【感想】働く女子と罪悪感 「こうあるべき」から離れたら、もっと仕事は楽しくなる

浜田敬子 / 集英社ノンフィクション
(16件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
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ブクログレビュー

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  • すかすか

    すかすか

    浜田さん、すごい働くなー。この世代の方々が生き抜いて、切り拓いてくれたからこそ、今の世代の女性がゆるく働けるんだと思う。浜田さんも内心、若い世代のぬるい働き方にイラッとされることもあるようだけど、それを押し付けず、新しい働き方や業務の進め方、設計に取り組まれようとされてきたことが尊敬できるなと思った。

    また、個人の正義と、「会社というモンスター」の正義の違いに、中間管理職が狭間で悩まされるということは今の自分の悩み、葛藤にもフィットした。組織/ビジネスとして目指すことが、いつも個人一人一人の希望とフィットはしない。自分なら、自分を押し殺して踏み絵を踏むのか?そもそも踏み絵を踏んでまで、仕事、組織を通じて成し遂げたいことってなんだっけ?今の組織で同じように板挟みにあっていたので、そう考えた。
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    投稿日:2023.08.11

  • 1774636番目の読書家

    1774636番目の読書家

    今の世代のワーママの役に立つライフハック的なことを期待していたため評価は低め。ただ一人の働く女子のモデルケースとして参考になった。

    投稿日:2022.09.02

  • mishuranman

    mishuranman

    このレビューはネタバレを含みます

    読んでいていちいちしみじみ堪える。つらかったんだなあ、わたし。できなかったことの山が見えてしんどい。

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    投稿日:2022.07.13

  • Karen✲*゚

    Karen✲*゚

    このレビューはネタバレを含みます

    男女雇用機会均等法ができてすぐの時代を生きてきた著者が語る、彼女のキャリアの作り方、まだまだ男性主導の社会に対する意識の差。赤裸々に書かれていて面白かったが、本人の体験談が多めで、「働く女子」と銘打つには考察は少なめ?(主語が大きい?)という印象を受けた。

    p.28 私が編集部でよく言っていたのは、「半歩先の空気を読んで」と言うことだった。一歩先では早すぎて、企画を作っても空振りする。 “半歩先”と言うのは、読者の心の中、潜在意識をとしてはあるけれど、それがうまく可視化されていない、言語化できていない状態だ。それが他のメディアよりも早く企画として出せた場合、「あ、こういうことってあるよね」「なんとなく感じで感じていた事はこういうことだったんだ」と読者が腹落ちし、共感し、ときには怒ったり、神経を逆なでされたりして感情が揺さぶられ、「読んでみよう」と思ってくれる。そう確信していた。逆に言えば、そこまで感情が揺さぶられないと、無料のニュースや情報が溢れる中で、わざわざお金を出して書店やコンビニ行って買ってくれるところが買ってくれることが難しい時代になっていると思っていた。この特集の「切り口」、ここにその後の売り上げの全てがかかっていると言ってもよかった。

    p.31 個人的には2013年に、スマホの普及と首都圏の地下鉄でネットが通じるようになったことが、紙媒体にとって大きな転換になったと思っている。それまでそれでもちらほら電車内で見かけていた新聞や漫画、週刊誌を広げていた人が一気にいなくなった。ネットが通じなかったから、紙を読むしかなかった空間にもネット情報は容赦なく入り込んできた。私たち紙の雑誌の競合は他のニュース週刊誌だったのが、Yahoo!ニュースやスマートニュースだけでなく、YouTubeやTwitter、Facebookになったのだ。1人の読者の時間を限られる。よっぽどその人にとって必要で読みたいものでないと買ってもらえない。そのためには保存しておきたい、立ち読みだけでは済まされない、と思われるほど1つのテーマでボリュームと深さを追求しなくては。これが大特集主義に舵を切った理由だった。

    p.80 喉元過ぎれば体制側
    … 当直の記者がいるのに、「1年生だから」と言う理由で朝7時台から深夜の1時半までの警戒電話をするとしたら、何のための泊まり勤務なんだろう。当時、私もうっすら疑問に感じていたことを、彼は堂々と主張した。1年生だから、一番下だから。ただそれだけの理由で課される「下積み」業務は他にもあり、あまりに重かった。自分自身が辛い1年目を過ごしたのに、2年目になって少し楽になっていた私は、「そのことをそんなことを言っても新聞社はそういう仕組みだから」と、自分からその仕組みや体制を変えようとする彼に同調しなかった。自分が体験して嫌だったこと、辛かったこと は多々あるのに、そしてそのことにあまりに正当な理由があるとも思えないのに、時を経て慣れてしまうと辛さを忘れ体制側に同調してしまい改革をしようとする気がなくなる。 は、多くの日本企業が陥っていることではないだろうか。明らかに「おかしい」と当事者の時に感じていても、喉元過ぎれば忘れてしまう。もっと言えば、「自分だってその時期を乗り越えたんだから、後輩や新入社員も乗り越えるべき」。その意識が、職場にある様々な問題を放置して、組織が硬直化させていたきたのだと思う。

    p.90 アエラ時代、「女性初」と言う肩書きのついた女性たちを取材してきたが、何人かからは「自分は女性だと思って働いてきた事は無い」と言われ、「女性」 と言うカテゴリーで語られるのをことさら嫌悪されることがあった。一方で「自身が女性として苦労してきたことを後輩に味わわせたくない」と喜んで話してくれる人たちもいる。前者は、もしかしたら本当に「女性」であると言うことを意識せずに済んだかもしれないが、その人たちの業界を考えると、とてもそうとは思えないケースもある。まだ過剰に男性に“同化”しているか、想いよ“封印“閉じるしているか。いや、その1つは、はっきりと分かれていると言うよりは、それぞれの人の中で、2つの思いが交差していて、私も含め、彼女たち はその間で揺れ 続けてきたのではないかと思っている。私も「女性×働く」でこのように働けるようになるまで20年以上かかった私自身も「女性初の編集長と言う肩書きに戸惑い、なかなか自分から「女性初です」と無邪気に言えなかった。それは女性ということで不安に思い、悩み、悔しい思いをした一方で、女性だからできた、もっと言えば「女性だから得をした」と言う体験もあるからだと思う。働く、と言うことにおいて、女性である、と言うことがフラットにこだわりなく語れるようになるのは、一体いつなのだろうか。少なくともまだまだ日本では、そうなっていない。

    p.93 目の前の仕事に追われていると、どうしても“思考の深度”が浅くなることも自覚していた。

    p.95 副編集長の仕事は想像以上に面白かった。自分で記事を書いていたところは、どんなに頑張っても1週間に1本、大きい特集であれば2週に1本、巻頭特集を書くのが限界。だが、副編集長と言う立場であれば、自分が考えた企画、面白いと思った企画、それを数人の編集部員やフリーライターに描いてもらって動いてもらって次々と形にしていける。そして、その企画の反響が大きかったり、売り上げが伸びたりした時は、その結果を一緒に手がけた編集部員と共に喜べる。よく企画研修なので女性たちに「管理職の仕事の面白さ」を伝えるときに、私はこの例を持ち出す。自分の頭の中にあるアイデアをスピード感を持って形にでき、そうすることで仕事のダイナミズムにを味わえる。その感覚は一社員だったときには味わえないものだ。さらに管理職の仕事の醍醐味は「人を育てる」と言うことだと思う。ちょうど私が副編集長になった4月に愛奈に異動してきた女性記者がいた。彼女は素直で真面目で問題意識の持ち方にセンスもあったし何より頑張り屋で泣き言を言わなかった。新聞から移動してくると、取材するテーマも原稿の出方も違うので最初は戸惑うのだが、彼女は毎週少しずつテーマの難易度を上げていても、必死で食らいついて原稿の精度を上げてきた。こちらが「この本を読んでみたら」「この人に会ってみたら」と勧めるとそれを実行して、自分のものにしていく吸収力がすごく、彼女とチームで仕事をするしていろいろな企画を一緒にやること自体が楽しかった。

    p. 私が尊敬する経営者の1人、カルビー会長兼CEOだった松本晃さんは、経営者と社員の関係は、まず経営者が全員に「Give」することだと常々話している。会社と社員の関係は「Give & Take」だけれど、最初に会社がギブをせよ、と。松本さんがギブしたもの、それは時間だったと言う。それはつまり働き方を柔軟にすることで、社員に時間的な豊かさを実感させる。結果、私生活が充実する。それこそが経営者のできることだと教えられた。その代わりに社員は結果を出さなくてはならない。その結果をシビアに見極めると。/ 何を与えられるのか。私には経営全体に関わる会社の制度を変えることができない。給料やボーナスの額を私の一存で上げることもできない。そんなサラリーマン管理職が部下に対して与えられるものは評価と成長機会、そして働き方の選択肢だ。中でもこの上司と付き合っていれば、自分を成長できると感じてもらえることが、一緒に仕事をしようと言うモチベーションにつながる。それは自分自身がそうだったからだ。

    … 単に自分がその部下のことを好きか好きか嫌いか、ではなく、アエラを面白くするためには「必要かどうか」と言う目で編集部員を見ようと心がけた。自分に対して従順だったり、昨日部下の方が付き合うには楽に決まっている。でも、多少めんどくさい部員でも自分とは相性が合わない部員でも、そこの部員はこの部員の力はどうしても必要、と思えば編集部に残すと言うのは、良いメディアを作るための私なりに導き出した結論だった。

    p.105 ビジネスインサイダーの読者であるミレニアム世代は、「成長したい」と言う意欲が強いこの人が出世この人と仕事をしていると自分でも気づかなかった能力を引き出してもらえる、とにかく面白い仕事ができる、と若い世代から上司世代は“選ばれる“閉じる存在になっている。特にこれからの若手の労働力がどんどん減っていく中、会社側新入社員や若手社員を選ぶ時代は終わった。これからは会社や上司を若手が選ぶ時代なのだ。

    3年以内で離職する20代に話を聞いていると、その最大の原因は“配属リスク”だ。特に大企業ほど配属リスクは大きい。希望 して入った会社でも、配属先は自分で選べない。たまたま配属された部署が希望の職種ではなかったら…。そこでもこの上司や先輩と仕事をすると面白い!と感じられれば仕事会社に残ると言う決断をするし、たとえ希望の部署に配属されても、上司との人間関係がうまくいかなかったり、部下の意見を聞こうとしない“圧迫型”の上司だったりした場合、何のために貴重な20代をこの職場で過ごすのか、と自問するだろう。今の若者は“時間”にシビアだ。早く帰りたい、と言うだけでなく、この変化のスピードが速い時代に、ここの 職場で自分が成長できないと感じたら、次さっさと見切ってしまう。それを批判するのは簡単だが、「石の上にも3年」論はなかなか通用しない。

    p.107 そんな彼女たちを見ていて、こうした“生き残り方”もあるんだなぁと思った。外資系企業では女性が企業で生き残るためには、よく「スポンサーを探せ」と言われる。自分を認め、ときにはアドバイスをくれ、引き上げてくれる存在のことだ。経営陣にどうしても男性が多い現実では、スポンサーが男性となる。女性だってトップを目指すべきだ、と言う意見もあるだろう。だが、私も含め、多くの働く女性たちを取材していて感じるのが、女性たちにはチームへの執着がない、と言うことだ。出世したい、どうしても管理職になりたいと言う思いは無い。と言うよりもむしろ少しでも長く現場にいたい、現場の仕事が好き、と言う人が少なくない。管理職の責任の重さを
    敬遠していると同時に、誰かを「動かす」よりも、自分自身が「動く」と言うことを選んでしまうのだ。

    p.118 昨今日本ではダイバーシティーの必要性が叫ばれているが、何のためにダイバーシティーが必要なのか、その本質を考えているそういう組織はどれぐらいあるんだろうか。この事例はたかが会議なのだが、私が編集長になったときに一気に他の編集部でも女性の編集長が生まれ、部長会の中には4人の女性がいた。女性だけでなく、他社からの中途入社の部長も増えていた。ずっと続いていた会議のあり方に、誰かが疑問を呈して、「もっとこうしていたら、この会議自体が意味があるものになるのに」と言う、提案をしていたら。

    ダイバーシティーとは、そういうことなのではないかと思う。長年続いていた手法や社内慣習を、それまでのインナーの人間だけで変えるのは非常に難しい。そもそもそのあり方自体に疑問を持ちにくいし、持ったとしても言い出しにくい。前例や慣習を知らない、そこに染まっていない人間が入り、違和感を覚える。そこであえて空気を読まずに口にすることで、初めて気づけることがある。それができるのは、それまで会社の主流になかった女性たちや若手、そして外国人や中途入社の社員など。要は「男村」の人間以外を入れるほど、異を唱えられる人間は増える。自分たちだけでは組織ややり方はアップデートできないからこそ、こうした“外来種”を入れることが必要なのに、今起きている事は、まずは女性活躍の号令に従わなければならないと、女性管理職の数は増やしているものの、その女性たちに「インナーになれ」と言うことだ。そして、その圧力に負けて、いや、むしろ喜んでインナーになる女性たちがいることも事実だ。

    女性だったら、すべての会社の方針やこれまでのやり方に反対しろ、と言っているわけでは決してない。でも、明らかに非効率、理不尽、不可思議な会社のルールや文化があるのなら、それに対して「No」と言えるのはこれまで非主流だった女性や若手、外国人、中途入社組しかいないのだ。だからこそ、時に恨まれても煙たがられても、この役職を担うと言う覚悟が求められるのだと思う。そして、会社もそのために女性や若手を登用するのだ、と言う覚悟を持たなければダイバーシティーは単なる数合わせに終わってしまう。本来、女性管理職はどんどん違和感を口にする、むしろ空気も読まずに“正論を言う役割を期待されるべきなのに、その違和感を口にすると周囲から浮いてしまい、討ち死にしているケースをよく聞く。

    p.128 約束が前提のネットワークは、その人がその役職を離れてしまえば途切れてしまうことも多い。だが、利害関係のない、ただ「面白いことを一緒にやろうよ」と集まった横のネットワークは意外に強い。利害関係がないからこそ、気持ちや価値観でつながっているとも言える。そして、そもそもこうしたフラットの横のネットワークづくりは、女性は本来得意なのではないか。

    p.135 国保祥子:私は今42歳ですが、育休中に知り合った均等法世代は、「働く意思を固めた人」という印象でした。一方で、今の30代は「続ける」というよりも「やめない」と言う選択です。「働き続けたい」という意思が強固であるとは限らない、と言う感じです。だからこそ働き続けているものの、このままでいいのかなという揺らぎがあり、それが悩みや辛さに直結している気がしています。

    p.156 徐々に子供のいる女性社員や記者に対して、露骨に「使えない」と口にすることを躊躇せざるを得ない環境にはなってきているが、新聞社のカルチャーの中には、働いた時間、働ける時間が多いほど「使える」「できる」と言う人間という評価がまだ根強いと思う。実際、私がAERAの編集長時代に子育て中の女性記者を副編集長に登用しようとしたところ、上司から、「〇〇は子供がいるのに大丈夫か。できるのか」と言われたことがある。その人の能力は適性ではなく、働ける時間の長さでその人物を評価すると、こういう発言が出てきてしまうのだと思う。 大重要なのは「大丈夫か」と言う発言だ。「無理じゃないか」とは言わないのだ。意見、排除しているように見える発言。本人に打診する前から、他の彼女たちの可能性を狭めてしまう“過剰な配慮”は、「使えない」思想の形を変えたものだ。「使えない」ではなく、「使えるように」どうすれば良いのか、真剣に向き合おうとしない上司や職場に、やる気もあって能力もある出産後の女性者記者たちは絶望して去ってしまう。

    p.193 メディアで働く女性たちの場合も、医者の場合も、なぜこうした意見が出るのか。セクハラは「する側」が責められるべきなのに、なぜ被害に遭い、そのことを告発したり、問題点を指摘したりする側が責められるのか。本来、長時間労働など医師の働く環境をどう改善するかと言う議論をすべきなのに、なぜ離職する側の責任が問われ、現場の厳しい労働環境の一員であるかのように言われ、さらには、そのことによって何の関係もしない女性生徒たちが受けた不利益が肯定されるのか。1つにはその状況に耐え、受け入れている所政治側に、自分たちはその状況を良いとは思っていないが、働き続けるには甘んじて受け入れ、努力してその環境克服しているのだ、 だからこそ後輩たちにも同じ我慢をすべきだ、という潜在意識があるからではないかと思う。

    p.237 だからメディアで働きたいと思う人は、取材して廓、という一芸だけではきついと思う。少なくとも写真の撮影は自分でする、動画は自分で撮影し、それを編集できる。さらにはSNSでの発信でうまく拡散できる。読者とのコミュニケーション作りにアイディアがあるなど、1人でいくつもの役割をこなせなければ、新しいメディアの中で生き残っていく事は難しいと思うし、そうした1人何役でもできる記者兼編集者でないと新しいメディアを作っていくことはできないだろう。それはフリーランスのライターやジャーナリストも同じではないかと感じている。

    p.252 1、出社する、決まった時間に働く、残業が当たり前といった、これまでの「こう働くべき」という固定化された常識が、どれだけ女性たちを苦しめ、キャリアへの意欲を減退させてきたかと言うことだ。

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    投稿日:2022.05.08

  • toa

    toa

    なんで、上の世代はもっとNOと主張しといてくれなかったんだろう。。。と日々不満に思っていたが(笑)。しかし、それぞれの時代に精一杯なのは今も同じだなと、少し不満が和らいだ。
    先輩達ががむしゃらに食らい付いてくれたから、やり易くなった部分もある。
    少しずつ変えてくしかないし、良くする為にはどの世代も、その世代の場所から頑張るしかない。
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    投稿日:2022.04.12

  • かずみ

    かずみ

    仕事が人生のすべてではないけれど、仕事の本当の面白さを知ると「やりがい」を感じるのはたしかだと思います。 印象に残ったのは、「社会で起きていること、社会の構造を知らなくて損をするのは自分達」という文章続きを読む

    投稿日:2022.04.03

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