若返るクラゲ 老いないネズミ 老化する人間

ジョシュ・ミッテルドルフ, ドリオン・セーガン, 矢口誠 / 集英社インターナショナル
(6件のレビュー)

総合評価:

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  • ハイジ

    ハイジ


    人間はなぜ老いるのか?
    人間には傷を治す自己治癒力があるというのに…。

    今まで生きてきて当たり前に思っていたことが、人間以外の生物ではまるで異なるということをこの本で知ることに
    そういわれてみれば、不思議がいっぱい!

    理論生物学者であるものの、もともとは天文物理学者だったという変わった経歴を持つ著者
    また幼い頃から死に対する恐怖が異常に強く、様々なアンチエイジング法を実践してきた健康オタクでもある

    そもそも「老化」とは…
    老化は進化によって遺伝子にプログラムされている
    次の世代が成長する場所を確保するための、自然選択による適応である
    老化によって、コミュニティーが民主化し、多様性と回復力を維持する
    老化は何か1つの手が極端に成長することを防ぎ、生態系を安定させる
    (なるほど 一見非常に大げさに感じるが、確かにその通りだ!)
    自己修復ができるのは生物のみ
    無生物はできない
    (だが、老化するんだなぁ…うーむ)


    ■老化のさまざま
    (興味深かったものを抜粋)

    【ロブスター・ハマグリ】
    現在では高級料理であるロブスター
    以前は豊富に獲れたため、刑務所食にまでなったが、囚人がストライキを起こすほど、有り余っていた
    ロブスターは大きくなればなるほど生殖能力が増す上に、そうした親から生まれてくる子供は生存力が高い

    507歳の高齢ハマグリが発見されている(貝類は年輪みたいなものがある)
    小さなハマグリには、敵がたくさんいるが大きくなってしまえば、無敵になり無限に成長していくことができる
    そんな巨大なハマグリは1日に5億個の卵を出産する

    【蜂】
    女王蜂と働き蜂は同じ遺伝子を持っているが寿命は全く違う
    女王蜂の場合ローヤルゼリーが老化のスイッチを切る
    ローヤルゼリーは女王蜂に過剰なまでに発達した生殖巣を与える
    女王は生涯の最初の段階で一回だけ飛翔する
    10匹以上のオス蜂と生殖活動を行いその後の何年分もの精子を蓄える
    卵をはらんで体重が増えると女王蜂が重すぎて飛べなくなる
    成熟した女王は生殖マシンと化し、1日に約2000個と言うケタ外れのペースで卵を産んでいく
    もちろん体が重くなった女王蜂が動けないので、働きバチが女王蜂の世話をすることになる
    女王蜂は巣が健康的で安定してる場合には何十年も生きる時さえある
    女王が死ぬのは一生の時に受け取った精子の蓄えが尽きた時である
    精子が尽きても女王は卵を産み続けるが、受精していないので、針のない雄蜂にしかならない
    すると今まで献身的に女王に尽くしていた働き手たちが枯渇した女王を暗殺するのだ(きゃあー)

    (野生の動植物の老化のバリエーション豊かなこと!人間とは違い加齢とともに生殖能力が上昇していくものがあることに驚いた)


    ■動物は困難に直面すると寿命が伸びる
    重労働、極度の暑さや寒さ、微量の毒、さらには放射線にも寿命伸ばす効果がある
    外部から何の攻撃もない時、生体防御は落ちる
    侵入してくる細菌がいないと免疫システムは休暇を取り、仕事がないと筋肉を衰える
    生物はストレスを受けると寿命が伸び、老化が抑制され、体がより強くなるようにプログラムされている(ストレスフリーもよくなさそう 動物の生態は面白い)


    ■動物があえて老化を獲得するように進化してきたのは何故か
    集団があまりにも急速に繁殖し、一気に衰えて絶滅の危機を迎えないようにするためだと言う
    老化には、周囲の状況が良い時と悪い時の死亡率を平均化する効果があり、生態系の安定を可能にする
    老化が進化したのは、歳をとらない動物の集団は大きくなりすぎて食料不足に陥り、そのまま絶滅してしまう傾向があるからだ
    (こんなことがDNAにインプットされて子孫に伝達されるのか⁉︎凄いな)


    ■長生きするには
    そもそも「老化」は進化のプログラムの欠陥ではなく、自然に正しく選択された設計特性である
    そのため老化はごく深い意味において自然なものであり遺伝子に組み込まれたもの
    つまり自然食や天然のハーブ、自然療法などは老化を防ぐとは思えない
    自然療法は、体が自分自身を破壊する手助けをすることになる(この本で一番衝撃的な内容であった!)

    ・カロリー制限
    よく運動をし、食事量を減らすと、脂肪が分解されて糖になり、その糖が血中に放出され筋肉にエネルギーを与える
    この、インスリン状態が「今は生殖活動に不向きな状況だから、老化のスピード落とせ」
    と体に告げ飢饉が終わった時に生殖が行えるように体力と若さを保つ
    (面白いことに食物の匂いをかいだだけでも、カロリー制限の効果が損なわれてしまうらしい
    さらには食べ物を見たり、なんと頭に思い浮かべただけでも血中のインスリン値が上昇するらしい 飲食店で働く人はリスクがあるのかもしれない)

    ・運動
    活発に動きワークアウトをし、ひたすら体を動かし続ける
    自分のスケジュールにも運動を組み込もう
    車で通勤する自転車で通勤する、エレベータの代わりに階段を使うなど工夫を凝らしてみる
    運動量が多ければ多いほど良い
    運動が健康にもたらす効果は広く深い
    運動は気分を高めるための最高の手段であり、何年続けても効果の低下しない唯一の鬱対策である
    運動はエンドルフィン(体内性モルヒネ 鎮痛作用がある)の分泌を促す(凄いじゃないか)
    短期的には病気への抵抗力を改善し、長期的には寿命を延ばす
    マウスの実験においては、半分飢えたまま運動用の踏みが山で1日中走っているマウス1番長生きをする(かわいそうだけど…)
    他にもヨガは呼吸をコントロールできるばかりか、脈拍数や体温や代謝など西洋医学では意識的なコントロールは不可能とされている間でコントロールできるようになると言う(片岡鶴太郎もこのレベルなのかな)
    心拍数が最大になるようなワークアウトを4分間やる方がジョギングを1時間するよりも心臓血管の拡張に効果がある(ジョギング1時間も相当キツイですけど)
    午後に景気づけのアルコールを飲むのはコーヒーを1杯飲むより体に良い(本当⁉︎景気づけってどんな量かしらん?)
    激しい運動は体に良いホルモンをたくさん分泌するとのこと
    血圧、インスリン感受性、筋肉量、肺活量、心拍数…
    こうしたすべての基準において激しい運動が1番効果的であるようだ(これは何となくわかる気がする 人って順応性が良くも悪くもあるから体が慣れてしまう トレーニングは筋肉痛になることを目指すようにしている)
    人間にとって運動は絶食に次いで2番目に体に毒なのである(笑)
    他にもサプリメント、ホルモン(メラトニン)、処方薬等の紹介がある(この辺りは怖いのでパス)


    ■矛盾した人間の老化

    ・自然選択は私たち人間の遺伝子に「死のプログラム」を巧みに組み込んだ
    寿命に限りがないと、増大する人口を維持できず、生態系の崩壊を招き、絶滅に至る危険があるからだ

    ・いくらかの理解と創意工夫があれば、頭の良い人類は自然界の「死のプログラム」を打ち負かし、より長く健康的な人生を手に入れることができる

    この2つ全く正反対のことを言っている
    私たちが子孫たちの限りあるエデンの園に70歳の寿命を超えてまで長居しようとするのは果たして正しいことなのか


    様々な方向から過去の事例や実験を上げ、一つ一つ検証していく丁寧なスタイルの文献だが、その割に非常に読みやすく書かれている
    図書館で借りたため、返却期間という期限があり、駆け足で読んだため、理解し切れていない部分も…
    しかしながら生物の神秘に改めて感心
    また別の本でも生物学の知識を増やしていきたい
    続きを読む

    投稿日:2020.11.17

  • 10roro

    10roro

    人間をはじめ老化していく生物、老化しない生物、老化どころか死をむかえる前に若返る生物の話はとても興味深いです。
    老いることはなぜ遺伝子にプログラムされているのか。老化を排除することは可能なのか。

    投稿日:2020.09.11

  • 鴨田

    鴨田

    ドーキンスの「利己的な遺伝子」では説明がつきにくい「集団のための自殺」コードについての解説。
    有性生殖という生き残り戦略は種(交配を継続できる程度の遺伝子の近さ)という括りを前提としている以上、種の絶滅を回避するための老化プログラムが埋め込まれているのは、ネオダーウィニズムの科学者が毛嫌いするほど変な話では無く、腹落ちした。続きを読む

    投稿日:2020.07.24

  • pokari

    pokari

    すごく興味深くて面白いけど、言ってることが難しくて私の脳では処理落ちしてしまうのが残念。10行読んで眠くなる、続き覚えてないので同じところを何度も読み返す。
    とりあえずビタミンD買っちゃったよ。

    投稿日:2020.02.11

  • kazzu008

    kazzu008

    まさに目からウロコが落ちる話ばかり。
    結論的に言うと、生物の寿命と老化現象というのは未だ未解明の部分が多い。そもそも、生物の細胞は自己修復と複製を繰り返すことにより新しくなり新たな細胞に生まれ変わる。このシステムが壊れなければ老化をするはずがない。(植物は老化せず、何百年も生きる樹木があることは誰でも知っている)しかし、実際はそうではない。
    著者は、「生物の寿命は、個体によるのではなく、種族全体、ひいては生態系全体を守る為に遺伝子により決まっている」と主張する。
    例えば、牧草とウサギとキツネの関係を考えてみると、ウサギの寿命が高すぎれば、ウサギの数が多くなり、ウサギの住んでいる場所の牧草を食べ尽くしてしまい、結論としてウサギの群れ全体が絶滅してしまう。そしてウサギを食べるキツネも絶滅する。ウサギの種族は種族全体を守る為に寿命を短く設定し、種族全体を守っている。そしてキツネもウサギを食べ尽くさないようキツネの個体数が寿命により調整されている。そして老化はなぜ起こるかというと、老化し、逃げ足の遅くなったウサギをあえてキツネに食べさせることにより、繁殖が可能な若いウサギを守っているのである。
    さらに、遺伝子はすごい仕組みが隠されている。
    生物は飢餓状態や高ストレス状態にさらされた時の方が、長生きする。これはどの生物の実験によっても明らかになっている。
    著者は、この仕組みを「通常の環境では、体はできる限り長生きしようとはしていないのだ。おそらく自然は、平和時には死亡率を高くして、ストレスのある状況では死亡率を低めたいのである」と論じている。つまり、環境が良く、食べ物も豊富な時は、何もしなくても生物は増えていってしまうので、それを調節するために老化を促進し、寿命を短くする。そして、環境が激変し、食料の無いような状況では生物はバタバタと勝手に死ぬので、種族の絶滅を防ぐために老化現象を発現させず、寿命を高めるのである。
    これらの理論を踏まえて、本書では人間の老化を防ぎ、寿命を伸ばすには、遺伝子に、「今は飢餓状態に近いので老化現象を発現させなくてよい」と誤解させればいいのだと説いている。
    筆者は、化学技術、機械技術等の進歩により、「将来、人間は老化、寿命を克服し、1000年生きる時代がくる」と予言している。そうなった時、地球が将来、何百億、何千億に増えるであろう死なない人間を抱えたままで、今の地球環境をどう保つかが問題となることも論じている。
    筆者は、老化現象を抑えるため週に1度絶食をしていて、極めて健康だそうだ。本書には老化現象を抑えるサプリメントから食事の取り方まで、詳細に記載されている。1000年生きることを目標にしたいと思っている人はもちろん、思ってない人も是非読んでほしい一冊。
    続きを読む

    投稿日:2019.02.15

  • jube

    jube

    "CRACKING THE AGING CODE" Josh Mitterldorf & Dorion Sagan
    The New Science of Growing Old - And What It Means for Staying Young
    いろんな意味でとても面白かった。出版されているのが2016年なのでリサーチ的に超ナウとは言えないが、一般書的にはかなり新しい内容。著者の専門は宇宙物理学、Plasma physicsだそうで、幼少時のトラウマでタナトフォビアが高じて、宇宙にまで逃避したあげくに、最終的に死と向き合うことになり、老化をいかにしてやっつけるか、ときて、アンチエイジング沼にはまった人。老化の暗号を解読することに心血を注いでいるようで、その注ぎ具合が非常に面白い。ありとあらゆることを実践もしているようで、文章の端々にがんばる様子がうかがえる。超大真面目。現在の日本の人口比や、リテラリーに成人になる年齢が引き上げられつつあるのとか、ま、色々とそういうことやろなぁ、、と推測していたのをある程度科学的なデータに基づいて説明してくれるので、スッキリする。が、私自身これを読んで、断食するか?ビタミンD飲むか?と言われたら、そんなことはしない。そして、常用している抗炎症剤が寿命を延ばすのに良いらしいと言われると、途端に胡散臭く感じるのはなぜか。自分自身の老化をこんだけ説明されると非常におもろい。ホモ・デウスとかと似たような面白さ。そして、邦題がうまい、良い煽りだとおもう。原題は暗号解読本みたいなちょっと古くっさいタイトル
    続きを読む

    投稿日:2019.01.25

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