【感想】新説 狼と香辛料 狼と羊皮紙IV

支倉凍砂, 文倉十 / 電撃文庫
(7件のレビュー)

総合評価:

平均 4.3
3
2
1
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0
  • かなり盛り上りました

    こう言っちゃなんですが、3巻までは局所の要素的には面白くても、各巻の主題となる事件とその顛末、そしてコルの役割が地味過ぎるようにも思えました。しかし4巻は違いました。いや、コルはやっぱり殆ど何もしていないのですが、それでもその場に居合わせ解決の楔となる必然性がありました。幾重にも絡み合った糸がスルスルと解かれて行く、狼と~シリーズの醍醐味とも言える快感がありました。非常に良かったです。ありがとうございました!続きを読む

    投稿日:2021.07.01

ブクログレビュー

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  • けんたいかん

    けんたいかん

    このレビューはネタバレを含みます

    大好きなキャラが出てくれたので楽しく読了。
    久々のエーブはよりカッコよさを増して登場。
    最高でしたねぇ。
    コルを捕まえて馬乗りになったところ良かったなぁ。躊躇いなくナイフ抜いたところとか痺れた。
    また出て欲しいと思いつつ、他のキャラもでてほしいと思いつつ。続き楽しみ

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    投稿日:2020.03.10

  • jube

    jube

    1、2巻がかなりあかんかったが、3巻から面白くなってきたなと思っていたら、この4巻。大変エンジョイした。個人的には、話だけではなくちょっとでもロレンス夫妻に登場してほしかったが、それは叶わず。コルとミューリのバランスもよくなってきて、良くも悪くも香辛料の香りが漂うが、吉本新喜劇みたいで大変安心安定の良さ。今回のシャロンなど、多くの人間でないキャラクターが出てくるのが大変好ましい。続きを読む

    投稿日:2019.05.15

  • hanemitsuru

    hanemitsuru

    前の巻から1年半も間隔が開いて、もしかして打ち切り?なんてちょっと心配になったシリーズ第4巻。作者が「狼と香辛料VR」を作っていたからだそうなので一安心です。作者のシリーズに対する熱意や思い入れは大事です。

    ていうか、帯に「コミカライズ始動」ってありますがマジですか。打ち切りどころではないじゃありませんか。もしかして再度アニメ化されたりして(さすがにないか)。楽しみにしておきます。

    待たされた分、貪るようにラストまで読み進みました。

    この巻で化けたのはコルです。
    ダメンズだったコル坊は成長しました。世界の3/4が見えていないことを正直に認め、恥ずかしい二つ名が一人歩きしていることすら利用しながらも、自分の正義は曲げないコルなりの強さをミューリにも、そしてエーブ・ボランおばさまにも見せ付けています。
    ボランおばさまに翻弄されつつ、その切り札を見破る鋭さは義父(候補)のロレンスに肩を並べることができたかもしれません。

    一方ミューリは、今回は荒事担当でした。
    照れてしまって「兄様」呼びを変えられないまま(母の「のう、ぬしよ」呼びはは偉大です。「ねえ、あなた」はミューリには20年早そうですし)、コルには見えない世界の残り3/4を見通し、兄さまの剣となり盾となって活躍します。
    …ただ、ミューリの可愛いところが今回少ないのです。ハイランドやらエーブ・ボランに焼き餅焼いているか、狼になっているかのどちらかです。1巻の頃の「銀色のモフモフが飛び跳ねている」ようなところをもっと増やして欲しいかな。

    そして今回のゲスト(ゲストなのかな?もしかしたら今後物語に深くかかわってきそうな感じもありますが…)、エーブ・ボラン。
    上のほうでおばさま呼ばわりをしてしまいましたが、もともと持っていた危うさはそのままに、金の力で妖艶さを加えて魅力に磨きをかけています。今回は、王を脅しつつ商人を取りまとめて全員で教会を裏切り、さらに取りまとめているはずの商人を裏切って切り捨てる算段までした上に裏切っているはずの教会の司教を脱出させる準備までしているという底知れなさは相変わらずです。

    今回あっさり青二才のコルに出し抜かれたのは、もしかしたら過去の思い出とコルが手元に欲しい思いが邪魔をしたのか、それとも意図的に手抜きをしたのかもしれません。金以外に信用できるものとしてコルを欲し、人ならざるものたちの真実を知る彼女は、今後もしコルたちが新大陸を目指す展開になるのであれば金主になるのかもしれません。

    さて、宗教改革の炎が上がり、コルの後ろ盾になっているハイランドの本拠地であるウインフィール王国。コルとミューリはいよいよその国の第二の都市に上陸しました。
    この後、王都で王に謁見することになれば、宗教改革に関する話はクライマックスを迎えることになるのでしょうけれど、第二の都市から王都までは(距離的には)目と鼻の先です。
    旅という視点からは、もう目的地に着いちゃった、あんまり旅してないなあ、呆気ないなあという感じがあります。
    今のところ「香辛料」シリーズと並行して4冊ずつ刊行されていますが、仮に同じ労力を「羊皮紙」だけを出すことに使っていれば今の2倍の8巻が出ている(乱暴な仮定ですが)勘定です。これは物語中盤としてふさわしい冊数のはずです。「香辛料」の8巻ではまさにそのボランと裏のかきあいと大立ち回りをやって盛り上がっていた頃。「羊皮紙」は半分のボリュームで同じところまで来ちゃったのかなと物足りなく思います。もう少し、いえ、もっともっと、旅を続けて欲しい。

    そして、気になるのが今後の展開です。
    新大陸と月を狩る熊の話が繰り返し出てきて、本当にミューリとコルの二人、もしかしたらホロとロレンスを含めた4人で新大陸に渡る展開があるかもと期待してしまっています。前にも書きましたが、プロテスタントの神父は結婚できるようなので、ミューリの懸念も解消します。
    そんな中、意外だったのは「月を狩る熊」の足跡が海底にあるという話。大きさやその強さなど、もしかしたら「熊」は何かの例えや象徴(未来の科学技術とか、環境の大変化とか)かもしれないと思っていたのですが、海底に足跡があるのであればやはり人ならざるものなんでしょうか。なぜ他の人ならざるものを滅ぼしたのか、新大陸に渡って何をしているのか、そしてそんなところまでこの物語が語り継がれるのか。

    ぜひ、次の巻は半年くらいのインターバルで出してください。お願いします。
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    投稿日:2019.04.10

  • Mu

    Mu

    いやあ、すごく良かった!
    シリーズ4作目にしてもっとも胸に来る面白さだった。

    コルとミューリの旅の4話目。
    本作ではあのエーブが登場する。
    前シリーズで何十人と登場した人物たちの中で、主人公たち以外で最も強烈な印象を残した人物。
    ロレンスと命を懸けたやり取りをしたある意味ライバルだ。
    帯の「神をも畏れぬ守銭奴」はまさに彼女のことを的確に言い表している。

    そして、そんなエーブとコルとのやり取りは、毎回ヒリヒリするような緊張感と一瞬先は奈落かもしれない恐れに満ちていて、毎回息が詰まった。
    いやこのやり取りこそ、前シリーズ含めこのシリーズの醍醐味だよ。
    けれどロレンスさえ手玉に取ったエーブにコルが普通の方法で勝てる訳がないのだ。
    金の為なら自分の命さえ掛ける商人の天秤をコルが動かすことなんてできはしない。
    そして追い詰められて追い詰められて負ける寸前での大逆転。
    コルは商人とは全く違う方法で傾く天秤の脇をすり抜けて見せた。
    いやあ、これだよ! うん、実にいい。
    ラストの希望に満ちた明るさが心地いいね。

    さて、なんだかここで一区切りでもよさそうな展開だけど、次はどんなお話が待っているのか、期待したい。
    そしてエーブのさらなる登場も期待したい。
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    投稿日:2019.04.03

  • よーぐる

    よーぐる

    面白かった。ミューリがどんどん可愛く賢くなっていくのが見ていて飽きない。相変わらず話の筋は簡単なことを難しく書いてるようで煙に巻かれている感じはちょっとするが、それでもどんどん先が気になってしまう。

    投稿日:2019.03.29

  • コノハ

    コノハ

    このレビューはネタバレを含みます

     舞台はウィンフィール王国の大都市ラウズボーン。
     教会(腐敗してるけど、万国共通の権威であり商人としてはメリットもある)・王国(商人が信頼を寄せるにはまだまだ頼りない。国際法も主権国家体制もありはしない)徴税人(商売の邪魔だけど、教会の腐敗を糺す存在かも、との期待もある)、これらをうまく操り利益を貪ろうとする商人が物語を引っ掻き回し、コルたちは翻弄される。

     いちいち言うまでもないが、腐敗した教会の〇〇をぶっ殺せ的な考えは広い視野で見たらまあそうあってほしいという物語であって、結局は長い歴史の中で成立した、ベストではないにせよ成り立っている制度だ。qwertyキーボードのような。
     そこに正しいキリスト教(キリスト教とは名言されていないが、宗教改革とか西方の新大陸とか、16世紀をイメージしているのは明らかだろう。ニーチェの引用とかあるし、あくまでファンタジーだけど)のあり方とは?と一石を投じ(てしまっ)たコル。それは教義に沿ったあり方を求めれば清いことなんだろうけど、教義に沿ったあり方が人間にとってタイヘンだから解釈を変更するなり抜け道作るなりして折り合いをつけてゆく、というのが従来の後ろ向きかつ現実的な解決手段だった。聖職者だってエッチなことはしたいわけで。
     そういった意味じゃ教義と人間の欲望が割とマッチしてる資本主義ってすごいなって思った。この物語では商人が滅茶苦茶強いけど、実際の16世紀には資本主義なんて言葉すらないわけで、実際のところ商人の力というのはどんなもんだったんだろう。経済史として調べてみるのも面白いかも(そもそもこの辺りの時代は知識がないし)。

     現実の世界史においては、宗教改革はここから17世紀まで血みどろの宗教戦争を巻き起こす。本作がライトノベルである以上、虐殺事件なんてそうは描かないだろうし、ウィンフィール王国が地理的にイギリスっぽいこと考えたら(国名はオーストリアっぽいけど)うまいこと平和裏にウィンフィール国教会ができあがったりして、しかもそれが商人も各国もうまくやっていける教義になって、良い感じに大陸側にも伝播していくみたいな超ハッピーエンドもあったりするのかな?なんて思ったんだけど、そんな歴史的大風呂敷を畳めるのはそれこそ神くらいだろう。

     全く関係ないが、3巻と4巻冒頭に出てきた羊の化身イレニア・ジゼルは、おっとり系ゆるふわショートボブで、しかも揺るぎなき強い心があって若干年上のお姉さん的なオーラも醸し出しており、とどめに数少ない挿絵も可愛くて非の打ちどころがなかった。
     西にあるという未知の大陸というのは現実でいうところのアメリカ大陸を意識しているのだろう。ラウズボーンという街の名前も、モデルは大航海時代に世界商業の中心だったリスボンだろうし。
     現実においては迷える子羊がコンキスタドールとなり、捉え方によっては歴史的な文化破壊行為及び大虐殺を行った。『狼と羊皮紙』の世界では彼女の「人ならざる者たちの国をつくる」という壮大な夢がどのように紡がれるのか。コルテスやピサロのような大虐殺を行い果ては悪名高き三角貿易に手を染めるイレニアも見たいし、平和な国を築き上げるイレニアも見たい。外伝か何かで読んでみたいなと思った。『羊と狼皮紙』とか。……本編より展開速そうだし。


    ……以下は残念に思ったこと。
     今回は、あんまりコルが良いところがない。というか、
    「よし、こうしよう。きっとうまくいくぞ」→「薄明の枢機卿さま、現実が見えておられない」→「そんな……」という展開が10回くらい延々と繰り返され、かなり苦痛だった。物語がさして前進するでもなし。論理で詰まったと思ったら力業、からの取って付けたような狼変化シーン。
     『狼と香辛料』時代でも確か4巻辺りは踊り場的な物語だったと記憶しているが、本シリーズでは1~3巻でアクセルを踏んでいるわけではない。次から面白くなると思って4巻まで読んできたが、そろそろしんどくなってきたというのが正直な感想なのだった。5巻も買うけど。

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    投稿日:2019.03.12

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