ブロディーの報告書

J.L.ボルヘス, 鼓直 / 岩波文庫
(15件のレビュー)

総合評価:

平均 3.3
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ブクログレビュー

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  • oui

    oui

    ボルヘスはよほど悪漢が好きなのだと思った。倒錯している。

    時として、自分の命を大切にしない男たち(たとえば決闘好きなガウチョたち)の間では、不可思議なことが生じる。たとえば、処刑されてさえ、競争で相手に勝ちたいという虚栄心。そうした話を耳にするにつけ、知性の人ボルヘスはきっと、心底ぞくぞくしたのだと思う。

    ある意味残酷な書物だ。というのは、本書に収められた短編のほぼすべてが、人の死の前後を扱っているのだから。

    ボルヘスが書くことで、人間の一生は(ことばによって安易なむなしい因果関係を与えるがゆえに(知っててわざとか!?)かえってますます、無意味なものとなる。

    そして、まだ生きている読者はそれを読んで、ただただ、戦慄するしかない。
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    投稿日:2020.03.08

  • 本≒人生

    本≒人生

    乾き、こわばり、血の味、人間の体臭、闇。
    『伝奇集』とは違う作家が書いているようだ。
    現実を追究しているにもかかわらず、かえって現実から浮遊してしまう。

    投稿日:2019.07.16

  • saigehan

    saigehan

    他のアルゼンチン生まれの人とどこかイメージ違うなー、とwiki
    ってみた所、お父さんがイングランド、お母さんがウルグアイの人なのね。

    つらつらと短編を読んでみました。ちょいちょい本人が出てきて、これは創作?昔話?

    本文中にグスタフ・マイリンクの「ゴーレム」がサラリと話題にのぼり、あれしかまともなのないと。それは褒めてんだよきっと。
    夢の中で夢を見ていると表現していて、ハッとした。

    静かなあじわい。
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    投稿日:2018.11.27

  • 深川夏眠

    深川夏眠

    様々な人物の末期(まつご)が淡々と叙述されていくところは
    山田風太郎『人間臨終図鑑』のようだ。
    表題作を除いては幻想的でもメタフィクショナルでもないが、
    我々と異なる時代、遠い場所に生まれて死んだ人たちの――
    恐らく多くは作者が
    実体験・聞き書きに尾鰭を付けたと思われるドラマが
    味わい深い。

    晩年、作風がアッサリしていったのは、
    視力の衰え(最終的に失明)から
    口述筆記に移行したことと関係があったのだろうか。

    以下、特に印象的な作品について。

    「じゃま者」
     ならず者が暮らす地域に住んでいたニルセン兄弟の逸話。
     彼らは一人の女を共有したが……。
     自ら招いた三角関係の無残な清算。

    「グアヤキル」
     それぞれが属するカテゴリの代表的人物である
     二人の交渉が全体の動向を左右する、
     連動して決定される様が象徴的に綴られ、
     ラテンアメリカ独立運動の立役者二人について語る
     二人の学者の論戦が描写されている。

    「マルコ福音書」
     医学生バルタサルは、いとこに誘われ田舎の農場へ。
     管理者らは無教養で他人に無関心だったが、
     バルタサルが文字を読めない一家のために
     読み聞かせを行なうと、
     彼らは聖書のマルコ福音書に耳を傾け……。
     皮肉で残酷な結末だが、
     不思議に乾いた笑いが込み上げてくる。

    「ブロディーの報告書」
     1839年刊『千一夜物語』第一巻に挟まれていた
     宣教師デイビッド・ブロディーの手稿を
     スペイン語に翻訳したという体裁のフィクション。
     後進地帯で伝道に従事したブロディーが見聞きした
     ヤフー族の特異な習俗について。
     これはいかにもボルヘスらしい面白さ。
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    投稿日:2018.03.29

  • yamada3desu

    yamada3desu

     ボルヘス後期の短編集。
    「伝奇集」や「不死の人」「砂の本」と異なり、幻想的な話や形而上的な話は無し。
     あくまでもリアリティに拘った内容となっている。
     殆どの作品が他者からの伝聞あるいは回想を元にした構成となっており、殆どの作品が「ガウチョ」、くだけて言ってしまえば、アルゼンチンの不良(あるいはギャング、またはヤクザ、もしくはチンピラ)たちの話となっている。
     個人的には幻想的なボルヘスの作品が好き。
     ボルヘス自身の言葉を借りれば「鬼面ひとを脅すバロック的なスタイルは捨て……やっと自分の声を見出した」以前の彼の作品に惹かれる。
     回りの雑言に惑わされることなく、自身の道を歩んでくれていたらなぁ、なんて思ってしまうのは、やはり不遜なのだろな……。
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    投稿日:2018.01.06

  • roundoff

    roundoff

    ボルヘス後期の短編集。ガウチョがたくさん!やや単調。最後のブロディーの報告がよい、ボルヘスらしいと感じる。

    投稿日:2014.05.08

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