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安岡章太郎 / 新潮文庫 (21件のレビュー)
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総合評価:
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setsusan3
このレビューはネタバレを含みます
「ガラスの靴」は前読んだときから随分印象が変わった。以前は主人公の抱く恋愛感情に浮ついた心地よさみたいなものを強く感じたけれど、今度は僕と悦子の間にあるじめじめとした人間の匂いを一文一文から感じた。こんな文章あったっけと思うことが幾度もあった。 「青葉しげれる」「相も変わらず」は、順太郎という主人公の登場する連作で、母との関係が描かれた話。大学生ごろの年齢設定だからか、「三四郎」「それから」っぽさを感じた。 「相も変わらず」がこの作品集の中で一番好き。「悪い仲間」などにもあった、家族から逃れようとするも最後の最後に逃れられないことに気づくという主人公の姿にひどく共感を覚える。さりげない描写にとてつもない文章の力を感じた作品だった。 「質屋の女房」も好き。
投稿日:2022.06.08
がんちゃん
初めての安岡章太郎 短編集 「悪い仲間」などの青年ものより、際立つのは「陰気な愉しみ」だ。 傷痍軍人の悲しい愉しみ。 楽しみではなく、愉しみ。 人の目を憚りながら、生きながらえる中に愉しみをも見…出せない儚さ。 心の凹凸を顕微鏡で覗くかのように隆々たる山並に変えてみせる、良い作品。 続きを読む
投稿日:2021.11.25
てつ
慶応大学在学中に結核を患い、戦後、脊椎カリエスを病みながら小説を書き始めた著者が、世間に対する劣弱意識に悩まされた経験をベースに綴った10編から成る短編集。 戦中、戦後を哀しく、無器用に生きた学生の…自堕落で屈折した日常をユーモアも盛り込んで描く。 標題作「質屋の女房」は、戦時中、外套を質屋に持って行った学生と質屋の女房との関係を甘酸っぱく余韻を含ませて描いたもので印象に残った。学徒出陣で召集令状が来たその学生にとって一度きりの秘め事が結果的にはなむけとなったのだった。 「ガラスの靴」は猟銃店で夜番をしている「僕」が散弾を届けに行った米軍軍医の屋敷で出会った風変わりなメイド・悦子との間に生じた特別な時間が生々しく描かれている。 この他、兵役で病気になり、月に一度生活費をもらいにいく男の屈折した感情、厳格な母親を怖れ、呪縛を感じながらも反発する男子学生や悪徳仲間と現実逃避に終始する学生たちの姿を描く作品が盛り込まれている。 続きを読む
投稿日:2021.07.09
ぱぽぱぽ
肥った女 源氏名君太郎が面白すぎる。 最後はちょっぴり切ない 吉原のシーンは暗夜行路の影響受けてそう
投稿日:2020.10.21
こうちゃん
目次を見て、また読んで、魅力のあるものがほとんどなかった。本作の読書は淡々と作業をする感じであった。特に気に入った作品がなかった。文体は静謐かつ読みやすい。期待したほど、楽しめなかったのが残念だ。
投稿日:2019.08.06
初老の図書館員
哀しい、無器用な劣等生は、社会にうまく適応してゆく人々の虚偽を見抜く力をもつ…。先天的に世間に対する劣弱意識に悩まされた著者は、いたずらに自負もせず卑下もしない明晰な自己限定力をもって、巧まざるユーモ…アのにじむ新鮮な文章で独自の世界をひらいた。表題作ほか、処女作『ガラスの靴』、芥川賞受賞作『陰気な愉しみ』『悪い仲間』など全10編を収録する。 続きを読む
投稿日:2019.06.18
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