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吉川永青 / 角川文庫 (6件のレビュー)
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jin
陶晴賢の一生を題材にした小説。 敬愛していた主君が汚名を残さない為に謀反を起こして自分が悪名を被るという、一見矛盾した動機にも見えるがそこに至るまでの過程を通じて陶晴賢を作者独自の解釈で描いている。ま…た当時の領国経営の実態や家臣団との派閥争いなど合戦以外にも見所が多い。毛利元就との関係が変化していく様は時代の流れに適応する者とそうでない者の比較になっていたと思う。続きを読む
投稿日:2021.11.08
jerico
室町の名家大内氏の重臣でありながら、止むを得ず主家を裏切り戦国の表舞台に出るも、かつては盟友であった毛利元就によって儚い命を散らした陶晴賢。 主人であった大内義隆を討ちながらも、養子を立て大内の名の下…にいるという、下克上の悪名を背負う事を回避したいというスタンスの陶晴賢と、安芸の国人から這い上がってきた毛利元就とでは、根本的な覚悟が違ったということか。 しかし、クライマックスの厳島合戦が結構あっさりとしか描かれていなかったのが残念。続きを読む
投稿日:2020.05.07
Ryohei
このレビューはネタバレを含みます
大内家に忠誠を誓いながらも国を統治するために主を殺し、然るも大内という旧体制の中で西国支配、果ては天下を狙っていた陶晴賢。史実がどうあれ、勝手に抱いていた自分がのし上がるために礼を無視して上に立った男ではないということはよく分かった。そして、序盤からの毛利元就との太い絆がどう転じていくのが先をめくる手を進ませる大きなポイントだった。 最後にある通り、晴賢が大内に拘ったのは常に天下を見据えていたからかもしれない。旧体制を壊すのは簡単だが、全国という広い世界を収めるに「名」は何よりも大事だろう。事実、毛利は西国を手中に入れるに留まったのだし、愚かと悪名を残すとも評価に値するのではないかと思う。 作品に関しては、大寧寺の変が一番のピークで、最後の厳島合戦までは少し盛り上がりに欠けた感じがする。戦のシーンを描くのは少し下手なのか、地図がないからなのか、いまいち入り込めなかった部分がある。個人的には死に様が好きなので、宮川房長や弘中包隆の最期も描いて欲しかった。
投稿日:2019.11.16
DJ Charlie
<厳島の戦い>で毛利元就に敗れた陶晴賢(晴賢を名乗っていた時期は短く、長く「陶隆房」を名乗っていた)を主人公に据えた小説だ。 他所の勢力との戦や家中の抗争に臨む様子が描かれる。華々しい合戦の他方で、あ…らゆる手段、諜報合戦、謀略の応酬となる家中の抗争もなかなか凄い…そして盟友のように歩みながら、反目し、争うことになる毛利元就の視点で描かれる部分も在る。 主家を実質的に簒奪し、そして敗れ去ったことで「悪名」が残ったが、そこに至るまでに何が?なかなかに読み応えが在った。続きを読む
投稿日:2019.07.09
windfuku
中国地方の雄大内家(義隆)、の家老:陶隆房(晴賢)が尼子氏との戦いの中武勇を捨て遊楽に勤む姿を憂い、力を付けた盟友-毛利元就(外様)との内通で悪名覚悟で主の義隆を亡き者にして大友家に出した義隆の養子の…大友晴英を戻し担ぎ大内家の再興に努めるも当初お互いに認め合った毛利元就との考え方の違いから袂を分かち戦う。戦国時代西国の毛利元就の成上りを学べた子の戦略結婚での小早川、吉川との繋がり、家臣に福原貞俊が居た様だ。続きを読む
投稿日:2019.04.21
wisteria0609
陶晴賢、と毛利元就の小説と言った方が正確かもしれない。それぞれが求めたものが違った故に、途中から道が別れてしまった。それが必然だったのであろうが、やはり哀しかった。 歴史は勝者によって書かれる。敗者…は、ボロクソに書かれる。しかし、若くして万単位の用兵をなし、大内家を取り仕切った陶晴賢は、やはり凄かった。はずである。 もっと評価されるべき人物が、歴史の中に埋められてしまっている。再発掘し、再び日を当てることで、何か見えてくるものがあるのかもしれない。続きを読む
投稿日:2019.04.02
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