三つの物語

フローベール, 谷口亜沙子 / 光文社古典新訳文庫
(4件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • なすび

    なすび

    粋な心(素朴な人)、フラナリーオコナーの話にありそうだなと思った。主人公が言ってしまえば愚かな人間なのだけれど、それを見守る作者の視点が優しい、彼女の人生に起こることは辛いことばかりだけど、彼女がまっすぐになにかを信じて生きている姿がキリスト教的に美しかった。
    聖ジュリヤン伝、めちゃくちゃおもしろい。神話やおとぎ話のような運命的な話。いろんな動物が出てくる。
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    投稿日:2019.11.27

  • saigehan

    saigehan

    「素朴なひと」ジョルジュサンドに「冷徹」と思われていて「あたしだってやるのよ」ということを見せつけるために書いた作品。ある女性の一生。カナダの映画監督アトムエゴヤンの作品を思い出した。「聖ジュリアン伝」フローベールの生地ルーアン大聖堂の34枚のステンドグラスに描かれた彼の一生。「ヘロディアス」エルサレムの地にてキリストがいた頃の話。どれも良かった。久々に本と仲良く解り合えた感覚だった。訳がいいんだと思う。この訳者は読む人の気持ちがよくわかっている人なんだと思うが、作者の言葉選びの素晴らしさに惚れた。続きを読む

    投稿日:2019.06.08

  • 斑猫

    斑猫

    新訳にて再読。昔、読んだのは10数年前だったけど、「素朴なひと」は多分、これ以上の完全な小説は無いのじゃないか、と思った。確かに再読してみても、思った以上に結晶的な凄さを感じた。
    馥郁たる香りがギュッと詰め込まれていて、それをほぐして行くことに何とも言えない快が生まれる。読む、というのが能動的な行為となる。読むことが想像力の領域に深く委ねられるとき、それは無限の広がりを持ったものとなる。この深みには限りが無い。
    宇宙に物を投げると、どこまでも飛んでいくように。

    「素朴なひと」を読んでチェーホフ「可愛い女」を思い浮かべて欲しい。そして、さらに遠藤周作の「わたしが・棄てた・女」を。どれも知性と教養の欠如が時に聖性を表すことをテーマとしている。
    そして無宗教のチェーホフには救いがないという救い(ヒューマニズム)があり、フローベールにはもろにキリスト教的な救いが待っていて、遠藤周作には何やら大乗的なエッセンスを持ったキリスト教の救いがある。その違いの妙味を味わってみよう。

    「聖ジュリアン伝」はちょっと「エル・トポ」を思い出したり。手塚治虫の絵柄を想像したり。「素朴なひと」もそれはそれで過剰に利他に暴走している人で、「聖ジュリアン」とは鏡像の様になっている。ちょうど「白鯨」と「バートルビー」みたいに。

    「ヘロディアス」は劇っぽい。解説で、やたらそのわかりにくさに触れられているが、事件が舞台裏で起き、読者は暗示を読んで行く、という、所謂チェーホフ劇の手法の先駆け。
    臨場感があって、歴史的な事件も、歴史として大層なものになる前は、やっぱり物事は卑小な人間同士がただ我々と同じく蠢いているのだ、というところ。
    チェーホフ劇と同じく、愚かな人間が右往左往するドタバタなんですね。愚かであればあるほど、良い。そして最後にテーマがぐんと、しかも暗示的に現れる。その対比が凄い。

    そのテーマは3作共に、同じもの。
    つまり利他。ひと粒の麦。キリストって人は、利他を体現し、教えた人、そしてそれがなければ、どうやら人間はずっと愚かで、あまり価値の無い生き物だ、ということ。

    小説の神による傑作。とても読み切れるものではない。それが贅沢で、素晴らしい。
    訳も解説も素晴らしい。しっかり読まないと申し訳ないなあ。

    *「素朴なひと」にある利他は腰椎3番の捻れと深く関係している、そして「聖ジュリアン伝」は捻じれる向きが「素朴なひと」と逆である、そして利他も実は欲の発散の表れの一形態である、という事を知りたければ野口晴哉「体癖」を読んでみよう。(そういや、利他と利尿も結構関係している・笑)
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    投稿日:2019.01.21

  • Στέφανος

    Στέφανος

    原書名:TROIS CONTES

    素朴なひと
    聖ジュリアン伝
    ヘロディアス

    著者:ギュスターヴ・フローベール(Flaubert, Gustave, 1821-1880、フランス、小説家)
    訳者:谷口亜沙子(1977-、フランス文学)続きを読む

    投稿日:2018.11.20

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