【感想】信長はなぜ葬られたのか 世界史の中の本能寺の変

安部龍太郎 / 幻冬舎新書
(22件のレビュー)

総合評価:

平均 3.5
2
11
6
2
1

ブクログレビュー

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  • タク

    タク

    戦国時代の作品を多数書いている著者の歴史ものエッセイ。信長がなぜ本能寺の変で殺されたのか、背後にどのような真相が隠されているのか、という点を様々な資料を基に論じていく。キリシタン大名が暗躍していた等既存の歴史観では語られていなかった話が多く紹介され、非常に興味深かった。続きを読む

    投稿日:2023.10.09

  • 雪だるま

    雪だるま

    私には難しかった。
    歴史が好きな方は面白いんだと思う。
    歴史について無知なのを痛感した。
    しかし日本の歴史、当時の政治とキリシタンの関係性については面白く感じた。

    投稿日:2023.03.02

  • shin_tama

    shin_tama

    前半は、著者が調べたことを「朝廷黒幕説」を展開されている。一次資料も少ない事件なのでやむを得ないとはいえ、随所に「〜に違いない」とか「〜であるはず」とか書き振りで、テンポが損なわれる。

    後半の大航海時代・宣教師と茶の湯・キリシタン大名や南蛮貿易と本能寺の変との関係は、とても興味深い。続きを読む

    投稿日:2022.03.28

  • abba-rainbow

    abba-rainbow

    ちょうどNHK大河ドラマ「麒麟が来る」では、これから信長が朝倉義景を討つための出陣前夜である。信長は帝から、天下を平定し平和な世を構築することを目的とした戦を認められ、戦の大義名分ができた。

    信長は朝倉を討つ戦いに、幕府の後ろ盾を求めたが、将軍足利義昭は朝倉を討つことに難色を示し、幕府の後ろ盾を得られないままの出陣というところで、前回の放映が終わっている。

    本書は、本能寺の変での信長暗殺に関する、著者の説が述べられたものである。本能寺の変まで、まだまだ幾つもの山場を控えた大河ドラマの倍楽しく観るための予習ということになる。ドラマは、安部氏の推理を採用しているのか否か、そういう楽しみ方もできる。

    著者の説は、いわゆる「朝廷黒幕説」である。当時、信長は朝廷を支配下に置こうという姿勢が露骨で、朝廷はそれに強い危機感を感じ、明智光秀を動かしたというもの。その朝廷黒幕の張本人を時の太政大臣・近衛前久と推理している。

    大河ドラマでは、本郷奏多が演じているが、なかなか上手く策士キャラを表現しているように思う。本書を読み出してから、ドラマの過去5回分くらいを思わず見直してしまった。

    これから、浅井長政の裏切りによる信長敗走、姉川の戦いでの再起、石山本願寺との抗争、焼き討ち、など信長も様々な紆余曲折を経て、最終的に天下統一に手が届くところまで行く。

    その時の「天下布武」のストーリーが、著者によれば鮮明に浮かび上がってくる。信長がどういう天下統一を考えていたのか。信長は、幕府のトップ将軍職に就くことや、朝廷の要職となって帝の権威で天下を動かすことに収まらず、その両方を成し遂げるストーリを描いていたという。しかもその布石を着々と打っていたというのだ。

    その裏付けを、例えば安土城の造りから分析していく。
    著者の分析や推理は、そういう古文書などの史料の解読などを積み上げていき、しかも辻褄のあう説を述べるので説得力がある。面白さと納得の両方が伴うのである。

    そうした信長の天下統一についての思想(=朝廷をもコントロールする)は、朝廷黒幕説へと結びついていく。
    果たして、明智光秀はドラマの中で、この朝廷による信長暗殺計画に巻き込まれていくのだろうか。果たしてまた、光秀は、その朝廷に利用されたのち、責任を押し付けられて一人死んでいくのだろうか。

    安部氏の推論が非常に現実的であるだけに、ドラマの展開との比較がとても楽しみである。

    もう一点、著者の視点で独創的なのは、信長暗殺にキリシタンの影響があったという点。信長のキリスト教禁止令に伴い、キリシタンの黒田官兵衛や細川藤孝らが反信長勢力に加わったという。

    本能寺後も、黒田官兵衛の関ヶ原の合戦における戦略、すなわち九州をまず平定し、中国地方を攻め、その上で関ヶ原の勝者と決着をつけて、最終的な勝利を獲得しようというストーリーは、キリスト教布教が前提となっていたという。

    あるいは関ヶ原での吉川広家(毛利方)の沈黙もキリシタンの連携(吉川は勘兵衛の指示がなかったから動かなかった)によるものだったという推理など、とても興味深かった。

    著者の他の著書に興味がわき、大河ドラマの今後に対する関心も増した。
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    投稿日:2020.11.06

  • オフィス樋口Books

    オフィス樋口Books

    本の感想(http://www.books-officehiguchi.com/?p=19190)
    「明智光秀が謀反を起こした本能寺の変は未だに謎の部分が多い。

    この本では、本能寺の変の背景にキリシタンの勢力があることを指摘している。

    織田信長が自らを神と名乗ったことから、宣教師たちを怒らせ、本能寺の変のきっかけになったことを挙げている。

    この本を読んでいると、キリシタンが多いことに気付く。その例として、黒田官兵衛が挙げられる。他に、明智光秀はキリシタンではないが、娘が洗礼を受けガラシャと名乗っていること、武将の家族がキリシタンであることがこの本で取り上げられている。

    この本を呼んでいると、織田信長の家臣やその身内にキリスト教の洗礼を受けている人が多く、宣教師だけでなく家臣たちも信長への心証を悪くしたのかもしれないという印象を受ける。

    最後に、2020年の大河ドラマ『麒麟がくる』で、主人公の明智光秀がキリスト教の宣教師とどのように関わり、本能寺の変を起こすのか注目したい。」

    内容(「BOOK」データベースより)

    戦国時代は世界の大航海時代だった。スペインやポルトガルは世界中で植民地獲得に乗り出し、その波が鉄砲やキリスト教伝来という形で日本にも押し寄せていた。織田信長はこれにどう対処するかという問題に直面した、わが国初の為政者だったのだ―。安土城跡に発見された「清涼殿」の意味、スペインからの使者・イエズス会ヴァリニャーノとの熾烈な交渉、そして決裂。その直後に本能寺の変は起きた…。江戸の鎖国史観から見ていてはわからない、世界史における本能寺の変の真実。信長が背負っていた真の孤独とは。

    著者について



    一九五五年六月福岡県八女市(旧・黒木町)生まれ。久留米工業高等専門学校卒業。上京し、大田区役所に就職、後に図書館司書を務める。一九九〇年「血の日本史」でデビュー。二〇〇五年「天馬、翔ける」で第一一回中山義秀文学賞、二〇一三年「等伯」で第一四八回直木賞受賞。二〇一五年福岡県文化賞受賞。『関ヶ原連判状』『信長燃ゆ』『蒼き信長』『おんなの城』『家康』など著書多数。

    著者略歴 (「BOOK著者紹介情報」より)

    安部龍太郎

    1955年6月福岡県八女市(旧・黒木町)生まれ。久留米工業高等専門学校卒業。上京し、大田区役所に就職、後に図書館司書を務める。1990年「血の日本史」でデビュー。2005年「天馬、翔ける」で第11回中山義秀文学賞、2013年「等伯」で第148回直木賞受賞。2015年福岡県文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


    目次

    第1章 消えた信長の骨(秀吉は信長を見殺しにしたのか
    富士山麓に埋められた信長の首 ほか)
    第2章 信長の真の敵は誰か?(正親町天皇の勅命が、織田信長を滅亡の危機から救った
    織田信長の覇業を陰から支えた元関白 ほか)
    第3章 大航海時代から本能寺の変を考える(隠された信長
    キリスト教禁教、イエズス会との断交)
    第4章 戦国大名とキリシタン(黒田官兵衛の実力とは
    加藤清正の経済力 ほか)
    おわりに 「リスボンへの旅」
    続きを読む

    投稿日:2020.10.17

  • Take

    Take

    信長は朝廷とキリシタンとの関係において、必然的に、うたれるべくしてうたれた。その真偽はともかく、歴史が動く時は新旧権力者と朝廷との関係を、そして戦国時代は世界地図の中での日本を見てみないと到底理解できないことはわかった。
    また、茶道とキリシタンとの作法の共通性の指摘、ひいては茶道家=キリシタン大名の多さと、そのことがもたらした結果の仮説についての興味は尽きない。
    続きを読む

    投稿日:2020.06.02

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