【感想】おクジラさま ふたつの正義の物語

佐々木芽生 / 集英社学芸単行本
(17件のレビュー)

総合評価:

平均 4.2
7
3
4
0
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ブクログレビュー

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  • sngw@ngsk

    sngw@ngsk

    【動機】
    ・捕鯨にまつわる対立の歴史・概要を知りたくて

    【感想・思ったこと】
    ・めちゃくちゃ面白い!!!!!
    ・クジラの話にとどまらない。
    - 捕鯨にまつわる問題と対立の概要と本質が掴める
    - 鯨を軸に見る、歴史・宗教・価値観・メディア論
    - なぜ人は争うのか?考えさせられる
    ---
    ・「強き者」は「弱き者」の、声に耳を傾ける責任がある。
    ・「弱き者」は「強き者」に、声をあげる責任がある。
    ・声を上げなければ対話は不可能。特に相手が強者の場合なおさら。
    ・自分の意見を相手に伝える重要性と相手の意見に耳を傾ける重要性。
    ・情報は発信しなければ伝わらない。
    ・情報発信・メディアの威力。感情を煽動する。
    ・「クジラ・イルカは世界の海を泳ぐため日本だけのものではない」というロジックは確かにと思った。
    ・対立するから、対立する。
    ・読中に「キリスト教思想を基盤に持ち、現在国際社会で力を持つ欧米人は、自己中心的で独善的である」というステレオタイプを、深いところで実は自分も持っていると気が付かされた。本来「⚪︎⚪︎人は△△である」という一般化はできない。一人一人多様。読中、ジェイさんが登場した時にハッとした。
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    投稿日:2023.08.18

  • bistarai@サイクリスト&ブロガー

    bistarai@サイクリスト&ブロガー

    歴史や伝統、食文化はイデオロギーやアイデンティティにも繋がる。
    イデオロギーやアイデンティティの対立。ネット上で見受けられる論争、最近では『温泉むすめ』であるとか、に余りにも似ている構図。
    感情は無視できないが、感情だけでは暴走してしまうこともありえる。理論と考察は欠かせない。どちらが正義か、どちらが正しいかを簡単に決めつけるのではなく、考え続けることが重要。
    映画化もされ、中立的な視点と立場で和歌山県太地町の問題が書かれている。
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    投稿日:2021.12.05

  • No.16 delle angurie

    No.16 delle angurie

    クジラのことを知りたかったのにほとんどでてこなかった。捕鯨問題を事実に基づき深掘りしていて、勉強になったが。

    投稿日:2021.03.26

  • 庭園

    庭園

    このレビューはネタバレを含みます

    この著書の映画版を視聴しました。そのうえでの感想です。

     わたしは関西出身で、小学生低学年の時一度くじらの竜田揚げが出ました。鯨なんて初めて食べるし、情勢なんて知らないから無知なまま食べました。なんて美味しいの!と感動しました。味を覚えてはいませんがその気持ちだけをずっと持ち、小学校で好きだった給食ランキングのベスト5には入っているほどでした。また食べたいななんて思っていたら、翌年から無くなりました。スーパーに行くと、たまに鯨の黒い肉や白くてふわふわした部位が売られていることも目にします。捕鯨反対の声があるのは知っていたけれど、ここまで過激というか批判を受けていたなんてこの映画を見るまで知りませんでした。

    ざっっくり主張
    ◯シーシェパード(米、その他)
    イルカの虐殺問題である
     
     誇れる文化ならなぜ逃げ隠れるのか?

     イルカは歌えて人間と意思疎通が出来哺乳類で
     人間に近いじゃないか。

     文化だとして長い歴史があるから正しいとは
     限らない

     イルカを殺す際痛みをなくすことはできない
     
    ◯太地(日本)
     その町の文化を壊すのは勝手だ。もともと鯨の
     町なんだからほっておけ
     
     家畜の屠殺を隠しすのとイルカの屠殺を隠すの
     の何が違うのか。そもそも人目に晒すようなも
     のではない。

     捕獲しているイルカは7種類に限定し、全て
     絶滅危惧種ではない。

     映画を見ていると論点がずれているんじゃないか?それはただの盗撮と暴言ではないか?一応敬意を持った話し方をしてくれているのに対して返答に歩み寄ろうという姿勢は感じられないなあ、など思うところはありました。価値基準が異なる場所にある議論なので一筋縄ではいかないという印象です。
     
     けれど、気になったのは「日本人は鯨を食べるのは1.2割ほど。なのに捕鯨を文化だからやめようとは言わないという意見が7割(意訳)」というところです。まさにわたしもその一人でした。調査した方は「他国に批判され、反発精神から文化と主張しているのでは。どこかに捕鯨で生計を立てている人がいるのだろうから守らなきゃ。私は食べないけど。と思っているのではないか」と仰っていました。確かに。昔は食べなくてはいけなかったけど現代で鯨を食べる必要はない。それなら日本は捕鯨を辞めてもいいのかなと思ったものの私は第三者であるので太地町の人たちの思いは汲み取りきれていないはずです。

     それなら他の家畜は?養殖は?犬食文化は?水族館は動物にとって危険がなくて、餌も必ずあって、でも狭くて‥悪なの?食文化という言葉を逃げに使ってしまっていることがあるのかな?色々と考えさせられる映画でした。


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    投稿日:2020.11.27

  • ritsuca

    ritsuca

    「The Cove」を受けての(という認識でいいのかな?)「おクジラさま」と、その撮影にあたっての出来事、出会った人々、感じたことなど。
    はじめの方に書かれていた通り、ドキュメンタリーに対するイメージが公平中立だったので、そうではない、撮影者・作成者の意見が反映されているものである、ということを知ることができた、というのが一番大きな収穫かもしれない。続きを読む

    投稿日:2019.11.17

  • shyamazaki69

    shyamazaki69

    いや、これは大変な力作にして名著。感情的になることなく、個人の偏見や思い込みに走ることなく、反捕鯨・反イルカ漁と漁民や反捕鯨と対する側の状況、主張、活動を大変に公平に取材・考察され、各テーマごとにドキュメンタリー的にまとめられていて、この問題についての理解に大変に勉強になった。
    捕鯨問題は異文化理解の難しさ…そこに政治的思惑や特定の思想を旗印にしたプロパガンダ(さらにそれがまた真摯なものから実はビジネス…金儲けのためだったりと玉石混交)が入り込んで来ると尚更問題は複雑骨折化…の典型例にして縮図。海外に住み、国際ビジネスに関わる者として大変に考えさせられます。
    続きを読む

    投稿日:2019.07.21

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