給食の歴史

藤原辰史 / 岩波新書
(12件のレビュー)

総合評価:

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  • 共立女子大学図書館

    共立女子大学図書館

    https://libopac.kyoritsu-wu.ac.jp/gate?module=search&path=detail.do&method=detail&bibId=1000103234&bsCls=0続きを読む

    投稿日:2020.08.27

  • aqua38

    aqua38

     日本の給食の歴史がよくまとまっている。

     給食は、教育政策、貧困政策、災害政策、健康政策、
    食料自給、地域の発展、地域の活性化と関連がある。
     新型コロナで突然休校になり、保護者や給食関連企業は困っている。
     給食は廃止して弁当にすればいいと思っていたが、安心でおいしい給食の提供を続けていくことの必要性を認識した。
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    投稿日:2020.03.13

  • わっさん

    わっさん

    ●→引用

    ●第三に、給食は食品関連企業の市場であること。1988年の段階で「給食は、人件費と食費をあわせて年間1兆400億円のお金の動く大事業」と述べている。ここには、アメリカを代表とする農業大国や、多くの食品産業、食品卸業、農家の利益が直接絡んでくる。調理器具も、食器も、冷凍食品も、小麦も、牛乳も、公的な給食は大企業に、場合によっては地域の小さな八百屋や魚屋や肉屋に支えられている。
    ●つまり、占領を円滑に進めるために、具体的には、日本で病気が蔓延して占領軍やスタッフの健康が脅かされず、占領軍の統治を安定させるために、日本の子どもたちへの給食計画を断行すべし、という意味である。すでに述べたように、食糧メーデーやデモなど餓えに苦しむ民衆の怒りは沸騰し、それをGHQは「暴動」と認定し、沈静化をはかった。共産党の勢力伸長にも警戒せねばならない。こういった給食の持つ治安維持の機能をGHQが考えていたことは、当時の日本の官僚たちはもちろん、従来の給食の研究でもあまり意識されてこなかったように思える。給食は、民衆の統治技法の観点からも有意義な政策であり、警察の任務とも近接する、すぐれて政治的課題なのである。
    ●占領後、MSA協定からPL480にいたるまでの日米外交は、給食の意味合いを大きく変えた。目の前の外貨獲得、経済復興、飢えからの解放という喫緊の課題の裏で、アメリカは日本を食糧輸出先としてお得意先にし、あわせて共産主義の防壁にしようとした。
    ●「この脱脂ミルク給食に反対する先生がクラス担任をおろされたり、左遷されたり、また学校給食栄養士さんが仕事からはずされたり、ビラマキのお母さんが警察にひぱられたり、改善のたたかいをおこしてみると脱脂ミルク給食の権力的性格も」明らかになった。また、「教育委員会や校長のなかには、教師をつかって学童に給食ミルクをのむよう強力な指導をしたところ」もあったが、「そのさい勤務評定体制が物をいった」。(略)もちろん、給食だけが「勤務評定」の対象ではなかったにせよ、これ以降、給食運動に関わろうとする教師は勤務評定を意識せずにはいられなくなる。
    ●一方で、独立後の日本は、対共産主義の防波堤として位置づけ直されることで、アメリカの置土産の代償を払い続けることになる。再軍備および給食とアメリカの余剰農作物の市場開拓はセットであった。
    ●ソフト麺は、正式には「ソフト・スパゲティ式麺」という。1965年頃から給食に使われだしている。硬質小麦の粉、つまり強力粉が使用され、ビタミンB1やB2が栄養素として添加されているものだった。パンだけではアメリカの余剰農作物は解消されなかったので、パン以外にソフト麺が登場した、という言い方もできる。
    ●だが、現在、子どもたちが給食で空腹を満たしている現状、民間業者に払われる委託料の値上がりに自治体が苦しんでいる現状、そして「子どもの貧困」が新自由主義の一つの帰結である現状を鑑みても、子どもの生命がかかっている部門だけにコスト削減一辺倒の給食改革は思慮不足・構想稚拙という批判は免れないだろう。
    ●そして、香川、木村双方とも、いまが飽食の時代であることを前提に考えていることに注目したい。貧困は、ずっと隠されていたのであり、その少なからぬ部分を給食が守ってきたという点を、香川さえ主張できていない。歴史を振り返れば、給食廃止や給食民営化によって何が真っ先に失われるか、明らかであろう。
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    投稿日:2020.02.22

  • 毛利タカモート

    毛利タカモート

     主に日本の学校給食を、その歴史を追いながらその役割と意義の変遷を追った一冊。黎明期における世界の給食との比較、給食の成長を支えた多くの人々の求めた理想と現実の乖離、戦後に子供たちを飢えから救う為にアメリカと共に進めた給食復興と善意の裏にあった冷徹な戦略・・・。
     給食とは学校で提供される昼食に留まらない、社会の鏡といえる一面を持っている事が丁寧に綴られている。栄養士諸兄にはぜひ読んでもらいたい。たとえ学校給食の現場で働いていなかったとしても。
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    投稿日:2020.01.30

  • shinjif

    shinjif

    「給食」というものが生まれた背景と、現代まで続いてきた中での変遷。

    日本でも戦前から給食はあった。農村地帯などで、貧困のため弁当を持たせてもらえない家庭の児童を救うためだ。

    それが敗戦後には全国規模で展開されることになる。そこには日本の食習慣を米食からパン食にシフトさせる事で、自国で余っている麦の売り先を確保しようとするアメリカの国家戦略も見え隠れする。

    またそもそも給食が導入される最初から、弁当は内容に家庭の事情による差が出て、児童自身が謂れのない恥ずかしさを感じてしまうのに比べて、給食は貧困家庭の児童が家庭事情の恥ずかしさから解放される事を目指しており、そのためにも無償支給を目指していた(無償支給は社会主義につながるというアメリカの方針に反対していた)という。

    そういうところから始まって、給食制度の普及、各学校で給食を調理する自校式と、別に設けられた給食センターで何校分もの給食を調理し配送するセンター方式などの変遷、米食の導入、果ては給食の献立を考え、調理を行う栄養士と教職員の対立の話まで、給食の歴史は様々な紆余曲折がある。

    今また経済的な理由などにより満足な食事が取れていない子どもの問題がクローズアップされてきている。給食を巡る問題は、根っこのところでは変わっていないという気がする。
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    投稿日:2019.05.05

  • 本江正茂

    本江正茂

    給食と……
    戦争
    災害
    貧困
    占領
    共産主義
    新自由主義
    スティグマ
    愛情
    既得権益
    マナー
    強制
    味覚の政治
    などなど、様々な日本の近代の問題があぶり出されてくる。壮大なパースペクティブと、身近な卓上の問題とか交錯する、社会史の好著。

    私は建築関係の仕事なので、校舎と給食という領域に、まだまだスペースがあるな、と感じた。

    すべての政治家と教育関係者が、共通理解の常識としておくべき内容。高校も無償化されたのだから、給食にすべきだと思うが、未だ中学さえすべては給食できていないという現実がある。
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    投稿日:2019.03.25

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