【感想】ルバイヤート

オマル・ハイヤーム, 小川亮作 / 岩波文庫
(55件のレビュー)

総合評価:

平均 3.8
12
13
14
3
0

ブクログレビュー

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  • 青風

    青風

    ノリよく力強く、でも哲学的な詩
    ざっくばらんに言ってしまうと「後先のことなんてクヨクヨしてでもしょうがないし酒飲もうぜ!」というところか。
    サクッとストレスなく読めるのでオススメ
    ↓一番好きな詩
    宇宙の真理は不可知なのに、なあ、
    そんなに心を労してなんの甲斐があるか?
    身を天命にまかして心の悩みはすてよ、
    ふりかかった筆のはこび*はどうせ避けられないや。
    続きを読む

    投稿日:2023.11.05

  • djuax

    djuax

    楽しく過ごせ、ただひと時の命を。一片の土の塊もケイコバードやジャム(イランの王たち)だ。世の現象も人の命も結局 つかの間の夢、錯覚、幻(109)。▼酒を飲め、それこそ永遠のいのち。青春の唯一のしるし。花と酒、君も浮かれる春の季節。楽しめ一瞬を、それこそ真の人生(133)。▼さぁ、ハイヤームよ、酒に酔って。チューリップのような美女に喜べ。世の終局は虚無に帰する。喜べ、無い筈のものが有ると思って(140)。

    ※数学者・天文学者。ジャラーリー暦(現イラン暦)を生み出す。
    ※セルジューク朝(11c)マリク=シャー時代。宰相ニザーム=アルムルクに仕える。
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    投稿日:2023.03.19

  • 海と青硝子

    海と青硝子

    世界史で昔習った記憶がちょっとあるだけのこの本を読もうと思ったのは、有栖川有栖さんの「孤島パズル」がきっかけでした。11世紀といえば、我が国は平安時代後期、無常観がひたひたと心に忍び寄る時代でしたよね続きを読む

    投稿日:2022.10.22

  • 白瀬

    白瀬

    本当はマール社から出ている挿絵ありのほうを読みたかったのだけど、図書館にこちらしかなかったので、まずは読んでみて気に入ったらマール社のほうを購入しようと思った。

    内容は厭世的で刹那的。酒と美しい女で今を楽しもう、という感じでしょうか。とても頻繁に酒に関する単語が出てくる。
    そういうのが嫌いなわけではないし、私も酒は好きだけれど、あまり心に刺さるものはなかった。言葉選びの問題かな。
    続きを読む

    投稿日:2022.06.28

  • きままんがろ

    きままんがろ

    この作品には背後世界を否定的に捉えて現世での生を重視し、しかし現世の生における成功も否定している点で、一種のニヒリズムが見て取れる。

    また、神が定めた運命を「降りかかる」と表現しているように、生をただ虚しいもの・一場の夢と捉える厭世主義的価値感を持ち、また「母から生れなかったものこそ幸福だ!」という様に反出生主義の色も強い。
    そうした遣る瀬無い無常感を満たすために、オマルは酒や酒姫に現世での刹那的喜びを見出した。その結果113番「明日のことなんか何を心配するのか?酒姫よ!さあ、早く酒盃を持て、今宵も過ぎていくよ!」のように、もはやそうした快楽で満ちているかの様に見える。
    しかしそれは彼にとって矛盾する行いでもあった。それは140番

    さあ、 ハイヤームよ、 酒に酔って、
    チューリップのような美女によろこべ。
    世の終局は虚無に帰する。
    よろこべ、 ない筈のものがあると思って。

    に悲痛な叫びとして表れている。ここから、やはり彼の刹那的享楽主義はただのそれではなく、哲学的思考の結果としての深い絶望と矛盾から迸るペシミズムの成す刹那的享楽主義であろう。

    従来のイスラム教的観念から異なる(逸脱した)自然観・生命観を持つ彼の歌は、ペルシア文化賛美の面も持つ。たとえば酒を賛美し、古代ペルシアの王たちや、暦法(ノールーズ)をこよなく愛しているところなどが挙げられる。
    しかしオマルは生まれるのが早すぎた。市民階級が勃興したのちに生まれていれば、もう少し彼も周りのウラマーを気にせず思いの丈を綴れたであろうに。

    他の厭世主義との比較であれば、虚無である刹那を楽しもうと唱えている点で、遁世した西行ら東洋のペシミストたちと異なる点だ。

    余談であるが、読んでるとめちゃくちゃ酒が飲みたくなる詩集でもある。特にこの133番は酒を飲みながらぼやきたい詩No.1だ。

    酒をのめ、それにそ永遠の生命だ 、
    また青春の唯一の効果だ。
    花と酒、君も浮かれる春の季節に、
    たのしめ一瞬を、それこそ真の人生だ!
    続きを読む

    投稿日:2021.12.11

  • Pierrotyan

    Pierrotyan

    11-12世紀ペルシアの詩人らしいのだが、あまりに現代的で驚く。
    現世の快楽にこだわる詩。宗教への反発から生まれた言葉なのかなあ。すごく好きだ。
    訳者による解説も充実している。ペルシアの文化に触れたり、翻訳の意図がわかったりして、満足度が高い。続きを読む

    投稿日:2021.10.29

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