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ドナルド R キルシュ, オギ オーガス, 寺町 朋子 / 早川書房 (14件のレビュー)
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9999moda
低分子から、中分子、遺伝子・再生、と新規モダリティの探索が進められている話を最近気にしているが、そもそも「低分子」の前はどうであったのかを知りたくなり、読みました。事前の期待以上に、知りたかったことを…レビューできてよかったです。続きを読む
投稿日:2022.05.03
chinoboo
創薬研究者による創薬の歴史を綴った本。 ものすごい情報量でした。 私たちが普段飲んでいる解熱鎮痛剤だったり、難病の方が飲む薬だったり、がん治療に使われいてる薬だったり、生活に「あたりまえ」にある「薬…」。 その薬が、どのように発見され、使われ、安全を確保されてきたのか。それを、創薬の最前線を見ていきた著者が、過去の膨大な歴史を踏まえて説明している素晴らしい本でした。 この本を読んでわかったのは、私たちに役立つ薬を作るということは、ものすごくコストがかかり、ものすごく時間がかかり、そして何よりも、類稀なる発想力が必要であること。そして、時代や経済や運が全て合致していないとならないこと、でした。 そして、思ったのは、ヒトという物体が、まだまだわからないことが多い生命体だということ。効果の理由が解っている薬もあるけれど、解っていないけど効いている薬もある…。 少し前に聞いたPodcast「サイエンマニア」で、生命科学者のよう先輩が、人体を「オーパーツ」と表現していたけれど、本当に、人間の体の中で起こっていることは、当事者の人間すらまだ全然解っていないオーパーツなのだと…。 創薬に携わっている医学者・化学者の方々が戦いを挑んでいるのは、わけのわからない宇宙人が作ったわけのわからない道具のようはな「人体」なのだな、というのがわかりました。 最近聞いたPodcastの「いんよう!」で、100年後の医学はどうなっているか、というリスナーからの質問がありました。そこでヤンデル先生が、100年前はどうだったのか、と話を振っていたんですが、まさに、この本で読んだ世界でした。 薬学の教科書である「グッドマン・ギルマン薬理書」が出版されたのが1941年。 動物由来のインスリンが製薬として出ていたのが1923年(そしてヒトインスリンが発売されたのが1982年)。 ペニシリンが実用化されたのが1944年ごろ。 結核に効くストレプトマイシンが発見されたのが1949年。 ビタミンCが発見されたのが1930年代……。 この100年でどれだけ進んできたのか! 現代を生きる人が「あたりまえ」と思っている医薬品が、100年前にはあたりまえではなかったことに驚かされます。 この本は、図書館で借りて読んだのですが、後から参照したくなることがたくさんあったので、自分で買う必要がありそうな気がします。 薬を作っている研究者の方々、薬の安全性を評価してくださっている方々、薬を適切に処方してくださっている医師・薬剤師の方々に感謝です。 自分のために目次メモ ーーーー イントロ:バベルの図書館を探索する 第1章:たやすいので原始人でもできるー新薬探索の嘘みたいな期限 第2章:キンコン伯爵夫人の治療薬ー植物性医薬品 第3章:スタンダード・オイルとスタンダード・エーテルー工業化医薬品 第4章:藍色や深紅色やスミレ色ー合成医薬品 第5章:魔法の弾丸ー薬の実際の働きが解明される 第6章:命を奪う薬ー医薬品規制の悲劇的な誕生 第7章:新薬探索のオフィシャルマニュアルー薬理学が科学になる 第8章:サルバルサンを超えてー土壌由来医薬品 第9章:ブタからの特効薬ーバイオ医薬品 第10章:青い死からβ遮断薬へー疫学関連医薬品 第11章:ピルー大手製薬企業の外で金脈を掘りあったドラッグハンター 第12章:謎の治療薬ーまぐれ当たりによる薬の発見 結論:ドラッグハンターの未来ーシボレー・ボルトと「ローン・レンジャー」続きを読む
投稿日:2022.01.12
shinshu
☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆ https://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB26203547
投稿日:2021.06.30
ふるおろ
めちゃくちゃ面白かった。薬学を半年しか学んでいない自分でもすでに授業で取り扱われるような有名な薬の生い立ちが描かれていて熱中した。ただドラマチックに書きすぎなところもある気がしてほんとに?ってよくなっ…た。 薬学の起源、創薬の起源を知りたい人におすすめ。内容もさほど難しくないので教養として読んでもいい。 ピルの創薬の話はほんとワンピース感があった続きを読む
投稿日:2021.03.16
pokorit
我々は日々薬の世話になって生きている。 現在数多くの症状に効く薬が手に入るが、これは人類にとってごく最近の状況であり、多くのドラッグ・ハンターたちの苦闘のおかげである。 本書は新薬探索を、ボルヘスの名…作「バベルの図書館」において「弁明の書」を探すことになぞらえ、その可能性の低さ、予測できない発見のストーリーを解説している。 それぞれの症状に適応する薬物を探すことは、その機序が分かっていてさえも困難で、不明な場合はなおさら難しい。 最も古くからある薬物の「ライブラリー」は植物であり、手に入る根や葉などを片っ端から試してゆくことで多くの薬が得られた。 新薬探索は、このライブラリーを拡げることでもある。化学の発展により得られた合成物質、土壌由来の微生物、バイオテクノロジー等々、新しい領域が開拓されてきた。 それでも目論みが当たることは稀で、試行錯誤や偶然が重なったことで得られた薬物が多い。 本書は創薬の第一線で40年近く活躍してきた研究者が著したもの。その難しさと面白さを、豊富なエピソードをまじえながら、歴史の流れに沿って語っている。薬が効く働きの解明、医薬品規制などの問題にも触れているが、解説は解りやすくて引き込まれる。続きを読む
投稿日:2020.07.26
htaku14
日本語の副題「成功率0.1%の探求」とあるように、現在の新薬探しはビジネス的に成功する確率が非常に低く、さらに巨額の研究費が必要でほとんどの努力が無駄に終わることが多い。実際、創薬プロジェクトのうち、…経営陣から資金を提供されるのが5%、そのうちFDAに承認されるのはわずか2%だそうだ。本書は、新薬を見つけ出すのがなぜ難しいか、新薬がなぜ法外な値段で売られているのか、新薬探求や創薬の歴史を振り返りながら解説している。 ノバルティス、バイエル、メルク、エフ・ホフマン・ラ・ロッシュ、ベーリンガーインゲルハイム、ヘキストなど、名だたる製薬会社がなぜライン川沿いに本拠地を置くかにもふれている。19世紀後半、合成化学による合成染料産業の勃興と関係ある。続きを読む
投稿日:2019.06.28
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