【感想】悪意

ホーカン・ネッセル, 久山葉子 / 東京創元社
(10件のレビュー)

総合評価:

平均 3.2
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ブクログレビュー

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  • bukurose

    bukurose

    「トム」
    22年前に不明になった義理の息子トムから電話がかかってきた。しかしありえない話。実は・・ と驚愕の打ち明けがあり、ああこれで終わりか、と思いきや終わりではなく、実は・・ 実は・・ とどんでん返しが続く。最後の実は・・ がいちばんぞっとするだろう。読後はヘヴィーだな。

    ホーカン・ネッセル:1950- スウェーデン生まれ。


    「トム」
    「レイン ある作家の死」
    「親愛なるアグネスへ」
    「サマリアのタンポポ」
    「その件についてのすべての情報」

    2018発表 スウェーデン
    2019.2.22初版 図書館
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    投稿日:2023.06.12

  • 黒い☆安息日

    黒い☆安息日

    このレビューはネタバレを含みます

    スウェーデンを代表するミステリー作家らしいが、日本での翻訳はこれが2冊目。シリーズ物も本国では有名らしいが、これは独立短編集、5編収録。

    どれも秀逸なミステリーで、読ませるなぁという感じ。「レイン」が若干毛色が違って幻想っぽい雰囲気漂わせている…と思ったら、この作品だけ発表されたのがちょっと古いみたい。

    冒頭の「トム」と「親愛なるアグネスへ」、「サマリアのタンポポ」が好みだった。どれも表題の通り人の悪意がにじみ出るミステリーで、なんなく湊かなえ作品を思い出す雰囲気が良かった。北国には凍てつくような人の悪意が良く似合うのかな…。

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    投稿日:2021.07.05

  • Konstanze

    Konstanze

    なぜ今まで読まなかったのか自分でも謎だが、結果、実によい時に読めたと思う。
    『殺人者の手記』から、あまり間を置かなかったのだ。
    おかげで面白い発見があった。

    1番気に入ったのは、『レイン』だ。
    幻想的な空気をまとった、ミステリーとでも言おうか。
    するーっと読むことができず、時間がかかったからである。

    主人公は"わたし"なる翻訳者である。
    作家レインゆかりの街A――ヨーロッパのどこかの街に、半年留まることになった。
    ここで、彼の遺作の翻訳をするのである。
    そして、Aの街には、"わたし"自身の大事な用件もある。

    この語り手"わたし"が不親切なのだ。
    自分が今述べているのが、レインの遺作の翻訳文なのか、現在の"わたし"の行動なのか、過去の"わたし"の行動なのか、
    いつのどこのどんな出来事なのか、明らかにしようとしない。
    件の遺作の作風が『重々しく謎めいた文章』だというので(113頁下段)、それに呑まれてしまったのかもしれない。
    "わたし"の語りは、時、所、過去、現在、文章が、すべて境目なくなめらかに繋がっている。

    彼女? 彼女ってどの彼女?
    愛した? 誰が誰を?
    訪れた? いつだれがだれとどこに?
    この名前は――猫! 猫といるのは現在の"わたし"!

    よく読めば、わかるようになってはいるのだ。
    これを見つけて読み解くのが、難度の高いパズルのようで面白い。
    気を抜けば、靄の街に放り出されてしまうのだが。

    『トム』(2018)
    『レイン ある作家の死』(1996)
    『親愛なるアグネスへ』(2002)
    『サマリアのタンポポ』(2005)
    『その件についてのすべての情報』(2005)

    収められているのは、5編の物語である。
    どれが好きか、どんな印象をもったかで、誰もが熱をもって話したくなるだろう。
    現に、レビューサイトを見れば、皆がそれぞれに気に入った作品について語っている。
    読書会ならば、さらに盛り上がるに違いない。

    『殺人者の手記』から間もなく読んだので気付けたのは、『親愛なるアグネスへ』にも、同じ詩人の名が出てくることだ。

    ミハイル・バリン――その作品は『偉大なポエム』だ。(『殺人者~』上287頁)

    しかし私には未知の詩人だ。
    その名を調べようとしたが、どこを探しても見つからない。
    スウェーデンでは有名なのだろうか。
    あるいはホーカン・ネッセルの頭の中で?

    私はこれからホーカン・ネッセルの新たな本を読むたびに期待するだろう。
    ミハイル・バリンの名と、そのけったいな詩の登場をだ。
    なにせ彼の偉大な詩は、ホーカン・ネッセルの作品でしか読むことができないのだ。

    ひとりの作家の作品を読んでいくと、彼/彼女特有のなにかを見出すことがある。
    象徴的な存在かもしれない、遊び心かもしれない、全作品に通ずるメインテーマかもしれない。
    それを発見するのは、読書というものの大きな楽しみのひとつだ。
    そして、その楽しみを拡げるためには、さらに多くのホーカン・ネッセルの作品を読む必要がある。
    というわけで、このスウェーデンの大ベストセラー作家の作品が、次々と翻訳されることを望んでいる。

    2021年5月現在、この『悪意』は、在庫僅少となっているらしい。
    Amazonでは、古本と電子書籍のみとなっている。
    楽天ブックス、hontoには、在庫がある。
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    投稿日:2021.05.06

  • saigehan

    saigehan

    なんだかやっぱりスウェーデン作家とは相性が悪いな。中長編がいくつか。どれも映像化を見越したような脚本っぽい雰囲気はなんだろう。役者の染み出る人間臭さを動力としてカウントして書いてる風なんだよな。文章量に対して中身が伴ってない。三個めの「親愛なるアグネス」が感想書きやすい。元親友の往復書簡にて、夫の殺害依頼が行われる。久々に葬儀で会って、喪主である親友に話し掛けないで、のちに、手紙のやり取り始まるが、もうその時点で「利用してやる」感がすごいだろ。ちょっとこの作家は読者を甘くみてる気がする。続きを読む

    投稿日:2020.12.26

  • jessica

    jessica

    本のあらすじ
    デュ・モーリアの騙りの妙、シーラッハの奥深さ、ディーヴァーのどんでん返し。幾重にも巡らされた罠、心の深層に迫る傑作短編集。


    強いて言えば、何気ない日常に、突然ぞっとした気分になる恐怖。あるポイントで突然、ゾッとした怖さに陥る感じ。
    拭い去れない恐怖の鋭利。
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    投稿日:2020.05.22

  • toro

    toro

    自然死以外の死というのは周りの人にも、勿論それを引き起こした本人にもずっとついてまわるっていう話。

    短編集。

    推理小説的だけど、文章が上手くて「親愛なるアグネスへ」と「サマリアのタンポポ」の二作が特に、文学作品としても充分面白かった。
    続きを読む

    投稿日:2020.05.19

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