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若尾政希 / 岩波新書 (4件のレビュー)
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深川ふらふら遊覧記
単純な百姓一揆の解説書ではなく、近世日本の政治思想史の本です。「仁政イデオロギー」という概念をメインに据えて、江戸時代の政治思想を理解できるように叙述されています。今日の日本社会にまでつながる、テーマ…だと思えてきました。続きを読む
投稿日:2021.03.25
mizukyf
「一揆」の実態はどのようなものであったか、それは時代ごとにどのように異なっていたか、現代の私たちが思い描く「一揆」イメージだけでなく、「一揆」を語る史料の記述がどれくらいまで実態とかけ離れているか、そ…のズレがどのように生み出されてきたか。「一揆」という歴史学の概念の研究を通じて、科学的な概念がどれほどまでにフィクションの世界と地続きのものであり、学術的な努力の積み重ねが「場」の外の要因に左右されながらも、その概念の理解を徐々に正確なものとしていく様が示されている。科学の科学、知識社会学、科学哲学論の材料として読むと面白い。続きを読む
投稿日:2019.11.17
norinabe398
政治思想史家の若尾さんが百姓一揆というでかいタイトルで新書を出すという事で喜び勇んで買った。内容は、さすがに近世史の第一線のかたなだけあって序盤で上手に百姓一揆についての近年の研究の成果をまとめてくれ…ている。途中からは本人も言っているがおそらく『太平記』読みの時代的な(こちらは積読)話が中心になってきている。まあ、序盤とまとめだけでも、百姓一揆についてコンパクトに学びなおせたので良かったと思います。なお、思想史家だけあって、百姓一揆の事件というよりかはテクストとしての、または史料に描かれた百姓一揆像ないしは伝承されたことについて重きを置いている。最後の方で須田努氏の研究に触れられて、幕末期の悪党は、「顕彰」されなくなることへの「怖さ」というものには首肯できる。続きを読む
投稿日:2019.08.01
mokunokami
江戸時代の百姓一揆に体制変革の可能性を読み取る階級闘争史・人民闘争史的歴史像は、学界ではすでに過去のものとなっているが、一般通念においては依然として反体制武力蜂起と見做すイメージは根強い。本書はこの…40年ほどの百姓一揆研究の変容・転換の流れを整理し、改めて現在の研究水準に基づく新説を紹介しつつ(一揆は幕藩体制の維持を前提とした「仁政」を求める訴願である、「竹槍」や「筵旗」のイメージは近代の創作である、「義民」的な代表越訴型一揆は史料根拠がない)、表象としての「百姓一揆物語」の形成過程や伝播過程の分析を中心にして、一揆とその背後にある近世社会の深層に迫っている。百姓一揆の「語り」への『太平記』をはじめとする「軍書」の影響など非常に興味深い。続きを読む
投稿日:2019.03.17
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