【感想】国宝(下) 花道篇

吉田 修一 / 朝日新聞出版
(105件のレビュー)

総合評価:

平均 4.4
47
39
8
1
0

ブクログレビュー

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  • はるパパ@ファミコンしようぜ

    はるパパ@ファミコンしようぜ

    さあ、これは感想が大変。物語が幕を閉じても、しばらくポカン。人間国宝の人間ならぬ名演に、さざなみのように興奮が湧き起こってくる。

    人間関係の濃さで作られた作品なのに、主演男優だけ脱け出して独りで歩いていく。作中の表現をお借りすれば「狭い水槽の中の錦鯉」。それじゃ枠に収まるはずがない。待てとも、待ってくれるなとも言えないもどかしさすら覚える。

    私のような芸事に暗い凡人にすら、この非凡な世界を親しみやすく描いてくれている。吉田修一さんの筆力も尋常でない。インタビューを検索したら、実際に歌舞伎の舞台にまで上がられたとのこと。舞台側からの空気に鋭い緊張感が走っているのはこのためか。観客席からでは推し量れない重圧が、私でも容易に想像できた。


    ──生前、先代はよく言っておりました。女形というのは、男が女を真似るのではなく、男がいったん女に化けて、その女を脱ぎ去った後に残る形であると。とすれば、化けた女を脱ぎ去った後は、まさに空っぽなのでございます─

    これから歌舞伎を楽しむにあたって、これぞ追っかけの見どころ。
    「空っぽ」という境地まで登り詰めた千両役者。もはや役者は仕事ではなく、性分だという。無論それは捨てられるはずもない。国宝に至った人間がまさに「空っぽ」の入れ物、モノに変わってしまった瞬間を目撃できたんだと感じられた。

    これぞ金輪際現れない無敵のアイドル。
    そんな言葉しか浮かばない。語彙不足。
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    投稿日:2024.02.06

  • キンカン

    キンカン

    歌舞伎について学びたいと思いました
    日本の伝統的演劇を全く知らない自分でも、ドラマを見ているかのように様々な情景が浮かびましたま

    投稿日:2024.01.13

  • やっさん

    やっさん

    歌舞きたい

    ってな事で、吉田修一の『国宝 花道編』

    ナホミオススメのオモロ過ぎてハゲる本
    わしは既にハゲてるけど

    ホンマ、これはオススメのオモロい本じゃった

    歳を重ねた俊介と喜久雄のよりパワフルな歌舞伎への邁進と執念。

    俊介の想い届かないながらも、命を懸けて歌舞く姿にガクブルじゃったよ

    喜久雄のラストも涙で文字が滲んでしまう程、カッコ良過ぎた

    その他の登場人物も最高で、みんな最高‼️

    壮絶な歌舞伎道と言うのか、久々にジェットコースターな感じの読み応えのある本じゃったわ~

    ホンマ、ハゲるでこれは

    2023年44冊目
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    投稿日:2023.12.27

  • せりぐまん

    せりぐまん

    このレビューはネタバレを含みます

    つい夢中になって読んでしまった…

    下巻の始まりは最悪だった。
    ずっと真面目に孤独に戦ってきた喜久雄をダークヒーローにし、逃げた俊介をたてる作戦。不器用に文句一つ言わずに受け入れる喜久雄…
    ただ、源氏がヒットし、ようやく訪れる輝く日々。ただそれも束の間、不幸は次々と降りかかる。
    喜久雄の人生、次々と大切な人を失い、険しさばかり。失う度に喜久雄の人生が険しくなるのに、自身が周りを不幸にしているかのような思いを持つ喜久雄。
    それでも芸に精進し、誰も届かない域に達した。それは孤独で狂気の域。

    もっと続いていても読み続けたかもしれない。彼と彼を取り巻く世界をずっと見続けたかもしれない。眩しさと哀しさ胸が潰されそうになりながら。
    読んで良かった。

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    投稿日:2023.11.06

  • hisakoda

    hisakoda

    いやぁ、天晴れな小説でした。まるで大河ドラマのようで、読みごたえありまくりでした。私はスタンディングオベーションしています。

    吉田修一さんは大した小説家ですね。これだけの大作を書くには、どれだけ取材が必要だったことでしょう。私は歌舞伎は何度か見たことがありますが、あの華やかな舞台がありありと目の前に蘇りました。

    芸に生きる人達の困難が描かれたこの小説に夢中になっていた頃、市川猿之助さんの事件があり、言葉が出なくなりました。
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    投稿日:2023.11.05

  • chariots0

    chariots0

    吉田修一というと「横道世之介」のイメージが強く、どんな作品かと思い読み始めたが、良い意味で印象が変わった作品となった。
    ヤクザの息子として生まれた喜久雄が、"三代目花井半二郎"として重要無形文化財、つまり国宝となるまでの生涯を綴った作品。
    上下巻合わせて結構なボリュームの作品だったが、読み応えがあった。
    華々しく見える梨園の世界ではあるが、その世界で生き残るためには壮絶な努力と覚悟、忍耐が必要だということをまざまざと見せつけられた。それは決して役者本人だけではなく周りで支える人間も同じこと。これはあくまでフィクションではあるが、ノンフィクションのような、そんなリアルさと生々しさみたいなものが伝わってきて、最後まで引き込まれるように読んだ。特に下巻中盤からの展開の壮絶さを圧巻だた。
    そして、芸を極めるということについても考えさせられましたね。極めても極めても終わりがない、終わることができない。その先にあるものは希望なのか、はたまた孤独なのか。。
    これはぜひ映像化してみてみたいと思った。そして何より歌舞伎が見てみたくなった!新たな世界との出会いに感謝です。
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    投稿日:2023.10.07

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