【感想】ブロディーの報告書

J.L.ボルヘス, 鼓直 / 岩波文庫
(13件のレビュー)

総合評価:

平均 3.2
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ブクログレビュー

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  • 人生≒本×Snow Man

    人生≒本×Snow Man

    乾き、こわばり、血の味、人間の体臭、闇。
    『伝奇集』とは違う作家が書いているようだ。
    現実を追究しているにもかかわらず、かえって現実から浮遊してしまう。

    投稿日:2019.07.16

  • saigehan

    saigehan

    他のアルゼンチン生まれの人とどこかイメージ違うなー、とwiki
    ってみた所、お父さんがイングランド、お母さんがウルグアイの人なのね。

    つらつらと短編を読んでみました。ちょいちょい本人が出てきて、これは創作?昔話?

    本文中にグスタフ・マイリンクの「ゴーレム」がサラリと話題にのぼり、あれしかまともなのないと。それは褒めてんだよきっと。
    夢の中で夢を見ていると表現していて、ハッとした。

    静かなあじわい。
    続きを読む

    投稿日:2018.11.27

  • 深川夏眠

    深川夏眠

    様々な人物の末期(まつご)が淡々と叙述されていくところは
    山田風太郎『人間臨終図鑑』のようだ。
    表題作を除いては幻想的でもメタフィクショナルでもないが、
    我々と異なる時代、遠い場所に生まれて死んだ人たちの――
    恐らく多くは作者が
    実体験・聞き書きに尾鰭を付けたと思われるドラマが
    味わい深い。

    晩年、作風がアッサリしていったのは、
    視力の衰え(最終的に失明)から
    口述筆記に移行したことと関係があったのだろうか。

    以下、特に印象的な作品について。

    「じゃま者」
     ならず者が暮らす地域に住んでいたニルセン兄弟の逸話。
     彼らは一人の女を共有したが……。
     自ら招いた三角関係の無残な清算。

    「グアヤキル」
     それぞれが属するカテゴリの代表的人物である
     二人の交渉が全体の動向を左右する、
     連動して決定される様が象徴的に綴られ、
     ラテンアメリカ独立運動の立役者二人について語る
     二人の学者の論戦が描写されている。

    「マルコ福音書」
     医学生バルタサルは、いとこに誘われ田舎の農場へ。
     管理者らは無教養で他人に無関心だったが、
     バルタサルが文字を読めない一家のために
     読み聞かせを行なうと、
     彼らは聖書のマルコ福音書に耳を傾け……。
     皮肉で残酷な結末だが、
     不思議に乾いた笑いが込み上げてくる。

    「ブロディーの報告書」
     1839年刊『千一夜物語』第一巻に挟まれていた
     宣教師デイビッド・ブロディーの手稿を
     スペイン語に翻訳したという体裁のフィクション。
     後進地帯で伝道に従事したブロディーが見聞きした
     ヤフー族の特異な習俗について。
     これはいかにもボルヘスらしい面白さ。
    続きを読む

    投稿日:2018.03.29

  • roundoff

    roundoff

    ボルヘス後期の短編集。ガウチョがたくさん!やや単調。最後のブロディーの報告がよい、ボルヘスらしいと感じる。

    投稿日:2014.05.08

  • seimiya

    seimiya

    ボルヘス後期の短篇集。南米特有の場末の雰囲気には、日本の小説では味わえない異国感がある。「マルコ福音書」の終わり方がよかった。書かれないラストに思いを馳せ、書き出しに立ち戻る。「めぐり合い」の二本のナイフの物語はロマンチックだ。p68「物は人間より持ちがいい。」続きを読む

    投稿日:2014.01.20

  • venezia

    venezia

    11の短篇を収録。これらはいずれもリアリズム風の作品。主として前半に収められている作品群は、ガウチョたちを描いたマチスモの気配の濃厚な小説ばかり。そこでは人ではなく、むしろナイフこそが主人公であるかのようだ。ラテン・アメリカに固有の歴史と風土が全編を覆っているのだが、最後におかれた2つの小説「マルコ福音書」と「ブロディーの報告書」の持つ辺境感はまさに地の果てだ。リアリズム風を装いつつ逸脱する「マルコ」の怖さと、表題作の、未開以前というまでの未開社会を描きながら、そこにも文化を認める視点はやはりボルヘスだ。続きを読む

    投稿日:2013.09.26

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