【感想】陰謀の日本中世史

呉座勇一 / 角川新書
(49件のレビュー)

総合評価:

平均 3.7
8
22
10
2
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    NDC分類 210.4

    「ベストセラー『応仁の乱』の著者、構想三年の書き下ろし!
    本能寺の変に黒幕あり? 関ヶ原は家康の陰謀?義経は陰謀の犠牲者?
    俗説、一蹴!『応仁の乱』の著者が史上有名な“陰謀”をたどりつつ、“陰謀論”を徹底論破する。

    史実とフィクションは明瞭に違う!
    ◆本能寺の変に黒幕あり?→いない。光秀をバカにしすぎ
    ◆関ヶ原は家康の陰謀? →違う。家康も追い詰められていた
    ◆義経は陰謀の犠牲者? →誤り。義経の権力は砂上の楼閣だった

    他、
    ■足利尊氏=陰謀家説は疑わしい
    ■後醍醐天皇は黒幕ではなく被害者だった!?
    ■富子はスケープゴートにされた
    ■騙されやすかった信長
    ■「三成が家康の伏見屋敷に逃げ込んだ」は俗説
    ■「小山評定」は架空の会議

    「事実」はドラマや小説より面白い。陰謀論の誤りを最新学説で徹底論破!!トンデモ説やフェイクニュースが溢れる世の中で騙されないために。陰謀論の法則まで明らかにする、必読の歴史入門書!」

    本能寺の変に黒幕あり?関ヶ原は家康の陰謀?義経は陰謀の犠牲者?ベストセラー『応仁の乱』の著者が、史上有名な陰謀をたどりつつ、陰謀論の誤りを最新学説で徹底論破。さらに陰謀論の法則まで明らかにする、必読の歴史入門書!!

    目次
    第1章 貴族の陰謀に武力が加わり中世が生まれた
    第2章 陰謀を軸に『平家物語』を読みなおす
    第3章 鎌倉幕府の歴史は陰謀の連続だった
    第4章 足利尊氏は陰謀家か
    第5章 日野富子は悪女か
    第6章 本能寺の変に黒幕はいたか
    第7章 徳川家康は石田三成を嵌めたのか
    終章 陰謀論はなぜ人気があるのか?
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    投稿日:2024.01.20

  • seinimentai

    seinimentai

    保元平治の乱、源平合戦、鎌倉幕府の権力闘争、足利尊氏の幕府設立、応仁の乱、本能寺の変、関ヶ原合戦の7つについて、最新の歴史研究をもとに俗説を打破する一冊。

    必ずしも陰謀論の法則性が導けているとは言えないが、安易にわかりやすい結論に飛びつくのを戒める意味はあるだろう。続きを読む

    投稿日:2024.01.08

  • mimizuku0125

    mimizuku0125

    全ての歴史愛好家にお薦めしたい一冊。
    タイトルからすると一見、日本中世が陰謀に満ち、それを紹介する一冊のように思えるが、逆に、著者は、日本中世史における数々の陰謀・トンデモ説を、歴史学の手法に則って分析し、痛快に切り捨てていく。
    中世史だけでなく、検証もされない陰謀論が氾濫する現代に警鐘をならす一冊。
    終章「陰謀論はなぜ人気があるのか?」では、「田母神論文」「藤原正彦」「渡辺昇一」も俎上にあがる。
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    投稿日:2023.12.15

  • hiromiyanase

    hiromiyanase

    中性から江戸前まで、様々な論を紹介しつ歴史を概観してくれます。
    初学者にとっても、大きなトピックに触れつつも
    様々な考え(陰謀論もあるのだろうけど)に触れることができるし、
    いわゆるスタンダードや通説というものも知ることが出来て、一挙両得の本でした。続きを読む

    投稿日:2023.10.10

  • honmusubi

    honmusubi

    保元の乱から関ヶ原までの日本史における陰謀とされる事件についての様々な説を取り上げ自論を展開している。

    かつて史実として学んだことが、今では偽説となっていたり、過去の史料の読み解き方で変わってくることがよくわかった。史料は書いた本人の目線で書かれているため、真実を語っているとは限らない。何を証拠として採用するかの難しさも感じた。

    陰謀説の傾向として、
    「事件によって最大の利益を得た者が真犯人である」(結果から逆行して原因を引き出す)
    「加害側と被害者側との立場が実際には逆」だったりするという。
    確かに、結果を既に知ってい後世の人間から見ると利益を得た者が全てを見通して行動していたかのように思ってしまう傾向にあり、たまたま偶然、当人にいい方に転んだ出来事も、きっと仕組まれていたに違いないと考えがちである。

    歴史に詳しい者でなくても、その出来事についての通説を述べてから諸説を説明しているので、話の展開は分かるが、人間関係を思い返しながら読むので時間がかかった。

    諸説を紹介し、その証拠とされる資料の信憑性や、陰謀説を唱える者の論理の飛躍を丁寧に突いており、歴史に詳しい人にとっては、痛快に感じるのではないかと感じた。
    続きを読む

    投稿日:2023.08.24

  • だまし売りNo

    だまし売りNo

    安元三年(一一七七年)に鹿ケ谷の陰謀が起きた。後白河法皇を中心とする反平氏勢力が結束した謀議とされるが、平清盛が後白河院の近臣勢力を潰すための冤罪事件との見方がある。

    「平氏一門に批判的な西光・成親を延暦寺問題で別件逮捕しておいて、陰謀の罪を着せ、死刑に処すことこそが清盛の狙いだったのではないだろうか」(呉座勇一『陰謀の日本中世史』角川新書、2018年58頁)

    「当初、西光は明雲を後白河に讒言したという理由で逮捕され、その後の拷問の中で「入道相国を危ぶむべき」計画を白状したという。別件逮捕でとりあえず身柄を拘束し、取り調べの過程で「謀議」の件が出てきたのだから、自白の内容自体が清盛によってでっちあげられた可能性がある」(中丸満『源平興亡三百年』ソフトバンク新書、2011年、140頁)。

    鹿ケ谷の陰謀では藤原成親(ふじわらのなりちか)が逮捕され、備前国に流罪になる。配流先では食事を与えられず、殺害された。「死人に口なし」とばかりに病死として処理された。

    成親は鳥羽院第一の寵臣の藤原家成の息子で、鳥羽院と後白河院の近臣になった。成親は久安二年(一一四六年)に讃岐守になる。家成と成親は親子で讃岐守になった。

    成親は後白河院の近臣として活躍したため、崇徳院の怨霊の祟りと噂された。鹿ケ谷の陰謀が清盛によるでっち上げの冤罪ならば成親は冤罪で殺されたことになる。後白河院側には思いもよらぬ理不尽な話になり、当時の感覚では怨霊の祟りと考えたくなるだろう。

    鹿ケ谷の陰謀は平家に対する反感を持っている人々が存在するという事実を公然に明らかにしたという効果が生じた。平家は逆に追い込まれていった。
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    投稿日:2023.01.26

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