【感想】悲素(上)(新潮文庫)

帚木蓬生 / 新潮文庫
(4件のレビュー)

総合評価:

平均 3.3
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ブクログレビュー

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  • mokamoca

    mokamoca

    和歌山カレー事件を題材にしたノンフィクションに近いフィクション。
    事件の裏側で奮闘する警察と、それに協力する医師たちの使命感が窺える。
    カレー事件だけではなく、その前より始まっていたと思われる数々の砒素に纏わる事件の真相とは…
    実際に起こった事件だからこその恐怖が張り付いてくる。

    2022.7.1
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    投稿日:2022.07.01

  • Y.K

    Y.K

    1998年に発生した和歌山毒物カレー事件を覚えておられる方も多いのではないでしょうか。本書はその事件を題材にした小説で、登場人物は架空(例えば容疑者の林眞須美は小林真由美の名前で登場)のフィクションの体裁をとっていますが、基本的には警察から調査協力を依頼された毒物中毒の専門医が調査を進める過程を忠実に描いています。
    著者が九州大学医学部卒の医師ということもあって、被害者の毒物中毒の描写、カルテや調書から混入された毒物が砒素であることを確定していくプロセスはかなりリアルです。私自身は毒物や医学に特別詳しくないので、本書で述べられている症状などがどの程度正確なのかの判断はできませんが、すべての描写が事実に即したものであるという前提で読んでいると、相当細かい症状まで描写されています。
    私自身もこの事件の全容についてはだいぶ記憶が薄れていましたが、夏祭りで砒素が混入されたカレーを食べて中毒となった60数名の被害者以外にも、その10年以上前から容疑者宅に出入りしていた人たちや、容疑者の夫までもが砒素を食事に混入され、容疑者が多額の保険金を手にしていた事実が描かれています。
    本書上巻では夏祭りでの砒素中毒の10年以上前から砒素を食事に混入されていた被害者のカルテや調書の分析がメインですが、砒素による毒殺は本書でも述べられている通り、「初めからヒ素中毒を疑ってかからないと、なかなかたどり着けない」とのことで、被害者が入院した病院ではギランバレー症候群や、他の神経障害などの所見にとどまり、真実にたどり着けない様子なども描かれています。
    事件性を煽ることも劇的な展開もなく(例えば、容疑者が食事に砒素を入れるシーンの描写などは皆無)、淡々と資料と向き合う主人公の医師の分析の様子を描くノンフィクションのような読後感でした。
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    投稿日:2021.07.06

  • geta22

    geta22

    和歌山カレー事件を基にしたミステリ。
    ヒ素中毒の症状に関して専門用語が並ぶ。
    大半は解らなくてもミステリとして興味は失われず。
    ディテールは大事。

    投稿日:2018.04.02

  • kitarouchan

    kitarouchan

    1998年、和歌山毒カレー事件。よくよく見れば20年前のこと。当日の報道映像を思い出し、小林真由美へのインタビュー映像も思い出す。
    大学教授たちの毒物鑑定や被害者の診察状況などの事実の積み重ねが語られる。感情的な部分が少ないのに心の底に怒りと疑問が溜まっていく。書かれる医学用語のほとんどはよく理解できないのに異常さは伝わってくる。
    そして保険金詐欺も……
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    投稿日:2018.03.09

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