【感想】カムパネルラ

山田正紀 / 創元SF文庫
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
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3
6
1
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ブクログレビュー

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  • ryokutya87

    ryokutya87

    銀河鉄道の夜をモチーフにしているからまだなんとか読み進められるけれど、そうでなければどうにもこうにも話がわかりづらすぎて、またつまらなすぎてたまらない。シュミレーション世界とかメディア管とか、いったいそれが何だっていうの?自己犠牲的な教育が目的だったら題材はグスコーブドリの伝記のほうが良かったのでは?
    頭の悪い僕にはただの支離滅裂な妄想小説にしか感じられなかった。

    *ああ、なるほど、私家版=第四次改稿=僕らが読んだ銀河鉄道なのだな。これは自分の中のカムパネルラを救い出す物語なのか。そう理解すると著者の想いは伝わってくる気はする。
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    投稿日:2023.04.04

  • AZUR

    AZUR

    「銀河鉄道の夜」をモチーフにしているが、ファンタジーとはちょっと違う。これ以上何か書くと、全てネタバレになりそうなので控える。
    読み始め混乱すると思うが、読み終わったら、混乱した方が良かったと思った。
    「どういうこと?!」と、混乱しながら読み進めることをお薦めします。
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    投稿日:2023.04.02

  • あきら

    あきら

    初山田。途中まで実在した人物"宮沢賢治"とその著作『銀河鉄道の夜』がベースの歴史改変ものかとワクワクで読んでいたんだけど…なんて恐ろしい作品だったんだ、と仰天!?これは予想出来なかった…。

    投稿日:2023.02.05

  • 橘

    このレビューはネタバレを含みます

    「カムパネルラ、僕たち一緒に行かうねえ」。銀河鉄道にふたり一緒に乗ればいずれどちらかが降りなくてはならなくなるから、『銀河鉄道の夜』ではジョバンニが先に列車を降りたけれど、ふたりは一緒にどこまでも行けたのでは。そんなラストでした。
    メディア管理庁の言論統制と物語を使った啓蒙、物語の世界を仮想現実で創り出して人をアクセスさせて矯正・洗脳という派手なのはまだ無いだけで、これに近い「テキストを望んだ通りに“しか”読ませない」は既にあると思います。必ずしも作者の望んだ通りではないところもよくある…。
    ジョバンニの味方は校倉さんだけ…鳥採りの彼も、この世界で必要な概念なんだろな。カムパネルラが概念だったように。
    「銀河鉄道の夜」は既読ですが「風の又三郎」は未読なので、又三郎がどんなキャラなのかがわからずこの作品の又三郎の好戦的さがいまいちピンときませんでした。宮沢賢治作品には「毒もみの好きな署長さん」とかあるので、美しさか弱さ儚さだけではないのもわかります。
    永久物語運動体。物語が永遠に未完成ならばどんな読み方も出来るし、何度でも楽しめる。それで良いんじゃないかという狭い感想に辿り着きました。

    偶然にも仮想現実ものがちょっと続きました。それもまた良き。

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    投稿日:2022.12.23

  • まこと

    まこと

    レビューを拝見して、知った本です。ありがとうございます。
    こういう小説を、ディストピア小説と呼ぶのは、他の方のレビューで初めて知りました。

    SF世界になんとか入りこむことはできたのですが、正直、意味がよくわからなかったです。面白くなかったわけではありません。

    16歳の主人公のぼくの母親は、宮澤賢治の研究者で、メディ研に、追われています。
    「死んだら遺骨を花巻の豊沢川に撒いてほしい」と言い残して亡くなります。
    ぼくは、花巻へと向かいますが、途中でタイムスリップして銀河鉄道に乗っていて、髪の毛が黄色いことから「ジョバンニ」と呼ばれます。
    ぼくはその日が昭和8年9月19日火曜日で、9月21日の賢治の命日の2日前であることに気が付き、賢治が死ななくてすむように歴史を変えようと思い、宮澤賢治邸へ向かいますが、賢治はすでに亡くなっていて、「賢治の6回忌をやるところだ」と聞き驚きます。
    そして、賢治より先に亡くなったはずの妹のトシが生きていて、さらに驚きます。
    そして、そこでトシの娘の宮澤さそりに出会います。

    また、ぼくの最初にいた世界はおそらく近未来で、メディア管理庁が、少年少女に10歳で『ピノキオの冒険』を16歳で『銀河鉄道の夜』をシステム体験するのを義務付けている世界です。
    そして『銀河鉄道の夜』を何度も彼らの都合のよいように改稿させています。
    そのための駒として、ぼくはジョバンニと呼ばれ、事件の渦中に巻き込まれていきます。

    宮澤賢治は、私も好きな作家であり、好きな詩人だと思っていたのですが、私の家の本棚で積読率が高く、今さらながら『銀河鉄道の夜』さえもちゃんと読んでいないので、積読中の新版と旧版の(2冊もあるんです)新潮文庫の80ページの作品。これをまず読んで賢治が本当に書いた、真の『銀河鉄道の夜』を知りたいと思っています。
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    投稿日:2020.04.10

  • 沙都

    沙都

    銀河鉄道の夜をこじらせた小説、とでも言えばいいのかな。ともかく、どこに連れて行かれるか分からない展開にアップアップしながらも、何とか読み終えることができました。

    この「どこに連れて行かれるか分からない」というのは、単に先の読めない展開、というわけではありません。自分の場合は中盤まで、物語の目的も、そもそもジャンルや世界観も曖昧なまま、読み進めていました。

    まず出だしで管理社会を思わせる思想統制の組織が登場し、ディストピア系の作品かと思ったら、場面が変わり、昭和8年宮沢賢治が亡くなる2日前の岩手県花巻へ主人公が移動します。

    じゃあ、時間改編のSFか、と思ったら、史実と違い賢治はすでに死亡し、逆に早世した賢治の妹が主人公を迎える。さらに主人公は「ジョバンニ」と呼ばれ、この世界にはカムパネムラや風の又三郎といった賢治作品の登場人物が実際に存在していることも示唆されます。

    ということは、パラレルワールドや時空間が分岐した世界観か、と思いきや物語はさらに奇怪な方向へ舵を切り……、というふうに、展開が読めない以前に、そもそも物語の向かうべき方向すらも分からない展開が続きます。

    それが明らかになってからの中盤以降の展開もまあスゴい……。SFというジャンルだからこそギリギリ通用する世界観。ここまで想像力(妄想力?)を働かせる著者にはある意味脱帽です。

    とまあ、こう書くとふざけた小説なのか、と思われるかもしれませんが、話のテーマ自体はなかなかにシリアス。銀河鉄道の夜をめぐっての物語は、小説をどう読み解釈するかの問題を突きつけ、またその解釈が時によって、権力の都合のいいように操られることも示唆します。

    銀河鉄道の夜は宮沢賢治が亡くなる直前まで改稿され、そして最終的には未定稿のまま世に発表されました。この小説の中でも触れられていますが、特に第三次改稿と第四次改稿とでは、内容に大きな修正が加えられています。その理由を推理する文学ミステリとでもいうべき側面もこの作品はあるのですが、著者の山田正紀さんはそれをさらに発展させ、SF的モチーフを加えることで、物語と思想が単純に結びつけられることの危険性までも、描いたように思います。

    本や物語は著者から読者へ向けた一方的なテキストではない、という考え方があります。本や物語は読者がいて、その読者が何らかの解釈をすることで、意味を持つという考え方です。

    銀河鉄道の夜は改稿の謎、そして未定稿のため説明されない様々な謎が物語の中に残っています。そしてそれは、今なお様々な感想や解釈を研究者はもちろん、一般の読者にも迫ります。銀河鉄道の夜の物語が人々を引きつけるのは、描写や文章の美しさのみならず、そうした謎を抱え、様々な読み方を無意識的に読者に提供しているからかもしれません。

    そんな銀河鉄道の夜をモチーフに書かれたこの小説は、本や物語を好きなように解釈し、そして楽しむための自由をめぐる戦いの話でもあり、その自由を守るための話だったのかなと思います。

    かなりクセのある作品だったとは思うのですが、本や物語愛に溢れた小説だったように自分は解釈しました。
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    投稿日:2020.01.15

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