【感想】パーフェクトワールド 下

馳星周 / 集英社文庫
(5件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
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ブクログレビュー

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  • mmcit

    mmcit

     著者が沖縄を舞台にこんなノワール小説を書いていたとは知らなかった。「復帰」直前の沖縄で現状と将来に鬱屈を募らせていた若者と、「復帰」後の沖縄を骨までしゃぶってみせようと金儲けを目論む本土の政治家たちのコマとして使われていることを潔しとしなかった考案警察官の生が交錯していく、というストーリー。最終シーンでこの二人の「対決」が描かれるが、二人はまったく言葉を交わさないままで終わっていく。つまり、この二人の生が決して交わらないと設定されている。

     個人的には、せめて本土の政治家や官僚や資本家たちに一泡吹かせてやろうと動き始めた大城がどんどん法を破り、人の道に外れた行動を重ねるようになるところが重要と思った。つまり作者は、彼を決して悲劇の主人公として英雄化するつもりは毛頭なかったということだ。
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    投稿日:2024.02.17

  • みーママ

    みーママ

    登場する公安警察官の大城くんが、ヤバい。

    上巻でも凄かったけど、
    下巻に入ったらますます危険な人物に。
    殺しも、クスリ漬けも、なんでもあり。

    大城くんと関わる人物、
    大城くん自身も、
    どんどん闇に墜ちていく。

    大城くんと対極にいるのは、
    自らの信念のために死を厭わない熱い男・平良くん。
    最後のシーンが強烈。
    後戻りできない世界にとうとう踏み出してしまった。

    理想だけでは生きていけないのが人間。
    ついつい欲が出てしまったり、
    現実と折合いをつけなくてはいけなかったりする中で、
    理想とどんどんかけ離れていく。
    パーフェクトワールドは、どこにも、ない。

    小説の世界とはいえど、
    沖縄が抱える矛盾や苦しみって、実際に今も続いてるんだろうな。
    と想いを馳せました。
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    投稿日:2023.09.23

  • ktrmn

    ktrmn

    このレビューはネタバレを含みます

    沖縄の暑さや緊張感のなさが良く描写されてて、故に疾走感がなくズルズルと泥沼にハマっていく公安のスパイたちの陰鬱な感じがよく出てた
    最後ちょっと尻切れトンボだったかなあ……誰も高笑いしてないENDはちょっと物足りなかった

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    投稿日:2022.05.11

  • bera5227

    bera5227

    予想通り全員が地獄に落ちてしまった。それにしても大城の狂いっぷりが凄まじい。ここまで人を陥れることに躊躇いを感じさせないとは。上巻冒頭の警視監の前でガチガチに緊張していたのが信じられないくらいの変貌ぶりが怖すぎる。本人は変わってしまったことを周りのせいにしていたが、間違いなく本質的にそういう要素を備えていたのだろう。大城があんなにあっさり殺されたのは残念だった。大城や平良たちにもっと呪詛をぶちまけるシーンが欲しかった。やまとーんちゅに恨みを持ってるうちなーんちゅは現実にどれくらいいるのだろう。続きを読む

    投稿日:2018.08.31

  • sugahata

    sugahata

    特命を受け沖縄に潜入した大城。正義感を持ち活動する運動家、愛する男に尽くす女たち、周囲のあらゆる人物を巻き込み破滅への道をまっしぐら。最終章はやはり…。

    投稿日:2018.06.16

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