【感想】拳に聞け!

塩田武士 / 双葉文庫
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
4
5
3
0
0
  • 掛け合い漫才

    ボクシングがメインテーマの作品ではあるが、実は大阪弁での掛け合い漫才のような会話がとても面白い。大阪で仕事をしていた頃、同僚たちの会話が自然と漫才っぽくなっているのを思い出した。主題のボクシングの話も正統派で随分迫力ある描きだし方をしている。語り部 狂言回しの役割をする省吾の芸人の話もまずまず うまく絡んでいる。
    ただ優香のエピソードが浮いてしまっている感じがするのが残念である。
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    投稿日:2022.03.15

ブクログレビュー

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  • NO Book & Coffee  NO LIFE

    NO Book & Coffee NO LIFE

     表紙の写真、タイトル、それに著者が塩田武士さんと来たら、当然バリバリ硬派のボクシング小説に違いない! と思ったら、なんということでしょう。漫才の掛け合いのような会話の軽妙さ、文章のリズムの軽快さがあるではありませんか!
    (劇的ビフォーアフターかよ!)

     今回の〝匠〟である塩田さん、『罪の声』と同一作者とは思えません。塩田さんの経験の為せる技なのか、「罪の声」が新聞記者の目だとすると、本作は「芸人」の目ですかね。

     小さく古びたボクシングジムを舞台に繰り広げられる物語です。元芸人で便利屋の省吾、ジム会長・貞次郎と息子で期待の星・勇気、周囲を固める他の人物もとても個性的です。
     シリアスと笑いの塩梅、いい加減さ、ボクシングのファイトシーンの迫力など、バランスよく人間味あふれています。そして、周りのみんなが勇気に、自らの再生を懸けて夢を託し、読み手も知らず知らずのうちに応援している気になりました。

     拳に聞け!・・・最後は自分が努力し、積み重ねてきたものを信じ切るしかない! 本当にその通りですね。あらゆるスポーツ、仕事などの場面に共通する究極心理でしょう。
     人情とスポーツのロマンを味わえる、コテコテの大阪ボクシングジム繁盛記、がピッタリな物語でした。
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    投稿日:2023.10.16

  • ultraman719

    ultraman719

    下町の貧乏ジムというと「明日のジョー」を思い浮かべるけど、ここは大阪やねんな。
    元芸人が、貧乏ジムで、将来あるボクサーをサポートする。
    自身の夢と重ねながら…
    というセンチな部分は根底にあるけど、ボクシングのパンチと同じく、鋭いボケとツッコミが炸裂するのに親近感。
    塩田さんの作品は、関西弁が生きてて凄い。
    ボクシングにしても、芸人にしても、何にしても、夢は簡単に捨てたらあかんねんな…

    激しい拳闘シーンもあるけど、この言葉で中和されてええ感じ。
    日本チャンピオンになってな!
    M-1優勝してな!

    解説にもあるように、会話が面白い!

    「あんた誰やねん?」
    「ビル・ゲイツの遠縁のもんです」
    「えらい距離ありそうやな」

    でも、関西全員が、ボケとツッコミ出来る訳ではないので注意!(^-^)v
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    投稿日:2023.04.13

  • yoshi2013

    yoshi2013

    下町の貧乏ボクシングジムの息子がチャンピオンを目指し、主人公が自分のこれまでの生き方を青年に投影しながらサポートする。騙し絵の牙の作者であることから手に取った。ベタな展開ながらベタであるが故に最後まで物語に引き込まれた。特に最後の試合の場面は一気読み必至です。作者による上手いキャラ作りが本作でも発揮されています。お笑い芸人とボクサーという一見接点がなさそうな二人が励まし合い前に進む展開が熱いです。前半で張った伏線、ミステリー要素もを後半できれいに回収してくれます。
    笑わせてくれるキャラを揃えた割には作者ならではのギャグが控えめなのは大いに不満。ピルゲイツにクスリとした程度。終盤にシリアスにフェードアウトしてしまったベンにはもう少し活躍して欲しかった。ギャグについては別の作品に期待したい。
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    投稿日:2023.04.09

  • loststar19

    loststar19

    舞台は大阪の寂れたボクシングジム。
    そこに集まるのは、挫折し、夢を追えなくなった大人達。その大人達が1人の優しき青年、勇気に想いを託し、願いを込めて、リングへ送り出す。

    勇気の成長。勇気に夢を託し、夢に加担し、変わっていく大人達の姿が胸を熱くする。
    いわゆるスポ根ものに近いかも。読んでるうちに胸が熱くなり、力をもらえる。好きなやつ。
    大阪ならではの笑いのある軽妙なやり取りも魅力的。
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    投稿日:2021.07.10

  • 架空

    架空

    個人的には主人公・省吾の書かれぶりや「だめな人」への寛容な雰囲気、ぐだぐだに弛緩する空気、なかなか振り切ったボケ(優香の思い出話に対する省吾のツッコミが秀逸)を気持ちよく読んだので満足しているが、他人にはまず薦めない出来の作品でもある。「僕、練りもん苦手なんです」とか言わない人だけが読むとよい。続きを読む

    投稿日:2021.01.12

  • キョウヘイ

    キョウヘイ

    こういう人情スポ魂ものも書けるんだ塩田武士。面白くて一気に読んだ。登場人物の描写もいいし、人間関係の組み立て方もうまいし、やっぱり会話がテンポよく可笑しみがあって大きな魅力になってる。帰ってきてくれたオヤジの愛弟子のシーンと、「拳に聞け!」のシーンは興奮した。続きを読む

    投稿日:2020.12.02

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