【感想】光のない海

白石一文 / 集英社文庫
(22件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
5
5
5
3
0
  • 相変わらずの神秘的なお話

    実はこのムードが好きなのだが、今回はいささかしっくりと来ない!
    登場人物多すぎ、しかも中途半端。

    投稿日:2018.12.24

ブクログレビュー

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  • まちか

    まちか

    偶然か必然か、何かの縁なのか暗示なのか、、白石ワールド全開。
    心を締め付け続ける孤独を描いた本作。
    ページを捲る手が止まらず、強く惹き込まれた。
    白石作品は個人的に当たり外れがあるけど、本作は当たりだった!
    これだから白石さんはやめられない。笑
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    投稿日:2022.12.04

  • なつこ

    なつこ

    徳本産業社長 高梨修一郎を軸としたヒューマン。
    高梨は古い名刺整理をしている時に、1枚の名刺に手が止まった。それは2年前に購入した陶製の水入れを実演販売していた販売員〝筒見花江〟のものだった。
    お気に入りで2年間愛用していたのだが、ちょうど2ヶ月前にふとしたことから割ってしまっていた。

    とは言え…高梨と花江の関係はちょっと強引すぎるかな。その関係を周りに〝嘘〟をついて取り繕う必要もなかったと思う。

    登場人物が多いので、人間関係を整理するのがちょっと大変。
    しかもその誰もが重い荷物を背負っていて、この〝ルイトモ〟は嫌だなぁ(^^;;

    不倫、会社買収、失踪、死、自殺、行方不明、虐待、殺人事件、裏切り…

    運がいいとか悪いとか
    たいていの場合そう言うことは主人公に任せられるのだけど、脇役陣の抱える過去が主役以上にやたらと重いので、1つの物語のなかにいつくもの物語がある。

    その1つ1つのエピソードの起承転結の順序が入れ替わって進んでいくので…
    例えば
    「あの時の私は知るよしもなかった…。」
    と匂わせてから〝あの時〟が出てこないうちに、他のエピソードが進むけどそのエピソードも匂わせなのでちょっと「は?」となること数回。
    その結果〝あの時〟を早く知りたいので、読むしかない!と言う感じにはなる。

    高梨だけでなく、全員が救いのない、変えることのできない過去の呪縛と共に生きている。
    過去に縛られた者同士がお互いの苦しみを理解し支え合いながら、光のない海を進み続けるしかない。この先もずっと…。
    いや、誰もが幸せになっていいんだよ…と願わずにはいられない。

    今年の14冊目
    2021.9.20
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    投稿日:2021.09.20

  • すずせい

    すずせい

    登場人物の間の様々な因縁とそれに対する主人公の孤独を強調した作品。
    他人に翻弄されながらの「自分の生」は虚しく、そうであるからこそ他人を心の支えとする。そんな人生の哀愁を綺麗に描き出している。

    投稿日:2021.08.13

  • Akiko

    Akiko

    このレビューはネタバレを含みます

    運命に翻弄された男の、深い深い孤独を描いた物語。
    主人公の修一郎は、家族を失って孤独ながらも、人との縁に恵まれ中堅会社の社長にまで上りつめる。しかし彼の心は癒えることはない。社長になったのも自分の意思でもなく、、「運命に縛りつけられている感じ」。小説中、2、3度しか出てこないが「命の支え」というのがかなり大きなキーワードだと思う。彼が孤独なのは「命の支え」が何もないからだ。とりあえず自分に託された「会社」を守るために一生けんめいに努めてきたが、それさえもなくなると…?
    少し前に平野啓一郎の作品「空白を満たしなさい」で、人がどんな瞬間に自死を選ぶのか考えさせられたが、それとも通ずるものがあった。「命の支え」がないと、人は簡単に、ちょっとしたきっかけで死んでしまう。反対に、この話の中に出てくる”堀越夫妻”のように、およそ考えつく限りの不幸が重なり、絶望の淵に立たされ、自分(たち)には生きる価値などないとさえ思っても、小さな「命の支え」がそばにあれば、生きることができる。というか、どんなに死のうと思っても自死の扉は開いてくれない。
    最後のシーン。彼が振り返ると、「光のない海」が見える。それは現実には海ではないのだが、彼にとってはまったく光の見出せない海ということか。そこからやってくる女性。彼女が「いのちの支え」になるのか?
    なんだかとても悲しい小説でした。

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    投稿日:2021.08.08

  • early-autumn1965

    early-autumn1965

    久しぶりに読んだ白石一文。
    白石ワールドを堪能した。
    ストーリーにリアリティはないが、引き込まれた。

    投稿日:2021.01.19

  • 夜

    白石一文さんの小説は、1人の人間の人生を長いスパンで描いているものが多いように思う。小説の始めと終わりでは数ヶ月から数年しか時間が経っていなくても、途中で遠い昔のエピソードが詳しく挟み込まれて、最終的には数十年にわたるその人物の人生が濃密に描かれる。
    今現在の状況に多少の影が差している方が、過去のエピソードが深く切なく感じる。それでも最後には未来の光もうっすらと感じる。味わい深い物語が多い。

    建材会社社長の高梨修一郎、50歳。先代社長の娘と離婚し、現在はひとり暮らし。取引先の粉飾決算によって経営危機に陥り、事態収拾を図るとともに引退を考え始めていた。
    今脳裏に浮かぶのは、怒涛のように過ぎ去った日々の記憶だ。18歳で入社した高梨と、先代の女社長の間には、誰にも言えない秘密があった。

    人はそれぞれの物語を生きていて、当然その物語の主人公は自分自身だから、秘密にするべき行動や過去にも自分なりの理由があったり、抗えない運命のようなものに引っ張られてそうなってしまう場合もある。
    それぞれに、自分では理解している。だけど、それが他人にも理解されるかどうかはまた別の話だ。それがとても近しい相手だとしても、図り合ったり隠したりして、理解し合えないまま離別の道を選ぶこともある。
    大雑把に言うと上記のようなことをこの小説の色んな人間関係に対して思った。
    自分の目を通してしか相手を知れないことを、時々現実でもとても寂しく思う。

    主人公の高梨は社長という立場上とても孤独で、人との関わりはたくさんあるのに「独り」の雰囲気が終始漂っている。愛した人がいて、助けてくれた人がいて、信頼している人もいる。そして新たに、助けたいと願う人との出逢いもあった。だけど、何だか孤独に見える。
    厳しい生い立ちだから人の痛みもわかるし、人柄も優しい。人のために奔走することも厭わない性格にも見える。
    その時どきで選択を誤ることもあったかも知れないけれど、高梨の人柄を知るにつけ、物語なのに彼の幸せを願いながら読んでいた。
    そして最後に光が見えたので、とても穏やかに読み終えることができた。

    短い期間を切り取っただけでは分からない、生きる上での因果が、長いスパンで見ると分かったりすることは現実にもある。
    「この人とこの人がこんな風に繋がっていたなんて」とか「あの時のことが不思議な巡り合わせで今に繋がっていた」とか。それは誰の人生にもひとつはあるような気がする。
    そういうリアルを感じられる小説だった。色んな人の人生が、一冊にぎゅっと詰まっている。
    続きを読む

    投稿日:2020.11.06

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