火定

澤田瞳子 / PHP研究所
(58件のレビュー)

総合評価:

平均 4.1
18
24
14
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ブクログレビュー

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  • ももちゃん

    ももちゃん

    京内の病人収容、治療を行う施薬院に勤める名代と帝の侍医職を追われた諸男を中心に物語が展開する。
     疫病が蔓延、市井の人々が薬を渇望しても、その値が吊り上げられる。そんな人々は「常世常虫」なる神を頼り、怪しげなまじない札を買い求める。 
     「責められるべきは京の衆ではない。まことは疫病の流行に迅速な手を打てぬ官ではないか」
     「病とは恐ろしいものだ、と名代は思う。それは人を病ませ、命を奪うばかりではない、人と人との縁や信頼、理性をすら破壊し、遂には人の世の秩序までも、いとも簡単に打ち砕いてしまう。」
     どの時代においても、繰り広げられる事象は同じだ。 
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    投稿日:2020.08.30

  • ktymknj

    ktymknj

    (借.新宿区立図書館)
    天平9年の天然痘大流行時の平城京を舞台にした作品。直木賞候補にもなっただけあってかなりの迫力。病の描写の迫力がすごいのでちょっと気持ち悪くなりそうなところも。(どちらかというと平安時代後期的イメージ?)
    しかしこの著者は『御薬園』もそうだが医薬系が好きなのだろうか。
    あと、奈良時代は専門のはずだが若干疑問点も。例えば羽栗翼は史料的にはこの時点で18歳ぐらい。遣新羅使には通詞としてもちょっと若すぎ。(天平6年唐から来日、この時点で還俗していたかどうか?あと臣賜姓はだいぶ後の宝亀年間だし。ちなみに後年には内薬正兼侍医になっている)
    さらに文室真人絹代とあるが、智努王が文室真人姓となるのは天平勝宝4年。それ以前に文室真人姓を与えられた者がいるとは思えないし、史料に出てこない別系統という設定はちょっと無理があるのではないか。
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    投稿日:2020.08.19

  • quatorze

    quatorze

    この世の地獄はどこにある。

    天然痘の流行する奈良の都の様子を描いた作品。施薬院に配属された名代、濡れ衣で侍医から一時は罪人にまで身を落した諸男、この2人を軸に話が進んでいく。医師の道とは何なのか。絶望と恐怖の中でどのように生きるのか。それはいつの時代でも不変の問い。

    効果のないまじないが流行し、それに大金を払う人が出たり、とにかく自分だけは助かりたいと、閉じこもって食料などは届けてもらったり、病は海外からもたらされたものだと、異国の人を攻撃したり、新型コロナウイルスの感染が拡大する今の様子と通じるところもある。

    医師の姿に自分の答えを見つけた名代の独白がいい。全員を救うことはできず、人を救うことと自分の栄光をつい比べてしまう弱さもある。その弱さこそ、医師に必要なものだという。医学の道を志す人には、この物語が、名代の決心が、諸男の心が、どのように響くのだろう。
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    投稿日:2020.07.13

  • puttyhama

    puttyhama

    友人に「絶対に好きだと思う」とオススメされた本。

    めちゃくちゃおもしろかった!
     
    天平の時代
    栄華を極めた藤原四兄弟をもおののかせ、
    都の京都をはじめ、日本国中を揺るがせた天然痘
    その病と闘った医師、
    疫病の恐ろしさから混乱する人々
    さらにその恐怖に乗じて国内を騒がそうとする人々

    死に至る病に対面した時、不条理な死に取りつかれた時、愛する人を成すすべもなく奪われた時、人はその死に何を思うのか?そして病気から救えなかった人々への医師たちの葛藤と思い…

    コロナ禍で混乱する現代にも通じる作品
    今だからこそ読みたい作品!!

    天然痘を恐れ隠遁生活を送る比羅夫の
    「お気を付けくだされよ。疫病の流行は時に、人の身体ばかりか心まで蝕みまする。」
    という言葉が胸に刺さる!
    今も昔も人は変わらんの~。

    と、ここまで書いておいてなんだけど
    内容はかなりヘビーかと思うかもしれませんが
    著者の澤田さんの文章がものすごく上手くて、かなり悲惨な状況でも、まるで絵巻物を見ているような、残酷な美しさのような、それでいてきらめきのような光を感じる作品でした。

    すごい作家さんだ~!
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    投稿日:2020.05.13

  • marioh

    marioh

    奈良時代の疫病を題材にした小説。読みやすいけれど、サクサクと話がすすみすぎるかな。その後などもう少し掘り下げてほしかったところもあり。

    投稿日:2020.04.27

  • Ryohei

    Ryohei

    平城京を襲う天然痘の発生から収束までを2つの目線から描いた物語。1,300年前の話なのに今と同じ現象が起きていたという点は学術的にも歴史的にも面白い。また、名代・師男の「医師」という職業に対する認識の変化や成長が、グロテスクで地獄絵図の環境下で爽やかに描かれている。

    ★現代との共通点
    ①変な噂やデマが流行る。
    →物語では黄虫信仰、現代ではトイレットペーパー騒動やライオン脱走など。
    ②誰かが隠すことでパンデミックに繋がる。
    →物語では新羅からの使節が隠したせいで一気に広がった。
    ③恐怖に駆られた異常行為
    →物語では異国人の排除、現代でも国際政争に走りがち。
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    投稿日:2020.04.25

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