【感想】ストライクフォール3

長谷敏司, 筑波マサヒロ / ガガガ文庫
(2件のレビュー)

総合評価:

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ブクログレビュー

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  • もるがな

    もるがな

    このレビューはネタバレを含みます

    3巻にして初試合という、シリーズやジャンルで見ると何ともスローペースなのだが、1、2巻の積み重ねは大きく、じっくり描くことの大切さを教えてくれる。若き俊才アデーレがケイトリンを撃破したというのは、最初は地味に感じたものの、じっさいに読んでみるとその衝撃度は極めて大きく、チーム内の苛烈かつ貪欲なポジション争いはスポーツものらしくて非常に良いと思う。特に慣性制御によるストライクフォールの戦術土台そのもの変化や歴史の分岐点の激動を一プレイヤー視点で追う興奮は凄まじく、手に汗を握る展開ばかりである。慣性制御によって一度否定された戦術が、逆に戦術によって才能頼りのアデーレが完封されるというのもシビアで面白い。それらで積み上げた希望や敗戦の悔しさ、練習の手応えが結実する初の公式戦への期待と不安感はまさにスポーツのそれであり、スポーツの楽しみを余すところ無く伝えていると言えよう。

    最初に闘うのが昨年度覇者のホライゾンズという強敵に挑む構図のワクワク感もさることながら、初手から散兵戦術という奇策に相手が打って出たのも意外性があってよかった。慣性制御と戦術のハイブリットというのは、強化キャンプで指摘された不安点であり、開幕の絶望感が凄い。そこからアデーレへのバトンタッチと雄星のハンズ・オブ・モナークの起動まではテンションが上がり過ぎて血管がブチ切れそうになった。まさに王道的な試合運びであり、「掴め!コントラクター!」というキメ台詞はロボットアニメらしい外連味がある。獅子奮迅ではあったものの、0−2という大差での敗北はスポーツが決着した時の「ああ〜……」といった安堵感は如実に表れており、長回しの試合も含めて本当に一つのスポーツ中継を見ている気分になった。ラノベでここまでの読後感は味わったことがない。単なる描写のバランスの良さだけでなく、登場人物の心理描写や戦術の説明などは小説というフォーマットを存分に活かしており、まさに小説でしか味わえない最高のロボットバトルだろう。

    そこからケイトリンの脱退やアデーレの新リーダーへのフラグ、また戦争をギリギリでスポーツの枠に押し込めているが故の危うさと、歴史の重要参考人になってしまった主人公の運命。政治的な暗闘の数々。ストライクフォールというスポーツを巡るこの危険すぎる綱渡りの展開に、魅了されっぱなしである。間違いなく2017年度最高のライトノベルであり、傑作のSFロボットアクションものであると言えよう。

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    投稿日:2019.05.30

  • bukuroguidkodama

    bukuroguidkodama

    宇宙でロボットバトルをここまでSF(かがくてきな嘘)にそくしてまじめにするとは
    という喜びの点で
    SF能力バトルという面での『筺底のエルピス』に対するそれと同じくする
    主人公機がまさに文字通り世界を変えるほど重要なのにある種放置されていたり
    ヒロインずがわかりやすく理解不能なのもまこと味わい深い
    続きを読む

    投稿日:2018.10.17

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