陰謀の日本中世史

呉座勇一 / 角川新書
(44件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
8
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10
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ブクログレビュー

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  • tsubame8033

    tsubame8033

     日本史に興味があるなら小説家が書いたものや刺激的なキャッチフレーズ(「真実」とか「陰謀」とか「新発見」とか)のものを避けるべきである。そして、高校の日本史教科書又は高校日本史の参考書、もう少しやさしいのだと、『漫画 日本の歴史』あたりを読んだ方がよろしい。
     歴史研究書の体をなしたトンデモ本があふれていて大変危険なのである。
     司馬遼太郎みたいに「これは小説である」と書けばよいものを(作品名失念。)。
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    投稿日:2021.03.19

  • tokyobay

    tokyobay

    #麒麟がくる はそれなりに評判がよかったように思える。しかしながら専門家にとっては「光秀の動機などどうでもいい」のであって「学問的に意味がない」し「ああいううので盛り上がるのは素人」であって「時間の無駄」だから「相手にしない」らしい。
    著者はそのような風潮に警鐘をならす。放置していれば「陰謀論」が「社会的影響力」を増すと。確かに、なぜ本能寺の変が起こったのか?は現代社会にとってはハッキリ言ってどうでもいい話ではある。 しかしながら、現代社会でも陰謀論は存在する。著者の狙いは「イデオロギー対立と直接関係のない中世の陰謀を題材に陰謀論のパターンを論じれば、人々が陰謀論への耐性をつける一助になるのではないか」というものである。
    人はどうしても歴史に「因果」を求めてしまう。それは「単純」であるほどいい。その方がわかりやすいしスッキリするからである。ただしそこには「論理の飛躍」や「結果から逆行して原因を引き出す」という思考に陥りやすいという問題がある。本書は「歴史」に学ぶというよりも「歴史学」に学ぶというテイストではあるが、全く学問的な業績にはならない「研究」をあえて行う著者の誠実さは傾聴に値するように思える。本書で大河ドラマを振り返ってみるのもいいのかもしれない。
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    投稿日:2021.02.09

  • horinagaumezo

    horinagaumezo

    本能寺の変をはじめとする日本中世史における数々の陰謀・謀略(があったのではないかとされる事件)について、最新の研究成果も踏まえた先行研究を抑えつつ、歴史学の手法に則って客観的・実証的に分析し、陰謀論の誤りをただしている。
    「足利尊氏は陰謀家か」「日野富子は悪女か」「本能寺の変に黒幕はいたか」といった陰謀論の検証を軸に、日本中世史(政治史)の様々な最新学説を瞥見でき、知的な面白さがあった。20年ばかり前になる高校時代の日本史の教科書の記述も、だいぶ古びてきているんだなということを感じた。
    本書は、陰謀論に引っかからないための耐性を身につけるのに有意義な本であるといえる。当時の人々も未来が完全に見通せたはずはなく、試行錯誤の中で歴史を歩んできたのであり、現在の結果を知った状態から逆算して歴史上の因果関係を考えることには、慎重にならなければならないと感じた。
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    投稿日:2020.09.01

  • rakuta

    rakuta

    陰謀論とは、「世の中(又は自分)がこんなにダメなのは、どこかで誰かが邪魔をしていて、それを取り除けばすべてうまくいく」という考え方だと内田樹の本から学んだ。最近のマスク不足にしても、需要超過(供給不足)が原因なのに、誰かが買い占めて高値で売っているのが理由だから転売禁止にすればいい、という考え方も一つの陰謀論だと思う。
    本書では、歴史の陰謀論について「誰かがあらかじめ仕組んだ筋書きどおりに歴史が進行した」という取りあえずの枠組みを提起し、保元の乱から関ヶ原の戦いまで、様々な大事件についての陰謀論について、それが世の中に受けていても、事実はそんな単純なものではないということが論証されている。その論証が正しいかを正確に判断する素養は持っていないが、陰謀論の方に証拠不足や論理の飛躍があることは理解できた。
    終章に書かれているが、歴史学の陰謀論でも、似非科学でも、専門家は黙殺して関わろうとせず、それがゆえに否定されてないから一般に信じられるという憂うべきことが多い。アカデミズムの人が時間と労力を割いて、こうした陰謀論の否定を解き明かしてくれたことに感謝したい。
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    投稿日:2020.05.27

  • 葵

    日本史好きな私にとって
    第一章~第七章の内容も非常に興味深い内容でしたが,
    終章の『陰謀論はなぜ人気があるのか?』
    が一番勉強になりました。

    陰謀論の特徴を
    ①因果関係の単純明快すぎる説明
    ②論理の飛躍
    ③結果から逆行して結論を引き出す
    という3つに分類した上で、
    何故陰謀説が人々に受け入れられるのか
    という問題に対して納得のいく回答が得られ,
    満足しました。

    「フェイクニュース」「ポスト・トゥルース」
    といった言葉に代表されるように,
    誤った情報が蔓延る現代において,
    ここで記載された情報を
    自らのリテラシーとして吸収したいと思いました。
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    投稿日:2020.04.26

  • show

    show

    日本中世史における「陰謀論」を、これでもかと論破していく本。たとえば本能寺の変の真犯人は徳川家康である、あるいはイエズス会である、という説を、「陰謀論」の特徴を交えつつ粉々に否定していく。本能寺の変は著者によれば「突然訪れた好機を逃さず決起した突発的な単独犯行」(p.245)だそうである。

    あと、応仁の乱と将軍継嗣問題が無関係なことや、頼朝と義経の対立は根深いものではない、といった説明などは知らないことで、勉強になった。

    著者は、本能寺の変の黒幕が誰だろうが日常生活には関係ないが、「陰謀論への耐性を身につけることは、疑似科学を利用した悪徳商法を見抜く上でも役に立つ」(p.327)という。それはそうかもしれないが、なんだろう、歴史学の効能がそれくらいだとしたらなんか空しいな、という気もする。
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    投稿日:2019.10.08

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