとしていた・・まさにその時!黒い旗を掲げた五十騎の騎馬隊がにわかに出現し、テムジン軍を蹴散らしてしまいます。
    その恐るべき五十騎は、丁度その戦を見守っていたジャンダラン氏のジャムカの隊にも向かってきて・・・。

    こりゃまた、凄いヤツが現れましたよ!
    テムジンもジャムカも度肝を抜かれた、五十騎を率いる人物・・・彼の呼び名は「玄翁」。
    読者としては、この玄翁の正体を憶測せずにはいられませんよね。
    個人的には、“大水滸シリーズ”の生き残りではないかと睨んでおりまして、黒旗&めちゃくちゃ強いというところから“あの人”かな・・と目星をつけております。
    (もしかしたら本書内にヒント的な紐づけがあるかもなのですが、私が『岳飛伝』を読み終わってから何年も経つので、その辺はあっても気づけてないです)
    で、この玄翁ですが、実はテムジン軍の“槍のジェルメ”の師匠だったようで、それならテムジンに味方してほしいところなのに、何か知らんけどタイチウトに2度も雇われてしかもテムジンを狙い撃ちにしている感じ(でも、生かしてはいる)なのが気になるところです。
    そんな中、キャトの後方部隊の方は着々と土台が固まってきており、ついに鉄の鉱脈がみつかるという朗報もあって「鉄音」は活気に満ちている感じです。
    一巻ではテムジンにべったりだったボオルチュもすっかり“人材スカウト担当”として役割を果たしていて、過去に大同府にいた時の経験を活かし、“文字”での記録や管理を思いつくなど、その才を発揮しています。
    そしてテムジンに息子が生まれたりと、何だかんだでキャト氏もまとまってきているかな・・と思いきや、前巻でもそうだったのですが、こんな時にまたもやタイチウトのトドエン・ギルテがテムジンの家族を奇襲して、今度はあの人物が犠牲になってしまいます。
    (その後、トドエン・ギルテには“それなりの末路”が待っているわけですが)
    さて、前述した「鉄音」と鉄山との輸送手段として“船”を利用することを模索している為、メルキト族の領地の湖で調べていたキャトの民が襲われるという事をきっかけに、メルキト族とも緊張関係になってきた模様です。
    因みに、件のメルキト族の長・トクトアは、一人で森に入ってC.W.ニコルさん(古っ)のような過ごし方をするのがお好きなようで、彼と片目の狼との友情にはほっこりした私ですが、どうも、それどころではなくなってきていますね・・。
    ということで、今後のメルキト族とモンゴル族(キャト氏&ジャンダラン氏)、そしてケレイト王国の動向にも注目でございます~。
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    投稿日:2024.03.09

  • いちパパ

    いちパパ

    五十騎を率いる、最強の男、現るって帯に書いてあったら買ってすぐに読むでしょ❗
    面白かったんだけど、最後の終わり方が、次の四巻を読みたいと思わせる言葉が。

    投稿日:2024.01.17

  • tomo@読書記録

    tomo@読書記録

    玄翁登場!
    強さや言動から浮かび上がるのがかつてのあの人…。
    過去が語られる日が来るのでしょうか。
    テムジン軍はまだまだ小規模。
    ここからモンゴル統一までは遠い道のりで、梁山泊の致死軍や水軍、文治省が懐かしくなっています!続きを読む

    投稿日:2023.09.15

  • につ

    につ

    このレビューはネタバレを含みます

    感想
    話の途中から玄翁がテムジンやジャムカに立ちはだかり、統一を困難にさせる重要人物になっている。

    個人的に金国に恨みを持っていそうなこと、南から甘蔗の酒を仕入れていることから、岳飛伝から繋がる話で、梁山泊関係者?胡土児の可能性もあるなど気になってきた。

    テムジンは、タイチウトの片割れを討ち、着々と力をつけてきた。

    あらすじ
    トドエン・ギルテが、玄翁という傭兵集団を雇い、テムジンに痛撃を与える。

    テムジンは鉄音という様々なものを作る場所を作る。耶律圭軻という山師を雇い入れ、鉄鉱脈を見つけ、鉄を自分たちで生産するために鉄音をボオルチュに任せ、発展させる。

    タルグダイは、妻のラシャーンを使ってなんとか玄翁を雇い入れ、テムジンとの闘いで深手を負わせるも、自身もテムジンに腕を切られる。

    ジャムカは、一人で玄翁に会いに行き、数日間玄翁のもとで過ごす。玄翁はテムジンとジャムカが後にぶつかることを予言し、ジャムカに滞在中に何か掴むように示唆する。

    テムジンは、向かってきたトドエン・ギルテをなんなく討ち果たす。キャト氏が集まってくると思われたが、タルグダイの元へ多くが走る。

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    投稿日:2023.09.02

  • みちょはちゃ

    みちょはちゃ

    このレビューはネタバレを含みます

    チンギス紀 三 虹暈
    北方謙三

    ∞----------------------∞

    玄翁と五十騎。
    初めはトドエン・ギルテに羊百頭で雇われ、次はタルグダイに砂金で雇われ、テムジンの隊と戦をするが、玄翁の思惑なのかギリギリのところでテムジンを討ち果たすことはせず。タルグダイは片腕をテムジンに斬られる。

    トドエン・ギルテが営地を襲い、自ら囮となって駆け出たチャラカ翁の背に何本もの矢が突き立てられる。父のような人の死で、俘虜の首を打って並べるという今までになかった残酷なことをするようになる。
    そしてトドエン・ギルテをとうとう追い詰め、討ち果たす。

    トクトアとダルドの野営。友人はお前しかいない、と狼に話しかけたり、互いに信用し合って狩りをするところがなんだかホッと癒される。

    2023/02/01 読了 (図書館)

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    投稿日:2023.02.01

  • テムズの畔にて

    テムズの畔にて

     この巻での動きは、タイチウト族の二つの氏長のうち、トドエン・ギルテを遂に撃ち果たすこと。別の戦でもう一人の長ダルグタイの利き腕を切り飛ばすが、タイチウトはダルグタイと妻のラシャーンの下で、小さく纏りを見せ、これまでの交戦はなりを潜める。
     逆に戦雲は西方に起こりつつある。対メルキトでケレイト王国のトオリルとジャンダランのジャムカが接近し、メルキトの跳ね上がりがテムジン麾下のキャト族の偵察隊を虐殺して逆にクビライやジェルメに撃たれる。こうして、メルキト対ケレイト、ジャンダラン氏、キャト氏の構図ができたところで本巻は終わる。
     この巻を通じて、テムジンには峻烈さが備わってくるが、これは玄翁麾下の50騎に二回も敗北し、自身も瀕死の重症を負ったことによる。玄翁の存在とテムジン、ジャムカ、ラシャーン、ジェルメとの関係がこの巻に彩を添えている。
     もう一つ、メルキトのトクトアが森で一匹狼のダルドと連れ立って一ヶ月もの間狩をするシーンが何度か出てくる。既に忘れ去られた人間と自然、獣としての人の営みというのを想起してなんとなく落ち着く良いシーン。これはある種、トクトアの族長としての苦悩からの現実逃避ではあるのだが、次巻以降でのメルキト族の運命を何となく暗示させるもの。
     
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    投稿日:2021.09.19

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