【感想】沖縄独立を夢見た伝説の女傑 照屋敏子

高木凛 / 小学館
(6件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • yoshinar

    yoshinar

    以前『ナツコ 沖縄密貿易の女王』(奥野修司著、文春文庫)という本を読んだときに、この本のことも知ったはず。ようやく読めた。
    敏子もナツコも戦前・戦中もたくましく、さらに戦後の混乱期をたくましく生きた、まさに女傑というべき人たち。こういう女性を輩出するっていうところがいかにも沖縄っぽい感じがする。
    もっと、言動の端々まで沖縄独立を訴えていたのかと思っていたけどそうではなく、いわば市民運動的な言動でそれを訴える人ではなく、自ら沖縄に自活できる産業を興そうと頑ななまでに頑張った人だったという印象。
    著者はルポ作家とかいうわけでないせいか、文章にはちょっとこなれていない感じのところもあるけど、敏子の奔放な生き方が面白くてどんどこ読んでいける……のだが、やっぱり敏子の実像がいまいち伝わってこないなあ。本人に会ってない人が脚色なく書いた評伝ってこんなもんかな。
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    投稿日:2020.09.15

  • 香菜子(かなこ/Kanako)

    香菜子(かなこ/Kanako)

    沖縄独立を夢見た伝説の女傑 照屋敏子。高木凛先生の著書。有能な実業家として大活躍された照屋敏子先生。女傑とされているけれど、男勝りの強靭な精神力や行動力に加えて、女性ならではの感性や人間力があったからこその大成功であったのだと思います。沖縄問題の現状、照屋敏子先生ならどう考えるのでしょう。続きを読む

    投稿日:2018.09.03

  • ほぼ村上

    ほぼ村上

    1915年沖縄県糸満市生まれ。9歳で魚売りを始め、10代で南洋にわたっては黒檀のステッキなどを仕入れてくるようになる。19歳で結婚。やがて戦争がはじまり鹿児島に疎開するが、戦後まもなく福岡で漁業団を結成し、海の女王と呼ばれるようになる。しかし4年後、敏子の得意とする沖縄式漁法は禁止され失業。
     その後、家を担保に入れてシンガポールの華僑と手を組み、水産会社を立ち上げるも、華僑の手口にやられ、再び失業。シンガポールで無一文になってしまう。
     しかしここでくたばらないのが照屋敏子。シンガポールから持ち帰ったワニ皮バッグ3点をもとに商売をはじめ、「クロコデールストア」を設立。43歳。それが大当たりしてビルまで建てるほどの繁栄を極める。稼いだお金で土地を広大な土地を入手しては、マッシュルーム栽培、メロン栽培、車エビ養殖と次々手がけていく。失敗も多いので県民からの批判の声も大きいが、「沖縄に地場産業を。」と願う気持ちは誰にも負けない。 照屋敏子の、沖縄を発展させたいと意気込む前のめりな生き様に感服です。
     そして、脚本家高木凛が、照屋敏子を題材にドキュメンタリーを書くことになったきっかけが、シャンソン歌手石井好子という共通の友達だったというのも興味深い。

    敏子は評論家大宅壮一とも親交が深かった。
    大宅との対談の内容と、大宅の沖縄の見方の記述が印象的だったのでここに書き写しておきます。

    《大宅壮一さんと対談しましたときに、「沖縄が日本に復帰しても(略)産業のない民族というものほど哀れなものはない。いまにパインも砂糖も売れない時代がくる。いま、日本が甘やかして沖縄のものだからと言って買ってくださることは有難いけれども長続きはしない。日本もそんな甘やかし方をすれば後で困るのではないか」と言ったことがあるんです。》(敏子談)

    《ひめゆりの塔に示された異常な忠節をたてることが、これを二度と繰り返さぬ保証にはならぬことである……主体性と批判力を欠いた忠誠心それ自体というのは、ムチとエサで動くサーカスの動物に似たもので、善用される場合もあるが、悪用されるほうが多いから、すこぶる危険である。こういった忠誠心の特産地と見られている日本は世界の沖縄であり、沖縄は日本のなかの日本である。》大宅壮一著@文芸春秋
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    投稿日:2015.02.24

  • konchan

    konchan

    戦後沖縄のベンチャー事業カリスマ経営者、と言ったところ。

    しかし、前読の金城夏子のほうが、クレバーな事業家だったように思う。
    こちらは姉御肌度高め。

    いずれにしても、英雄伝的な物語(ノンフィクションだけど)の場合、男だと力か頭脳がもっと際立ちそうだが、女だと情感度多めになるのが不思議。続きを読む

    投稿日:2014.06.27

  • katchaman

    katchaman

    沖縄について読むことは、楽しみでもあり哀しみでもあります。憧れとともにこれまでの歴史の重さを感じないわけにはいかないからです。

    これまでにもいろいろな沖縄関係のものを読んできました。が、この本は、また沖縄の別の一面を教えてくれました。いわば、庶民からの視点と言っていいかもしれません。
    照屋敏子は、いわば「名士」の家の嫁になりましたから、一般庶民というのとはすこし違うかもしれませんが、南方で儲けた財産をすべて無くすなど、想像を絶する苦労を重ねてきました。もちろん、戦後の食うや食わずの時代もくぐり抜けてきました。
    そんな生き方から生まれた「沖縄独立」。そのための経済基盤を持つための闘争。敏子は確かに実業家だったのです。
    走り続けなければいけなかった敏子の生涯に、敬意を表したいと思います。

    ところで、沖縄独立をどの程度まで本気で考えていたのか。政治的なものをどうしようとしていたのか。そのところが良くはわかりません。本の中にも書かれていますが、生涯を通してこの点について系統的に語っていたわけではないのでそれは不明です。『独り立ちするためには経済的な基盤を持たなければならない』という、今日でも一般的な発想だけがベースだったのかもしれません。それでも、次から次に事業を起こしていく姿は圧巻です。

    減点するほどの理由ではないのですが、話題の時間軸がとどこどころで急に前後します。ちゃんと読んでいれば良いのでしょうが、読み返すところがありました。また、著者は敏子という人に惚れてしまっているのでしょうね。惚れた人については、ときどき、冷静には書けないようです。
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    投稿日:2011.04.28

  • urizunokinawa

    urizunokinawa

    ナツコ本と一緒に読むと意外な発見あり。http://ameblo.jp/urizunokinawa/day-20080126.html

    投稿日:2008.09.07

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