【感想】山本五十子の決断 2

如月真弘, 珈琲猫 / 富士見ファンタジア文庫
(3件のレビュー)

総合評価:

平均 4.5
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ブクログレビュー

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  • velikiy99

    velikiy99

    このレビューはネタバレを含みます

    2巻目は歴史ifの定番ミッドウェー海戦.個性的なキャラが増えてキャラ同士のゆるい絡みがありつつ,登場人物が死ぬリアリズムも描いており,コントラストがある.展開は艦視点ということもあって防空戦が中心で,最終的には小規模な艦隊戦もあり,割と提督の決断とかではありがちな展開なのかなと(やったことはないが)思う.炭酸ガス消火装置や応急制御盤は流石に現実離れしているが,タイムトリップ者が未来知識を活かして無双するという感じではなく,当代の人間でもできたであろう堅実な対策を取ることで勝利を目指す点が評価できた.原作のなろう小説が2巻までの内容で終わっており,内容としても以降は史実を離れてしまうとあって,続きはないのかもしれないが,骨のありそうな米…美国のキャラとのやり合いなど,是非見てみたくはある.

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    投稿日:2018.03.01

  • 蒼月

    蒼月

    遂にMI作戦が発動せり。連合艦隊司令部の面々と絆と五十子の苦悩と悲しみを知り益々彼女を救いたいと決意を新たに戦争に参加し終戦と『甲という名のアレ』の回避を目指す。井上成美を仲間にし、とある作戦を仕組む。また一航艦司令部に参加し、赤城に細工を施したり、あれこれと敗北回避を画策す。
    そして海戦が始まる。どうなる一航艦? どうする大和?
    と結構楽しめました。キャラも南雲、草鹿コンビや角田といった面々も加わりますます楽しくなってきました。二航戦の司令をこう変えてくるとは…(笑
    軍令部がブラック過ぎてドン引きしました(汗
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    投稿日:2018.02.26

  • とら

    とら

    赤城という艦が、子供心に嫌いだった。
    南雲にも草鹿にも好感が持てない。
    そう思っていた。
    そもそも、ミッドウェー海戦が大嫌いだった。

    まあ、それはそうです。
    小学生、中学生ではまだ理解力がいまひとつ足りなかったのです。
    ずっと後になって、艦これという名作ブラウザゲームが登場した時、比較的初期に赤城が手に入ります。
    彼女がつぶやくキーワードは「慢心はだめ」……。
    そう、赤城は慢心からくる油断をしていた。
    何しろ、時代は航空母艦の時代に入ったばかりで、赤城は実戦配備された事実上の浮沈艦で、堂々たる大空母で……。
    はたから見ると負けるとはちょっと思えない。
    けれども、その艦は十全の状態で運用されたとはちょっと言えない……。

    そしてミッドウェーはほとんどの歴史家が言うとおり、アメリカ相手の戦争の転換点で、ここから帝国海軍は坂道を転がるように敗戦へと滑り出していったわけです。

    しかし、一時期隆盛した架空戦記のなかで、いわゆる「うて、うてーっ」スタイルの小説では、到底カタルシスは得られませんでした。
    単に帝国海軍が大勝利、大勝利ー、となるような単純なストーリーでは納得がいかないからです。

    そのもやもやした気持ちを全て解決してくれた『山本五十子の決断2』ありがとう!

    まず、キャラが素晴らしい。
    この世界では、海軍は乙女だけで構成されています。
    従って、南雲も、草鹿も、皆十代の少女なわけです。
    しかし、しかし。
    南雲長官が男性恐怖症で怖がりの水雷屋、これは良いです。
    まさかの! 草鹿がw
    宝塚風の王子様キャラになっているとは!
    う、うわあ……w
    しかもこのふたりが指揮する赤城がどうなっているのか。
    頭の中が金とピンクできらきら眩しくなりそうでした。
    い、いや、これは……これは凄いですよ。

    そして勿論注目していたのは、いったいどういう風にミッドウェー海戦が料理されるのか!

    主人公の洋平は、なんとかして五十子たちを守りたい、とくに五十子を守りたいと願っています。
    (洋平と五十子ののプラトニックな気持ちも双方からうまく伝わらない感じで、やきもきさせられます)。
    ミリオタとしては格別深くない洋平は、スマホのバッテリーの容量を気にしながら、史実のミッドウェー海戦について調べます。
    その知識をもとに、洋平はある決断を下す。

    本作のタイトルは『山本五十子の決断』ですが、重大な決断を迫られるのは、五十子ひとりではありませんでした。
    洋平しかり、亀子しかり、後半では南雲も、草鹿も、決断しなければなりません。
    いやいや、敵方のヴィンランド海軍でもさまざまな決断が下される。

    当然のことです。
    戦争では、指揮官の決断が全てを決めるのですから。

    (昔、そのもずばり『決断』という大人向けアニメーション作品がありました! これも帝国海軍を扱ったものでした)

    海戦がどのように展開するかは言いませんが、なんとか史実の惨劇を回避しようとする洋平のがんばりは爽やかで好感が持てます。
    亀子の意外な陣頭指揮のもと、赤城の炎上は避けられたかに見えますが、それでもついに炎上が起こる。ここがクライマックスです。
    どうしても史実の流れは変えられないのか?
    なんとしても変えねばならない。
    彗星が登場するところでは、快哉をあげてしまいます。

    中盤からとまらないドキドキに、本をおく事がとても難しくなります。
    面白いです!

    あえて難を一つ言えば、物語が終わったあとも、実は戦争そのものの結末はわからないという事でしょうか。
    はたして洋平はこのまま、海軍乙女たちの世界にとどまりつづけるのか。
    五十子たちの運命はどう決着するのか?
    たとえば、史実ではブーゲンビル島上空で撃墜された山本五十六と同じ運命を五十子はたどるのか?

    しかし、亀子が指摘したように、ここで洋平が知る史実を改変した場合、その後の展開は全く変わっていき、洋平にも予測はつかなくなるわけです。

    もしこの先も物語れるなら、今度は戦争の帰結そのものを改変する流れになるはず。

    五十子が願う日米の和解は実現するのか、縞野はどう妨害するのか……。

    まだまだドラマはありそうなのに、それはわからないままに終わる。
    そこになんとなく、もやっとしたものが残ってしまいます。
    つまり、ハッピーエンドが完璧ではないのです。
    いずれ外伝でいいから、そのあたりについても少し触れて欲しいなあ……そう思います。
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    投稿日:2018.02.26

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